脳は1時間単位で発揮する能力が変わる。作業療法士の菅原洋平さんは「脳の仕組みを把握し、脳の時間を制する人が、仕事も制する」と語る。ポイントはなにか。脳のコンディションを狂わせてしまう“やってはいけない”行動について、菅原さんが「8つのNG行動」で具体的に解説する――。
▼残念脳をつくる「やってはいけない」リスト
・3時間寝だめするのは逆効果
・夜食べる甘いおやつにご用心
・夕方は眠くなっても目を開けて
・ベッドとは「寝るところ」だと心得よ
・パソコンに付箋を貼ると非効率!?
・「ちゃんとやる!」っていったい何を?
・スマホなきトイレに神は舞い降りる
・インナーの安物着れば脳が泣く

「この8つのNG行動は、ついやってしまう人が多いと思いますが、すべて、脳のコンディションを崩す誘因となります」と菅原洋平さん。

まずは寝だめ。「休日の起床時間がズレればズレるほど、頭痛はひどくなります。週末の寝だめは3時間を超えると逆効果になることを知りましょう」

夜甘いものを食べるのもNGだ。「夜、むやみに糖分を摂ると、生体リズムはズレやすくなります。糖分は、夜より朝に摂取したほうが有効的。リズムも修正してくれます」

「ここで寝たらもったいない」が大切

夕方の昼寝も気をつけて。「帰宅時間である夕方は、最高体温の時間に入っているので絶対に寝てはいけません。起きている時間が長いほど深く眠れることを忘れずに、“ここで寝たらもったいない”と思うことが大切」

寝る場所にも注意が必要。「ベッドはあくまで眠る場所。眠くないのにベッドに入って横になるのはやめましょう。睡眠と休息の場所を分け、脳に記憶させます。絵本の読み聞かせもNGです」

あなたの些細な行動が、脳に思わぬ影響を及ぼす

忘れないようにとやっていることが脳を疲れさせる?

「パソコンに付箋を貼るのは、国語の勉強をしている子どもの前で算数の教科書を見せるのと同じこと。視野に入ると、脳は“これをいつやるかな”と考えながら、今の作業を進めることになるので、効率が下がります」

脳は抽象的な言葉も苦手です。

「“ちゃんと”や“しっかり”など抽象的な言葉はNG。脳は具体的な言葉で伝えないと行動できないので、“議事録を書く”など、具体的な言葉にして指令を伝えましょう。“やらなきゃ”ではなく“やる”です。また、“できない”も過去のできなかった記憶を引っ張り出してしまうNGワードです」

ひらめきを得たいのであれば、スマホは邪魔

ものによって脳の働きが左右されることも。

「お風呂やトイレはひらめく場所。ひらめきを得たいのであれば、スマホは邪魔になります。また、女性は触覚が重要。触覚だけは遮断できず、常に脳に情報として送られてしまうので、不快なインナーを着るのはやめましょう。また、タオルにこだわると、お風呂=面倒という記憶も消えます。肌触りのいいものに触れることと脳の働きが関係することを知りましょう」

些細な行動が、脳に思わぬ影響を及ぼすことを忘れずに。日々のパフォーマンスを上げるためにも、できることからスタートしてみては。

ユークロニア代表取締役社長●菅原洋平さん
作業療法士。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。