薄毛・抜け毛の原因は複合的

薄毛や抜け毛の悩みは男性特有のものと思われがちだが、実は女性にも薄毛・抜け毛の悩みはある。古くから“髪は女の命”といわれてきたからこそ、男性以上に悩める問題であることは間違いない。そこで、女性頭髪専門外来を設置するクリニックの院長、浜中聡子先生に女性の薄毛・抜け毛の原因について伺った。

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「誰でも、加齢とともに抜け毛が増えるのは当たり前のこと。20代後半をピークに減少しはじめる女性ホルモンも、薄毛・抜け毛に影響します。毎日、80~100本程度の抜け毛なら自然現象であり、正常範囲です」

それ以上に毎日ごっそり抜けるようであれば、病気によるものが疑われるので専門外来での早めの受診がオススメ。では、女性の薄毛・抜け毛の特徴とは。

「女性の場合、男性と違って局所的に髪が抜け落ちるのではなく、頭頂部やつむじを中心に、頭髪全体が薄くなり地肌が透けてしまうタイプが多いですね。ほかにも出産後に症状が現れるもの、髪型に起因するものなどがあります」

キャリアウーマンの悩みどころは、バリバリ忙しく働くと男性ホルモンが多くなり、髪が抜けてしまうのではというものだが、それはありえないと浜中先生。

「男性ホルモンの分泌はごくわずか。髪に影響が出ることはまずありません。それより過度の飲酒、喫煙による血流低下、食生活の乱れや間違ったダイエットによる栄養不足、さらに睡眠不足など後天的な要素のほうが影響します」

女性の薄毛はさまざまな原因が複合しておこると考えられている。そのため、薄毛・抜け毛の診察・治療と同時に、心のケアを行うことも多いそう。

「抜け毛対策には、まずはストレスマネジメントが大切。何が自分の髪に影響しているのかを客観的に見つめ、その原因を取り除いていくこと。毎日ていねいに生きることが髪を取り戻す第一歩でもあるのです」

薄毛や抜け毛に悩みすぎると、それがストレスとなり、自律神経やホルモン分泌を乱すことにつながる。まずは髪の現状を専門外来で確認し、適切に対処しよう。

浜中聡子(はまなか・さとこ)
ウィメンズヘルスクリニック東京 院長
医学博士。米国抗加齢医学会専門医など国内外の専門医資格を多数取得。心身両面からのアプローチで「ウェルエイジング」を提唱・実践する、女性頭髪医療の第一人者。女性に寄り添った治療に定評がある。

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