※本稿は吉川雄司著、月花瑶子監修『やさしく正しい妊活大事典』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
【せいじ】東京都出身。大学卒業後は大手メーカーに勤務。趣味はキャンプと革靴磨き。友人の紹介で出会った「せいこ」と先日入籍。せいじもせいこも今年で30歳。これから「二人の理想の家庭」を築くために、今後の家族計画を考えはじめたところである。
【きょうこ先生(以下、先生)】産婦人科医。神奈川県出身。小学校から高校までは女子校育ち。医大卒業後、産婦人科医の道へと進む。日本人の「妊活」の知識レベルの低さを問題視し、義務教育だけでは補えない「妊活知識」を社会に広めようと、『妊活大事典』という本の執筆を開始。
男性も40歳以上になると要注意!
【先生】年齢によって、妊娠率は変わってきます。次のグラフを見てください(図表1)。
「卵子の老化」とよく言われますが、このグラフを見ればわかるように、年齢とともに「妊娠のしやすさ」は変化します。
【せいじ】ほんとですね……
【先生】あと注目していただきたいのは一番右のグラフです。男性が女性よりも5歳上、つまり男性も40歳以上になると「妊娠させる能力が下がる」という点です。
男女の年齢が同じ場合、もっとも妊娠率が高い日でさえも、20代前半までは約50%、20代後半から30代前半は40%、30代後半は30%と下がります。男性も年齢を重ねると相手を妊娠させる能力が低下するということが図からはわかります。
【せいじ】なるほど…… なんだか知らないことだらけでした……。
【先生】「自分が何を知らないかを知ること、それが成長への第一歩」です。
【せいじ】先生……(泣)。
年齢別・流産の確率
【先生】では、最後にもう少しだけ! 妊娠確率について見てきましたが、「妊娠したら出産できる」と思いますか?
【せいじ】え、そりゃもちろん……。あっ……。
【先生】そうなんです。妊活に取り組むうえで、事前に知っておいてほしいのは「妊娠したからといって必ず出産できるとは限らない」ということ。つまり、「流産」の可能性についてです。
【せいじ】なんだか、気持ちが沈んでしまいますが、ちゃんと知っておきたいので解説をお願いします。
【先生】はい。もう初めからデータをお見せします。次のグラフを見てください。年齢別の母数に差はあるものの、だいたいこれぐらいの確率と言われています(図表2)。
20代~30代でも10~20%の流産率
【先生】ちなみに「不妊治療」の場合も、治療したからといって必ず妊娠・出産できるわけではありません。辛い現実ですが、繰り返される「流産」や「リセット(来てほしくない生理が来ること)」に向き合わなければいけない可能性は十分にあることを上のグラフからも理解しておいてください。
【せいじ】年齢とともに妊娠率が下がるだけでなく、流産率が上がるんですね……。
【先生】20代から30代前半でも10〜20%ぐらいは流産してしまう可能性はあります。そして年齢が上がるにつれて流産率は上がるので、「妊娠にはタイムリミットがある」ということは是非とも覚えておいてほしいです(図表3)。
30代後半の妊娠率は約30%
排卵日前の妊娠しやすい期間における妊娠率は
年齢とともに下がっていきます。
テレビなどでは芸能人が高齢出産をした
というニュースなどが流れることもあり、
「なんやかんや言っても、妊娠はできるでしょ」
と思っている方も少なくはありません。
しかし、年齢が上がるにつれて、
妊娠率は下がり、一方で流産率は高まっていきます。
希望する「家族計画」に合わせて、
妊娠のタイムリミットは
夫婦で意識しておくべきでしょう。
理想の妊活開始タイミングは?
【せいじ】先生、「○人欲しかったら何歳までに産んだほうがいい」という基準ってあるんですか?
【先生】2015年にオランダの研究チームが発表したものならありますよ!
次の表は、「欲しい子どもの数」を「達成確率別」に「何歳までに妊活をはじめるべきか」をまとめた表になります(図表4)!
【せいじ】なぬっ!! 結構若いんですね……。
【先生】まぁ、これは一つのシミュレーションデータなので、全員に当てはまるものではないと思いますが、一つの目安にはしていただければと思います。
【せいじ】僕とせいこはどちらも今年30歳なので、子ども二人欲しいとなると……ちょっと急いだ方がいいですね。
【先生】もちろんお二人の「ライフプラン」を話し合ってから妊活ははじめてほしいですが、ライフプランを立てる際の一つの参考情報として、妊娠のタイムリミットは意識した方が良いと思います!
【せいじ】なんだか、考えるべきことがだいぶ見えてきました!
【先生】そうですね。特に女性の卵子の質は年齢とともに下がるため、妊娠できる確率は年々下がってしまいます。ライフプランを立てるうえで、「何人欲しいのか」、「その場合いつまでに産むべきか」はしっかりと考えてもらいたいと思います。
2人産みたい場合の1人目の理想の妊活タイミングは27歳
「子どもを何人希望するか」によって、
1人目の妊活をはじめるべきタイミングの目安は異なります。
当たり前ですが、多くの子どもを希望する場合は、
それだけ早めに妊活を開始することが望ましいです。
とはいえ、キャリアプランとの兼ね合いもあって
難しいのが現実でしょう。
何に優先度を高くするのか
夫婦で話し合うことは大切です。