運動や資格の勉強をしたいけど、平日は仕事で遅く、週末は趣味に流れてしまうという相談者の戸田さん。朝時間で効率よく実践するにはどうしたらいいのか? 脳科学者の茂木健一郎さんが、解決策をアドバイスします。
運動や資格勉強をしなくちゃと思いつつ、なかなか起きられない……
【茂木】さっそくですが、なぜ朝活を始めようと思ったんですか?
【戸田】平日は仕事で遅く、週末は趣味に流れてしまって。運動や資格の勉強など、やらなきゃいけないことを朝時間にしたいんです。
【茂木】できたら前の晩は早く寝たいですね。寝室に、朝の太陽は入ります?
【戸田】北側なので、あまり入らなくて。
【茂木】だとしたら起きてすぐに外に出て、太陽の光を浴びてほしいですね。脳の中で光を感じるとスイッチが入るので。ちなみに資格って何ですか?
【戸田】システム系の資格です。オンラインで勉強できるサイトがあるので、それも申し込まなきゃな……と。
【茂木】申し込みましょう! 合格という目標までのシナリオは見えてます?
【戸田】全7章なので、1週間に1章?
【茂木】目標は細かく刻んだほうが立てやすいですね。あとはタイムプレッシャー。10分でも打ち込んだことは脳にとっては大きな経験になって、ほかの仕事にもいい効果や影響を及ぼします。ぜひ通勤時間も有効活用してください。
Before:戸田さんのとある1日
7:00 起床
7:30 出勤
8:30 会社到着、仕事スタート
22:00 残業中に夕食
23:00 帰宅
24:00 就寝
茂木先生の診断:グズグズ病
【症状】
・朝、二度寝してしまいなかなか起きられない
・やらなきゃいけないことを後回しにしてしまう
・1時間の通勤時間中もスマホを見ながらダラダラ
【診断】
脳は睡眠中に情報を整理しているので、朝起きるとすっきりした状態。だから朝の2時間はゴールデンタイム。彼女には、とにかく朝の光を浴びることから始めてほしい。
先生の教えをもとにいよいよ実践!
【9月2日】さっそく始めたけれど、わざわざ歩くのは面倒……
20分早く起きて、歩いて10分のコンビニへ。戻ってからの出勤が面倒に感じる。資格試験の勉強サイトに申し込む。これまでスマホをいじっていただけの通勤時間を読書タイムに。いい感じ♪ 意識的に早めに帰宅。
二度寝体質が直らない。茂木先生の「浅い眠りで起こしてくれる目覚ましアプリを利用しては」とのアドバイスを思い出し、ダウンロード。
【9月5日】目覚ましアプリでスッキリ。歩くのは出勤のついでに
先生に教わった目覚ましアプリを使ってみると、寝足りない感じがなくなる。すっきりと目覚めて、勉強サイトで10分ほど勉強。コンビニに行くのをやめて、早めに家を出て1駅分歩く。電車の中でもスマホと連動させたサイトで問題を解く。思いがけず集中できた。
【9月10日】運動の成果が徐々にあらわれてきた!
毎日40分歩いているうちに、脚力がついたようで階段の上り下りも楽に感じる。体重もゆるゆると落ちているのがうれしい。でも雨が降るとモチベーションがダウン。「どうすれば長続きするか」茂木先生にアドバイスを請う。
【9月13日】長続きさせるためにご褒美アプリを活用
「ご褒美を用意するといい」とのお返事。歩いた時間や勉強時間をポイントに換算して、ポイントをためていくご褒美アプリを使い始める。たまっていくのが楽しくてモチベーションアップ。たまったら、おいしいものを食べよう! 帰宅時間もずっと早めをキープ。
【9月20日】三日坊主から立て直すコツ
ペースはできてきたが続くかどうか心配。でも茂木先生から聞いた「三日坊主のあと、3日休んでも7日目からまた立て直せば立て直さないより絶対にいい」という、“ベストエフォート方式”で、これからも続けたい!
After:戸田さんの1日のスケジュールを見直したら……
●資格の勉強を開始!
6:40 起床(起床時間を20分早めて)
7:10 出勤(1駅分(40分)歩いて電車に乗る)
8:30 会社到着、仕事スタート
20:00~21:00 帰宅
23:00 就寝(帰宅&就寝時間を1時間早めて)
茂木先生から一言
戸田さん、すばらしいスタートですね。うれしいです。小さな成功体験が脳の大きな成長につながります。寒くなっても「ベストエフォート」で、コツコツ少しずつを忘れずに!
脳科学者。“クオリア”をキーワードに脳と心の関係を研究しながら、文芸評論、美術評論にも取り組む。『脳を最高に活かせる人の朝時間』など著書多数。