会議やプレゼンという特別な場だけでなく、上司や取引先との普段の会話でさえ、自ら話すことに苦手意識を持っている人も多いのでは? 話す内容を見直すより、もっと手っ取り早く簡単に自信をつけられる方法があるんです!
フリーアナウンサー 小尾渚沙さん

少し意識するだけで、話すことが得意になる!

“おはようございます”のたったひとことでも、場を明るくすることのできる女性は職場でも一目置かれるもの。何がその差を生み出すのか。「ハキハキとした明瞭な声か、口角が上がって発音されているかで、同じ言葉も印象が変わります」と語るのはフリーアナウンサーの小尾渚沙さん。朝の番組を担当していたこともあり“聞いている人に元気を与える、明るく印象のよい声”には一家言あり。「働く女性は会議やプレゼンなど、発言する機会が多数あると思います。そのとき、滑舌と口角の位置に気を使うだけで伝えるチカラが上がります。ハキハキ話せると、内容が相手にスムーズに伝わるようになりますし、自信があるようにも見えて説得力が増します。口角が上がると声色が明るくなるし、表情が豊かに。たとえ疲れていても明るいオーラが自然と備わるように。そうなると、相手も話を意欲的に聞いてくれるようになるので、話すことがきっともっと楽しくなりますよ」

▼トレーニングのメリット
・滑舌がよくなりハキハキ話せるようになる
・イキイキとした声が出せるようになる
・表情が明るくなる
・表情が豊かになる
・話の内容に説得力が増す
→会話力、プレゼン力が上がる!

スキマ時間を活用した、簡単トレーニングを

「印象のいい話し方は、舌の動き、母音、口角の位置の3項目にかかっています。滑舌のよい話し方のために、まず舌を鍛えることが大事です。また、母音をはっきり発音することに意識を向けると、口ごもった印象が回避され、ぐっと聞き取りやすくなります。口角が上がっているかは常に意識するのが理想的です。慣れないうちは、パウダールームに行くたびに鏡を見てチェックすることからはじめてみましょう」

これら3つの項目を、会話中に無意識のうちに実践できるようになるためのトレーニングがあるそう。「ご紹介するものは私がアナウンサーの新人研修で教わったものをもとにしています。その中から、短時間で効果が表れるものや、多くの人が苦手と感じるものを厳選しました。これらのいいところはなんといっても、スキマ時間でできること。ドライヤーをかけながら、電車で移動しながら(ただしマスク着用必須)など、わざわざ時間をとらずともできるものばかり。私自身、続けやすくて助かっています」

▼重要なのはこの3つ
(1)をなめらかに動かすこと
(2)母音をはっきり話すこと
(3)常に口角を上げること
明るい話では口角が上がり目も笑ったやさしげな表情に、真面目な話ではキリリと引き締まった口元で真剣な表情に……というように、このトレーニングをマスターすればTPOにマッチした表情をつくれるようにも。説得力を後押しできる!
Warming Up●まずは顔全体をストレッチ!
【ギュッ⇔パッ体操】

顔の血流をアップさせることでトレーニングの効果を高める。朝起きた瞬間にやれば目が覚めるし、メイクがヨレる心配もなし。

まず顔全体を中心に向かってギュッと思い切り寄せる。「顔のすべてのパーツを鼻先に集めるイメージです。気分は梅干し!」。10秒ほどキープしたら今度は逆に、眉も目も頬も口もすべてを外側にパッと大きく開いて10秒カウント。これを3~5回ほど繰り返せば、顔全体がポカポカと温まってくるはず。「慣れないうちは、写真のように手も同時にすぼめたり開いたりするとやりやすいですよ」

“ながら”でできる、セルフ顔トレSTART!

特別な時間も道具も不要な滑舌&口角UPトレーニングは驚くほど簡単。慣れれば3分で終わる! ウオーミングアップも含めてすべてやり終えたときには、口がすこぶる回るようになるから、誰かと無性に話したくなるはず。しかも表情筋が鍛えられてフェイスラインが引き締まり、見た目が若々しくなる、なんていううれしい副産物も。効果実感が高いのも、続けやすい理由のひとつだ。また、口角が上がると気分が前向きになるという説もあるので、落ち込んだときにも最適。

Training 1●舌の動きをなめらかに!
【舌回し】

スマホを見ながら、パソコンを打ちながら……気づいたときにいつでもできるファーストトレーニング。ほうれい線対策にも!

上下左右、どこからはじめてもOK。口を閉じた状態で、舌先で歯茎の外側をなぞるようにしてゆっくりと一周させる。「はじめは舌がすぐに疲れてつらいかもしれません。慣れてきたらグルングルンとおもしろいように回せるようになりますよ」。右回り、左回りをまずは朝晩各3回からはじめてみて。舌の動きがスムーズになってきたら、朝晩各10回ほどを目安に。

Training 2●「ラ」行と滑舌改善のために!
【「ラレ」リピート】

「声を出すこのトレーニングはドライヤーをかけているときなどにやっています」と小尾さん。舌、母音、口角すべてに効果あり。

おなかにたっぷり空気を入れてから、「ラレラレラレ……」と息が苦しくなるまで続ける。このとき舌の動きと母音に注意を払って。「ラ」も「レ」もそれぞれ、イラストのように舌を上アゴにきちんと付けてから発音しよう。「ア」と「エ」の母音をしっかり意識することで、口を大きくあける練習にもなる。さらに口角を上げて前歯を見せるようにすれば、明るい表情も手に入る!

イラスト=フジマツミキ
Training 3●歯切れが格段によくなる!
【「カ」行の無音修業】

子音の破裂音に注目することで、快活な印象の話し方をめざせる。「ラレ」リピート同様、ドライヤータイムや着替え中などに。

「声を出すというよりは、一音ずつ短く鋭く、息を前に発するイメージで行います」。表のように、“カキクケコ”からはじめて“キクケコカ”と頭の文字をひとつずつズラして発していく。はじめのうちは一音ずつゆっくり丁寧に(1)から(5)までを3回繰り返そう。「慣れてくれば、(1)から(5)までを5秒で言えるようになりますよ。まるで早口言葉みたいに」

Training 4●常に美しい表情のために
【口角キープ】

口角がキュッと上がった口元の持ち主は、性別問わず素敵。最後は、左右の口角を美しく上げるためのトレーニング。パウダールームで鏡を見るたびに実践を。

鏡の前に立ち、口角の少し外側・ほうれい線の内側に指の腹を添え、理想の位置(2)まで「ニッ」と上げる。3秒したら指を離す。このとき、なるべく(2)の位置で口角をキープできるように意識して5秒数える。どちらかの口角が下がっていれば、下がっているほうに指を添え再び上げよう。毎日コツコツ続けて、両方の口角が左右バランスよく上がる口元をめざしたい。

▼言いづらいワードを練習するのも手!
「言いづらい言葉を集中的に練習することも、滑舌改善に最適です。苦手な発音にピンポイントで対策することができるので」。右の例を読み上げてみて。スラスラと言えない言葉は特に、ゆっくり確実に、小さめの声で慎重に。それから徐々にスピードアップを。
例)
・生バナナなど ・老若男女 ・子育て支援 ・生暖かい 
・現在詳細を調査中 ・初出場 ・摘出手術中 ・エベレスト登山
小尾渚沙(おび・なぎさ)
フリーアナウンサー
山陽放送、文化放送を経て、フリーアナウンサーに。「くにまるジャパン 極」(文化放送)の「デイリー『ホッと』トピックス」コーナー(木・金曜)、「みのもんたのよるバズ!」(AbemaTV)のニュースコーナーなどを担当。明るくすがすがしい声にファンが多く「おびちゃん」という愛称で親しまれる。ビールと焼き肉、ラグビー観戦が好き。