鋭い人間観察力がさえ渡る、5人の働きウーマンが集結。数々の男性上司のもとで働いた経験から、「器の大きさ」を見抜き、対処するワザを編み出していった彼女たち。その奥義を余すところなく語り尽くします。
●人材育成業 コンサルタント 梅沢順子さん(42歳/仮名)
●外資系金融会社 アシスタントマネジャー 宇野絵美さん(39歳/仮名)
●専門商社 事務 粟野紀子さん(45歳/仮名)
●金融関連企業 法人営業 村松里子さん(34歳/仮名)
●物流サービス企業 広報 佐藤奈美さん(32歳/仮名)

“怒られたい願望”を満たすお母さん戦法

【佐藤】私は、結構おじさん上司にもガンガン言いますよ。「はい、部長も電話出ましょ! みんな忙しいから!」とか、おしりを叩いちゃう(笑)。

【宇野】そのキャラ、いいですね。

【佐藤】男の人って、マザコンみたいなところがありますよね。実は怒られたい、構われたいっていう男性上司、意外に多いんじゃないかな。

 

【粟野】なるほど! できたらいっぱいほめてあげて(笑)。

【佐藤】そうそう。「これ、PDFにして」って何度も頼んでくる部長にも、「はい、今日で3回目! 紙とペン持ってきて。教えるからメモ!」って、スパルタ指導。「お前のせいで、できるようになっちゃったよ」なんて言って、案外うれしそうでした。

【粟野】「面倒な上司」と思うと、ついコミュニケーションを避けてしまいがちですけれど、それではもう発展しないですもんね。

【佐藤】お互いにウィン・ウィンの関係を築くっていうふうに考えると、自分もラク。社内パフォーマンスばかりの上司だったら、その人の評価も上がるようなポイントをつけておけばいいんです。そうしたら、あとは自分のやりたいようにさせてくれる。コツさえつかめば、むしろやりやすいんじゃないかと思います。

【宇野】私は、「この人ダメ」「自分でやったほうが速い!」ってばっさり切り捨てちゃうタイプだから、ちょっと反省。お母さん戦法、できるかな。マネしてみます!

【宇野】私たち部下からの評価って、かなり公正。「あいつ、小さいよね」なんて思っていた人が、大きな局面で前面に立って戦ってくれたりすると、一瞬で今までのマイナスが帳消しになる。

【梅沢】必要とされる場面でどう動くか、どう引っ張ってくれるか、が大事ですから。単なる感情論で「好き」「嫌い」って言っているわけではない。

【宇野】そうそう。ただ、残念なことに「大事なところで意外とダメね」ってなる人もいますけれどね(笑)。

【村松】上司の皆さん、部下からの評価も高めるべく頑張って!

【宇野】それが結局、上からの評価にもつながる。管理職に求められているのは、マネジメント能力ですよね。部下ときちんとコミュニケーションをとって、決めるべきところでちゃんと決めて、最終的な責任は自分が負う。

【粟野】マネジメントを軽んじていると、「あの人、全然ダメです」って下から糾弾されることだってある。部下を見ない上司は、足場がすごく不安定なんだってことを自覚するべきですね。

理想の上司No.1は「ケツは持つ」覚悟がある人

【村松】新人のとき、上司から「謝るのが上司の仕事。お前は好きにやっていい」と言ってもらったことがあります。失敗をおそれずに仕事に向き合ってこられたのは、その人のおかげだなって今でも感謝しています。

 

【佐藤】私も大きなプロジェクトを任されたとき、「思った通りにやってみな。困ったときは相談に乗る」って言ってくれた上司がいて。気合入りました。

【村松】やるぞ! って思えますよね。激怒されたこともあったけど、真剣に怒ってくれることもありがたかったな。

【宇野】私も欠点をズバッと指摘してくれた上司のことは、誰よりも信頼しています。普通は嫌われたくないから、マイナスなことって濁しますよね。

【佐藤】多いですね、言いにくいことはなんでもメールって人。

【粟野】人間性を否定されたら嫌だけど、仕事のことならちゃんと聞くのに。

【梅沢】私の理想は、情熱を持って率先して動く人。今の時代、やさしくて穏やかな上司より、変革をもたらしてくれる人が求められていると思うんです。

【宇野】好みは分かれるかも? 私、熱い人、ちょっと苦手……(笑)。

【佐藤】でも、なんかいい方向に変えてくれそう! って思える人の下にいると、ワクワクする。私に「自由にやれ」って言ってくれた人も、体育会系で熱い人でしたよ。数字にも厳しいから、周りにいた男性社員は激やせしていきましたけど、私は好きでした。

【村松】いいですね、いい意味で男女の区別がないところもすてき。日本の企業って、「これは女性には無理」と性別で線引きをする人が多いですよね。私は幸いなことに、そういう先入観なしに見てくれる上司との出会いで、引き上げてもらえた。女性の場合、スポンサーシップを発揮してくれる上司に恵まれないために、能力があっても埋もれちゃうケースってあると思うので。

【梅沢】そういう人にこそどんどん昇進して、人を育てて、能力のある人を引き上げていってほしいですよね。

▼上司の器5つの法則

【法則1】男性は、心のどこかで女性よりも自分のほうが上だと信じたい
男のプライドとコンプレックスほど面倒なものはありません。口では女性管理職賛成! と言っていても、自分の後任が女性だと不愉快になる。「俺の仕事は女にできるほど簡単じゃない」と言いたいのです。
【法則2】器の小さいダメ上司のほうが部下は育つ
コモノにあたったときは、試練だと思って耐えるしかない。巻き込まれないように注意しながら粛々と仕事をするのみです。知恵を絞って戦略的に動くようになるのでおのずと部下の仕事力が上がっていきます。
【法則3】器の小さい男性は、女性に異論を唱えられるのが苦手
人より優位に立ちたいという競争意識が高い男性。彼らがいちばん屈辱に感じるのが、女性に負けること。自分が間違っていたとしても、“女なんかに”指摘されたくないと思うから、意固地になってしまうのでしょう。
【法則4】ピンチのときの対応に器の大きさがあらわれる
器の大きい上司には、「最終的な責任は自分にある」という覚悟があります。一方で小さい上司は、上に「指導してますアピール」をするために、わざわざ自分の上司がいる前で部下を叱ったりすることが多い。
【法則5】コンプレックスをこじらせた男性は厄介で滑稽!
人からバカにされたくない、という気持ちが強すぎて、かえってバカにされるような行動をしてしまう男性が多いようです。原因は、根っこにあるコンプレックス。うじうじねじれさせると、ほどけなくなりますよ。