セミナーでは教えてくれない運用の失敗談、成功談も覆面座談会だからこそ言えること。仲の良い友人同士の会話でも、ここまで赤裸々に自らの懐具合を披露することはありません。フツーに働く5人の女性たちが、資産運用の極意を公開します!
<聡美さん・46歳・独身>
◎年収=1000万円
◎初めての投資年齢=34歳
◎運用歴=13年
◎当初の資産額=200万円
◎現在の資産額=4000万円(不動産は含まず)
【運用内約】株式投資80%、積立投資10%、外資預金5%、貯蓄型保険5%
<希美さん・51歳・既婚コンサルタント(自営)>
◎年収=1200万円
◎初めての投資年齢=41歳
◎運用歴=11年
◎当初の資産額=秘密
◎現在の資産額=たくさん
【運用内約】外貨MMF30%、外貨建個人年金30%、投資信託20%、貯蓄型保険20%
<美佳さん・42歳・独身>
◎年収=871万円
◎初めての投資年齢=39歳
◎運用歴=4年
◎当初の資産額=1000万円
◎現在の資産額=5300万円
【運用内約】不動産80%(内融資額75%)、財形貯蓄10%、貯蓄型保険10%
<美子さん・34歳・既婚証券会社勤務>
◎年収=650万円
◎初めての投資年齢=26歳
◎運用歴=9年
◎当初の資産額=300万円
◎現在の資産額=450万円
【運用内約】定期預金35%投資信託30%外貨預金30%貯蓄型保険5%

【聡美】資産運用を始めたのは、居住用のマンションを買ったことがきっかけ。自分の給与だけでローンを返済していくことに不安を感じたんです。給与以外の収入が欲しかったので、まずは手堅い投資信託から始めました。投資信託の積み立て(積立投信)だと、大きな利益は出せませんが、地道に増えていくので、運用に手応えを感じることができました。でも、自分の手で株式投資をすることには躊躇(ちゅうちょ)していました。そんなとき、私自身が会社のIR(投資家への広報)担当になったことで、株の仕組みや売買について勉強することに。仕組みがわかると意外とおもしろくて、自分自身でも株取引をするようになったんです。今では、資産の80%が株。13銘柄保有しています。

 

【希美】私が資産運用を始めたのは、主人が株で負け続けていたから(笑)。主人は勉強もしないでフィーリングで買うから負けて当然。でも、投資信託はプロが運用してくれるからやっているけれど、私も株はちょっと……。

【聡美】株は女性に向いていると思うの。男性は数字を追いかけるのが得意だから、業績で売買を決めるけど、市場の動きは数字だけではわからないもの。大手電機メーカーだって不正会計問題を起こしているほど。数字だけを追いかけていると、痛い目に遭いますよね。それより、女性目線で客の立場になれば、買っていい株・買ってはいけない株が見えてくると思うんです。

【美佳】たとえば?

【聡美】自分の身近なものから上場企業を見ていけばいいと思うんです。日頃使っている化粧品や日用品メーカーが、客の目線で商品づくりをしているか、サービスを考えているのかとか。女性は常にそういう見方をしていますよね。世界市場を見るよりも確実に企業の姿勢が見えますよ。それは、私自身がIRという仕事を通じて、強く実感するようになったことなんです。

【俊子】そうそう、女性は自分が持っている情報を活用できていないんですよ。私はフリーデザイナーという仕事柄、流行のファッションや雑貨の情報に敏感なんです。ただ、私にとっては「知っていて当然」の情報。それが何かの役に立つとは全く想像もしてなかったんですよね。でも、知り合いのファイナンシャルプランナー(以下FP)が、「俊子さんは世間に広がる前の流行情報をたくさん持っているんだから、その情報を使わない手はない」と。

【美子】なるほど! 流行情報だから、インサイダー取引にならない(笑)。

【俊子】さすが、証券会社勤務はツッコミどころが違いますね(笑)。ファッションや雑貨は流行の移り変わりが早いので、短期の株売買にはいいんじゃないかって。資産運用を始めてまだ2年ですが、もっと早く始めておけばよかったって後悔してますよ。

【希美】利益を出したからでしょ(笑)。

【俊子】ボチボチですが、ま、着実に。でも、まだ多くを投資するのは不安だから、投資額は少ないんです。少しずつ勉強して、そのうち……と考えています。だから、預貯金で現金を多めにキープしているんですけどね。

 

【希美】その道に通じているって大事。私の運用のメインは外貨、オーストラリアドル。以前、オーストラリアに住んでいたから、向こうの経済動向や政治情勢は、私にとって身近な話題なんです。向こうの情報を見ながら、そろそろ売るか、今は買い増すかってタイミングを敏感に察知できるんですよ。

【美子】自営だから、商売のカン所が優れているんじゃないですか?

【希美】ああ、それはあるかも。勝負勘は強いほうだと自分でも思うもの。

【聡美】でも、海外株は難しいなぁ。2年前、シェールガス関連の株を集めた投資信託を積み立てで始めたんだけど、ここ半年でガクッと落ちこんで……。原油がここまで安くなると太刀打ちできないわ。値が戻るのを待つか、損切りするか……悩んでいるところ。

【俊子】購入銘柄はどう選びますか?

【聡美】株価の上がりそうな企業に目を付けたら、まずは1口買ってみるんです。それで少し値動きをチェックして、ペースがつかめたら買い増します。その後は放置。短期売買はしません。短くても3カ月は保有するかな。

【俊子】損失を出したことは?

【聡美】大きな損失を出したことはありませんね。シェールガス関連の投資信託もまだ損失額が見えてなくて。個別に株を買っていなくてよかったと胸をなで下ろしているところ。

ただ、2015年11月の郵政3社の株発売のとき、購入予約を入れていたのに、証券口座にお金を入れ忘れていて、結局買えなかったんです(泣)。

【美子】郵政株かぁ、順調に上がっているみたいですもんね。

【聡美】損失は出していないけど、ちょこちょこ失敗して、チャンスを逃しています。あるとパーッと使ってしまうたちなので、資産はそれなりにあっても、すぐに使える現金がなかったり……。そうすると、いい銘柄に出合えても、購入のチャンスを逃したりすることもしばしば……。株価が急落している今、買いたい銘柄はいっぱいあるんですが、それもかなわず(苦笑)。

【FPポイント】
株式投資に限らず、分散投資は、リスク回避のための基本中の基本。そして、投資信託も株式投資も、すぐに現金化することが難しいので、まとまった現金をプールしておく、または、すぐ現金化できる運用方法も考えておきましょう。

【美子】私もいろいろ運用してみたいんですけど、何せ証券会社勤務。いろいろと制約が多く、細々と投資信託と外貨預金をやっている程度なんです。

 

【美佳】私もそう。銀行で法人の資産管理を行う部署にいるから、株をやる場合は会社に届け出が必要なんです。でも、資産運用を何もしないというのは怖いから、不動産投資をしています。

【俊子】いいなぁ、それ理想!

【聡美】私も不動産は持っているけど、投資用じゃなくて居住用だから。

【美子】利回りいいですからねぇ。

【美佳】3年前、将来的におひとりさまの生活も考えなきゃいけないと思って、居住用マンションを探しているときに、投資用の優良物件を見つけたんです。投資のために住宅ローンを組むことに抵抗を感じましたが、本当にいい物件だったから思い切って購入。何もしなくても毎月定額の収入があるというのはいいですね。ローン返済を差し引いたうえでの収入。しかも、私は親が所有するマンション暮らし。

【俊子】最高! 空き室対策は?

【美佳】以前、居住者が出ていってしまって焦ったんですけど、すぐ次の入居者が決まったので、家賃収入が途絶えたのは1カ月間だけでした。

【希美】よっぽどいい立地なのね。

【美佳】ええ、いい場所です。でも、もう売りに出しているんですよ。もっといい条件の物件を購入したので。

【美子】1軒目が高く売れることを見越して、以前よりもいい物件を手に入れたというわけね。

【美佳】そういうことです(笑)。2軒目はローン総額が増えるうえに、1軒目の売却が決まっていないにもかかわらず、即契約。私の中のローンへのハードルはかなり低くなっていました。

【美子】都心の不動産価格が上がってきていますからね。今が狙い目だと思って、私も情報収集しているところ。

【FPポイント】
属性(職業や年収、勤続年数などの総合評価ポイント)が高ければ、銀行から融資を受けやすい傾向に。大手企業勤務ならなおのこと。属性がよければ、融資を受けての不動産投資を積極的に考えて。