私たちの真剣な悩みや大きな課題に、お笑い芸人のダンディ坂野さん、ノンストレス代表の坂野尚子さんが知恵を絞って答えてくれました。どれも、そう来たか! と唸らされる回答ばかり。肩の力が抜け、前向きになれそうです。(Q1、Q2回答者:ダンディ坂野さん、Q3、Q4、Q5回答者:坂野尚子さん)

Q1. 仕事相手にムカッときたとき、穏やかに対応するには?

A 「この人は幸せじゃないんだ」と考える

お笑い芸人・ダンディ坂野さん「仕事相手は一時の関係。いずれ終わります!」

僕の場合、相手からのオファーがあって成り立つ仕事なので、もともと「対等の関係ではない」と考えているんです。だからカチンとくることがあっても、「なんでそういう言い方するのかなぁ?」と思っても、黙って受け流します。地方営業の仕事だと、相手がそのつど変わりますから、「この仕事が終われば、もう二度と会うことはないな」と思って終わりですね。関係がしばらく続きそうなら、「ああ、この人は幸せじゃないんだろうなぁ」とか、「私より先にお亡くなりになるだろうな」と考えると、気持ちが落ち着きます。

ただ、ずっと一緒にいる相手、上司や先輩だったらそうもいきませんよね。勤めている方なら、「このまま、ずっとひどいことを言われ続けるんじゃないか」と憂鬱(ゆううつ)になることもあるでしょう。そんなときは、誰かに話してストレスを逃がすのがいいと思います。組織にいれば、自分と同じような立場にいて、共感してくれる人が一人くらいはいるでしょう。「自分だけがそう思っているわけじゃない」とわかれば、それだけで心が軽くなりますよ。

Q2. 飲み会を盛り上げるコツは?

A 相手の話を1.2倍のテンションで返す

僕が心がけているのは、その場にいない人の悪口は絶対に言わないこと。飲み会で出た話って、都合よく脚色されて広まってしまいますから。セルフプロモーションというと大げさですが、外で飲むときは一職業人としての姿勢を崩さないことです。

相手が振ってきた話は、興味がなくても必ずイエスで受け止めます。そして、1.2倍のテンションで返していく。すると相手も喜んで盛り上がります。くだらないオヤジギャグに突っ込んだり、笑って「処理」するのも仕事のうち。自分だって、そうされたら嬉しいですからね。

幹事になって、ちょっと変わった店をチョイスするのもおすすめです。例えば、最近ブームの熟成肉とか、海外の珍しい料理を出す店とか。イタリアンなのに馬刺しが出てくる、みたいな意外性のある店も面白いですね。

以前、都内にあるアメリカンレストランに後輩を連れて行ったら、とても喜んでくれました。ここはバケツに入った海老のビール蒸しが名物。ユニークな店は、行くだけで盛り上がりますよね。

▼行くだけで盛り上がる個性派レストラン※編集部調べ

●マッシュルームトーキョー(東京)
日本初(唯一)のマッシュルーム料理専門店。全メニューにマッシュルームを使用。
●但馬屋(東京・大阪)
骨付きで丸ごと1頭、45日以上熟成させた黒毛和牛を提供。
●ブルガリアンダイニングソフィア(東京)
日本で唯一、本格的ブルガリア料理を堪能できるお店。ブルガリア大使館公認。

Q3. “昭和な上司”に言いたいことを伝えるには?

A 本音はぶつけず、「頼りにしてます」とおだてる

ノンストレス代表・坂野尚子さん「1つ失敗しても、2歩前に進めれば大丈夫」

昔ながらの考え方や仕事の仕方にとらわれて、時代の変化についていけない化石のような人、いますよね。部下のほうが正しいとわかっていても“昭和な上司”は頭が固くなっていて時代に即した判断ができません。ですから正面からぶつかっても自分が疲れて損をするだけ。大切なのは仕事の結果であって、上司をやりこめることではありませんよね。であればダメな上司の言葉をサラリと受け流すくらいの余裕を持ちましょう。

昭和な上司は、自分の存在価値を認めてほしい人が多いもの。

「頼りにしてます」と自尊心をくすぐっておいて、こちらの意見を通します。おだてられているなと相手が感じたとしても、ほめられて嫌な気持ちになる人はいません。

「相手をおだてる」という方法は、とてもスマートで有効な手段。目的を果たすことを第一に考えたテクニックです。それを見た周りの人は、「彼女はコミュニケーション能力が高いな」と認めてくれると思います。

Q4. 必要な社内政治と、意味のない社内政治の違いは?

A 自分の能力を上にアピールすることは必要。派閥や属性によって人を分類するのは無意味

Q5. 職場の独身女性とワーママはどうすれば手を組める?

A ワーママは感謝をこまめに伝える。独身女性は未来を想像してみる

これは非常にセンシティブで大きな問題です。当社も産休や育休、育児短時間勤務をする社員が10%以内に収まっている間は「誰もがいつかは通る道。思いやりを持って仕事をしましょう」と話して納得を得ていたのですが、15%を占めるくらいになると見過ごせないひずみが生じてしまいました。仕事の量が増えるばかりの人が続出して、不満が噴出したのです。

これを抜本的に解決するには、経営者が何らかの社内制度を整備する必要があるのですが、当面はやはりコミュニケーションをとることで対応するしかないと思います。ワーママは周囲に対して「当然」という態度ではなく、感謝をこまめに伝えるようにする。独身女性は、いつか自分が同じ立場になるかもしれませんし、介護で勤務体系を変えることがあるかもしれません。「将来の自分にも起こりうること」という気持ちで、未来のために良い職場環境をつくることを目指して仕事をしていただければと思います。

ダンディ坂野
お笑い芸人。1967年石川県生まれ。96年にピン芸人としてデビュー。お笑いブームをけん引した「爆笑オンエアバトル」(NHK)に第1回から出演。マツモトキヨシのCMで「ゲッツ!」のギャグが大ブレイクした。
 
坂野尚子
ノンストレス代表。フジテレビアナウンサー、外資系コンサルティング会社のディレクターを経て、1994年にキャリアカウンセリングで起業。96年に2社目の現会社を起業。NYを含めネイルサロンを71店舗経営。コロンビア大学MBA。