4月10日は1946年、日本で初めて女性に参政権が認められた「女性の日」という記念日だ。時代は下り、2015年8月に、数値目標も盛り込まれた女性活躍推進法が成立した。現在、女性活躍は実際どのくらい進んだのだろうか。

総務省の労働力調査では、17年平均の女性(15~64歳)の就業率は、67.4%で過去最高。内閣府調査でも、12年から17年の5年間で、上場企業の女性役員数は約2.4倍以上、3.7%となった。20年以上女性のキャリア支援に関わり、女性活躍推進のコンサルティング、研修などを行うCHANCE for ONE社長の清水レナさんは「建設業界など従来女性の採用数が少なかった業界で、推進法以降は採用が増えている」という。たとえば、最大手ゼネコンの鹿島建設では、女性総合職の採用が、15年の9.8%から17年には20.8%にまで増えている。これは大きな流れの端緒であろう。

データ上だけでなく、現実に女性活躍が進んでいるのだろうか。清水さんは、女性活躍推進に真剣に取り組む会社には、優秀な女性たちが集まるようになってきたという。「女性社員の定着の道筋が、細く長くさせることから、管理職登用を目指して定着させることに、変わり始めています」

企業向けITサービスのSCSKでは、女性に対する研修を世代ごとに分けて実施。各世代の育成課題に応じた内容で、女性ライン管理職数が12年度13人であったのに対し17年4月には74人に拡大し、女性役員も2人になった。

またコニカミノルタでは、14年度から、女性管理職候補に複数年の育成計画を作成。リーダーシップ研修と並行して、上司以外のメンターによるサポートも付け、育成が着実に実行される体制を組む。

この2社は女性活躍に取り組む優良企業を認定する「えるぼし」最高位と、子育てサポートの優良認定「プラチナくるみん」を厚生労働大臣から取得している。

前出の清水さんによると、女性社員の間に「ロールモデルがいないことを言い訳にせず、自らがロールモデルになる意識と覚悟が醸成される」機運もあり、「10~20年前から女性活躍に取り組んでいた企業では女性上級管理職が着実に生まれつつある」という。

「大介護時代」の前に、意識変革が必須

しかし課題もある。女性活躍は「進んではいても、まだまだ時間がかかる。人材育成をいかにするかという話でもある。10~20年といった、長期的なスパンで見るべき」(清水さん)で、定着するかどうかは今後の取り組み次第だ。

自らがロールモデルになる意識と覚悟を。(写真=アフロ)

日本男性の育休消化率は、16年度でもたった3.16%。課題の1つは、男女役割分担の意識から男女ともに逃れられていないこと。清水さんは「上司が女性を幹部候補とみなさず、女性が管理職適性年齢までに経験が積めないということがまだまだ起こりがち」と指摘する。

時間制約をどう乗り切るかという課題も根強い。「多くの日本企業では、管理職になることは、時間制約なく働けることとほぼイコールであり、男性並みに働く女性が管理職になり、時間制約のある女性たちは管理職を担うことができなかった」が、「いわゆる団塊の世代が75歳以上になる25年、『大介護時代』には、男女問わず社員の多くが時間制約を受ける。時間制約は女性だけの問題ではなくなる」(清水さん)。

意識改革、働く環境の改善や、即結果が出ない育成という長い目での取り組みが今後も欠かせない。