転職して年収が上がるとはかぎりませんが、チャンスがあるのに見逃している人も!? ここでは、収入アップにつながる転職について、転職コンサルタントや転職成功者にインタビューしてきました!

ケース3:マネジメント職に就き、年収はますます上昇!
●安富朝子さん(仮名)場合
職種:特定領域を扱う外資系の製薬会社の社外広報担当
転職のきっかけ:マネージャー候補として、製薬会社から声がかかった。
成功の秘策:経験!

これまで5回の転職を経験した安富朝子さん(仮名)にとって、収入アップは先へ進むためのモチベーションになった。

「仕事をしていくうえで自分がどれだけ評価されているかは、なかなか見えない。その評価の目安がお給料だと思います。転職を考えるときは現状に満足できない自分がいて、上を目指したいという気持ちが強かったですね」

アメリカの大学を卒業後、報道の仕事を希望してテレビ番組の制作会社に就職。アシスタントプロデューサーとして番組の予算管理から制作まで任されたが、長時間におよぶ現場での仕事は体力的に厳しく、本当に自分がやりたいことかと悩んだ。ならば一度離れてみようと思い、3年目にスポーツのイベント会社へ転職。テレビ業界での経験が評価されて年収は上がり、英語力も活かせたが、やがて経営が傾き始め、転職を考えざるをえなかった。

「やはり先を見たときに、安定性のある業界で長くキャリアを積んでいきたいと、もう一度リセットし、大きくシフトチェンジしようと思ったのです」

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転職先に選んだのは医療業界だった。転職サイトに登録したが、畑違いの業界だけに苦戦する。ようやく採用されたのは医療系広告代理店の営業職。そこでは年収が下がり、待遇も厳しかったが、医療業界の慣習やさまざまな病気に関する知識を得ることができた。

1年後には、エージェンシーを介して製薬会社から声がかかった。業界での経験はなくても、むしろメディア慣れした人材を求めると聞き、チャンスに懸けて面接を受ける。採用が決まり、製品のPRを担当することになった。

「外資系なので海外にある本社ともやり取りでき、プレスリリースの作成や取材対応、病気に関わる啓発活動もする中で製薬業界において知っておくべき基礎を学べた。その経験がその先のキャリア形成にも役立っています」

年収は650万円に上がり、福利厚生も手厚かった。残念ながら会社の業績低迷で当初のポジションは3年でクローズしたが、安富さんは続いて国内の製薬会社の広報部へ転職。その後、さらなるキャリアアップとして、マネジメント職を目指そうと考えた。

2015年秋には5回目の転職を果たし、外資系の製薬会社へ。面接では「今までの経験と実績をいかに伝えるかがポイント。自分が行ってきた製品PRがどれだけ売り上げに貢献できたかを数値で示す。業務に対する指示の出し方などマネジメント能力も含め、しっかり実例をあげてお話しできました」と安富さん。

年収は200万円アップ。製品のPRから企業広報まで一人で手がけ、新たに学ぶことは多い。今では製薬業界で人の命に関わる情報を伝えていることにやりがいも感じる。

「一つの会社で実績をあげることも大事ですが、転職は違う業界で道が拓けたり、ジャンプアップできるのが魅力かもしれませんね」

冨田寿一郎=撮影 エン・ジャパン=取材協力