話し上手、PR上手、段取り上手で、イザというときの対応もバッチリ! 仕事ができる印象のある広報の皆さんが日々心がけていることとは? どの部署でも活かせる知恵満載です。
部長にしか得られない情報をゲットしてメンバーと共有
●コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 広報部 部長 尾縣香名子さん
営業や製造現場の情報収集は、広報チームのメンバーに任せています。立場によって、集められる情報の種類が違っていて、例えば私には経営陣や、他部署の部長から得られる情報があり、課長以下のメンバーには同様に、彼らでなければ得られない情報があります。双方の情報を共有しあって、良い結果につなげていくことを心がけていますね。
社内で気になること、知りたいことがあれば、電話やメールも使いますが、できればまず会いに行って、直接話すようにしています。例えば、広報メンバーから「社内でこういう会議があるらしい」という情報が入ると、そこではどういう話題が出るのか、誰が出席するのかを聞きに行ったり、あるいは私たちが計画していることが現実的に実現可能かどうか、確認しに行ったりします。そうやって足を運んで話すうちに、結果的に新しい情報が得られることが多いですね。
本国からの情報もウォッチします。今やニュースには国境がなくなっていて、アメリカで話題になっていることがツイッターなどで日本でも注目され、さらにネットのニュースになって、次は新聞に取り上げられるという、だいたいの流れがあります。
コカ・コーラはグローバル企業ですが、アメリカでは私たちの飲料が糖分や添加物を理由に批判にさらされることもあります。同様の流れが日本に来ないかどうか、常に動向を見て、日本でも火がつくかもしれない動きは見逃さないようにしています。また、アメリカのコカ・コーラがどういう対応をしているのかも注目しています。
当社の場合は、日本コカ・コーラでリスクになりそうなニュースをチェックしてくれているので、そこからも情報が入ってきます。
エンジニアも含め、広報の重要性を共有
●マツダ 広報本部 国内広報部 国内商品グループ 新田 梢さん
当社の広報は、とても恵まれていると思うんです。エンジニアも含めて皆が広報やマーケティングの重要性を認識しています。「造ったものを自分たちの言葉で伝え、情熱も含めてわかってもらうまでが仕事」だという意識を共有しているんです。
新車種の発表の前には、必ず数日がかりで取材会という社員向けのイベントが行われます。それぞれの技術について、各担当者がレクチャーしてくれるのですが、私たちはその内容を広報資料に落とし込んだり、エンジニアの人柄や話しぶりを見て、取材対応に適した人材を探すなど、今後の広報に生かせます。
マツダは、ある程度受け身でも社内情報が入ってくる良い体制ができています。でも、こうした取材会の中で活発な議論がでて、深く情報収集できるようになったのは、ここ4年ぐらいのこと。リーマンショック後、4期連続で赤字を計上した当社が、「良い商品を確実にお客さまにお届けしたい」と発売したのが2012年のCX-5。それ以降の車種を「新世代商品」と呼んでいるのですが、「新世代」になってから、ブランドをつくるという意識が社内でぐっと上がりました。それからですね。自分の業務はあくまで開発だと考えがちだったエンジニアも、「広報も含めて仕事」ととらえるようになったのは。
▼ここが助かる! マツダ広報の仕組み
・会社をあげて広報を大事にしてくれる。社内情報が自然と入ってくるほどオープン
・エンジニアも広報に協力的。商品の価値を伝えるところまでが自分の仕事という認識
・「社員向け取材会」はネタの宝庫。新車種投入時は数日がかりで開催
とくに用事がなくてもふらっと社内をパトロールします
●ライフネット生命保険 営業本部 マーケティング部 広報グループ グループリーダー 関谷 誠さん
会長の出口治明がよくやっているのですが、コンタクトセンターのオペレーターの表情を直接見に行くと、「今回のサービスは好評なのか?」とか、「良くない問い合わせがあったのかな?」など、お客さまからの反応がわかるようです。そこから僕もヒントを得て、時間があれば他のフロアにふらっと顔を出すようにしています。そうして直接仲間と話していると、新たなネタを教えてもらえたり、いざ取材依頼があったときに協力してもらえそうかどうかもわかってきます。
また当社は、中途採用の社員が多く、年功序列がないので情報交換のしやすい環境になっています。社内で自主的に行われている面白い取り組みがあって、ランチタイムに中途採用の新入社員がプレゼンをするんです。毎回2人ほどの新入社員が15分ずつ自分の話をして、あと30分は先輩社員と質疑応答。僕もそこに参加して、新入社員の経歴や意外な趣味などを把握しています。
多様性を大事にしている当社の面白いところは、社員の半分が異業種からの転職組であること。キャリア、年齢、性別、いろいろな社員がいるので、取材依頼を受けたときなど、広報としても助かっています。
コカ・コーライーストジャパン コーポレート・コミュニケーション本部 広報部 部長。1973年生まれ。総合商社にて7年間貿易アシスタントとして活躍。2002年より日本コカ・コーラにて役員秘書、社内広報、社外広報を歴任。13年、コカ・コーライーストジャパンに入社、新広報組織を立ち上げる。
新田 梢
マツダ 広報本部 国内広報部 国内商品グループ。1982年生まれ。大学卒業後、マツダに入社。広島本社で広報のキャリアをスタート。3年間広報に携わった後、当時新設されたCSR・環境部の立ち上げメンバーに。2年後に東京へ異動。企業広報を経て現在は商品広報を担当。
関谷 誠
ライフネット生命保険 営業本部 マーケティング部 広報グループ グループリーダー。1979年生まれ。レストランチェーンでブライダル事業などを担当。広告代理店へ転職し、企業に対するデジタルマーケティング戦略の企画・提案に従事。2008年ライフネット生命保険にウェブプロモーション担当として入社。