サッカーコート並みの広々とした空間
創業は終戦直後の1946年。高度経済の時代を通してさまざまなヒット商品を世に送り出してきたソニーは、言わずと知れた世界最大級のAV機器メーカーです。
本社ビルは、品川駅から徒歩5分の場所。12階にある社員食堂へ一歩足を踏み入れた途端、「おー!」と感嘆の声を上げてしまいました。ビルのワンフロアを占める食堂はサッカーコートと同じくらいの面積。机は間隔を空けてゆったりと配置され、一面ガラス張りで天井も高く、会社のなかであることを忘れてしまうほど明るく開放的な空間です。今回、そんなステキな社食を案内してくれたのは、Statup Accelertion部門Open Innovation & Collaboration部で新規事業に携わる得能あゆみさん。「毎日、ここに来ることを楽しみにしています」という社食ラヴァーです。
2つの運営会社が切磋琢磨
広大な食堂内は、専門店を含めて8つのコーナーに分かれています。
セルフサービスの巨大カフェテリアが2つ、サラダコーナー、ビュッフェコーナーに、イベントメニューを展開するコーナー。さらに、ベーカリーカフェ、カレーとパスタの専門店に、朝8時から営業している「こにぎり屋」という、小さめのおにぎりを売る店もあります。
最大の特徴は、2つのカフェテリアを、それぞれ別の運営会社に委託していること。そうすることで競争原理が働き、お互い切磋琢磨し合うことで、よりよい料理を提供してもらえるから……というのが理由です。さすが、国際的に強い競争力を持つソニーならではの考え方です。
女子栄養大監修のスペシャルメニュー
得能さんは会社から自宅が近いこともあり、ランチにひびくのでいつも朝食は抜き。会社に着いてから野菜ジュースを飲んで「社食の時間を待つ」のが日課です。
「わが社の社食はメニューが豊富なうえ、ハーフサイズのメインがあったり、小鉢をつけて品数を増やせたりできるので、選ぶのも楽しいです」
食事に対するこだわりは、「バランスを重視すること」。昼が魚なら、夜は肉、というように、学生時代からいろいろな素材をバランスよく摂取することを常に心がけてきたと言います。
「平日は夕食づくりに時間をかけられず、単品になりがち。ですから、たくさんの品数を自在に選べる社食は、本当にありがたいんです」
そんな得能さんがこの日選んだのは、女子栄養大学が監修する日替わり定食「ソニーごはん」。エネルギー600kcal程度、食塩相当量3g以下、野菜重量140gという基準でつくられた、栄養バランスを考慮した献立です。
「ヘルシーなものが食べたいときや、夜に飲み会を控えている日は、決まってソニーごはんです!」
そこに、毎日欠かさず食べるヨーグルトをプラス。
「食堂に来る時間もないほど忙しくて適当なものしか食べられない日が続くと、肌荒れして困ります」
そう言って笑う得能さんにとって、バランスのとれた食事を選べる社食は、健康と美容の源。なくてはならない存在です。
量り売りのビュッフェコーナーも人気
2015年に社食をリニューアルしたときに設けられたビュッフェコーナー「ビュッフェアイランド」には、毎日24種ほどのおかずが並び、そのうち4分の1程度がベジタリアンメニュー。多国籍の社員が働くソニーならではですが、野菜不足を解消するべく利用する社員も多くいます。
「専用のお弁当箱に好きなものをちょっとずつ詰めてテイクアウトできるのもいいところ。社食でゆっくり食べる時間がない、なんてときはオフィスに持ち帰ることができるので便利です」
テイクアウト用のランチボックスは、ナチュラルな紙製。試しに、ベジタリアンメニューのおかずを中心に詰め合わせてみたら、カフェで買ったお弁当にも負けない見栄えに。どれも値段は1g1.2円の量り売りで、合計288円。リーズナブルです。
“おこもり”ゾーンでリラックス
ビュッフェコーナーの奥には、リニューアルの際に設けられた“リラックスゾーン”と呼ばれる一角があります。カラフルなソファが点在し、中央にははしごをのぼって座るユニークな特等席も! どの席も、仕切りを設けるなどして周囲の人と目が合わない設計になっているので、「ひとりになりたいときに最適な場所です」と得能さんは言います。
ランチタイム以外も、パソコンや資料を持ち込んで仕事をしたり、お茶を飲みながらほっとひと息ついたり。会社のなかのオアシスは「人気ゾーンで、いつも混んでいるんですよねえ」とのとおり、この日も満席でした。
コーヒー片手に打ち合わせ
得能さんが食後に欠かさず寄るのは、食堂の入口付近にあるベーカリーカフェ「スタンダードコーヒー」。
「コーヒーが飲みたくなると、仕事中でもしょちゅう来てしまいます(笑)。パンもおいしいので、小腹が減ったときにも利用します。ほかのビルで働いている同期の子が本社へ来たときは、いつもここで待ち合わせ。私にとっての憩いの場ですね」
そう話しながら、この日もコーヒーを購入。そのまま、社内打ち合わせをするために1階の「クリエイティブラウンジ」へ向かうというので、連れていってもらいました。
ラウンジには、3Dプリンターや工作機器があり、いかにも“モノづくり”が好きな人に愛される場所です。なんとこのスペース、ソニー社員の紹介があれば社員以外も自由に出入りでき、格安料金で機材を利用できるというから興味津々。
入口には、社員が自ら発案し、オーディションなどを経て商品化されたアイテムが陳列。ベルト部分に心拍計や電子マネーなどの機能を入れ込んだ「wena wrist」や、携帯型のアロマディフューザー「アロマスティック」など、見た目もスタイリッシュなものばかりです。
得能さんは、このようなスタートアップの創出と事業運営を支援する部署「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」で働いています。
「社内外含め、起業に関心のある方にSSAPの活動を紹介したり、アイデアがある人たちの出会いや円滑なコミュニケーションの場を提供したりするのが私の主な仕事です。私にとっては、社食も大事なコミュニケーションの場。毎日の仕事の大事な活力源です」