18歳まで運用すれば利益が非課税に
ジュニアNISAとは、年間80万円、最大で400万円までの投資について、利益が非課税になる制度です。20歳未満の子どもの名義で親や祖父母がジュニアNISAの口座を開くことができ、3月末時点で18歳である年の1月以降(一般的には高校3年生の1月)に引き出すことが、非課税メリットを受けるための条件です。
前回の記事では制度の概要について述べましたが、今回は、具体的な使い方について考えてみたいと思います。
投資に慣れているなら買うものは自由に決めてOK
まずは「何を買うか」です。
ジュニアNISAでは、株式、投資信託、ETF、REIT(上場不動産投資信託)が購入できます。
ETFとは、インデックスファンドと同様に特定の株価指数などと同じように値動きするもの。株式市場に上場しており、株式と同様に売買できます。
REITは、投資家の資金や金融機関から借り入れた資金で不動産を購入し、その賃料を主な収益源とする投資商品です。これも株式市場に上場しています。
この中で何を買うかですが、投資に慣れている、投資が好きという人は、期待できると思うものを選べばOKです。
ただし、現在、高校生の子どもが大学に進学する際の資金を用意したいなど、資金が必要になるまでの期間が短い場合は、リスクをとっても大丈夫かをしっかり考えてください。前回の記事でも述べましたが、教育資金のベースになるお金は安全確実な預貯金などで準備し、プラスαの上乗せ部分についてジュニアNISAを利用する、というのがおすすめです。
また株式や投資信託の価格は上げ下げを繰り返すのが普通です。利益が出たな……と思ったら、高いときに売って利益を確定させるのもいい方法です。売却で現金化した資金は、ジュニアNISAの口座内で再投資することもできますし、資金をそのまま待機させることも可能です。
基本にして王道は、投資信託の積み立て購入
投資に慣れていない人や自信がないという人、また、リスクを抑えたいという人におすすめなのは、投資信託の積み立て購入です。
投資信託の積み立て購入は、毎月、一定の額で、指定した投信が、買えるだけの口数、自動的に買い付けられる、というもの。一度にまとまった額で投資すると、高い時に買ってしまった、という失敗をすることがありますが、積み立て購入ではそうした失敗が避けやすくなります。また長期で続けると平均買付単価を抑える効果が期待でき、その分、利益が得られる可能性が広がります。
価格が低い時にはたくさんの口数を買うことができるため、価格が下がっている今は投資するには実は有利な時期です。でも、下がっている時って怖くて買えませんよね。積み立て購入はそんな心理はさておいて自動的に買うことができるのが強みです。
その効果はとても大きく、仕事をしながら、家事をしながら、資産形成をしたいという人つまりほとんどの人にとって、コツコツ積み立て投資をするというのが、基本にして王道の方法といえるでしょう。
ジュニアNISAにおいても、この法則は変わりません。資金が必要になる時期まで5年程度ある場合は、投資信託の積み立て購入がいいと思います。
少額で積み立てられるネット証券で
ジュニアNISAは、証券会社や銀行など、ジュニアNISAを取り扱っている金融機関に専用の口座を開設して取引します。金融機関は変更できませんから、慎重に選びたいところです。
金融機関選びのポイントは、ズバリ、
・取り扱い商品が多彩
・売買手数料が安い
・投資信託の積み立て購入ができる。できれば少額で
の3つです。
金融機関によっては株式しか扱わない、投資信託の品揃えが少ない、という例もあります。ジュニアNISAは親が口座開設し、親や祖父母のお金を運用しますが、20歳以降は自動的に大人版のNISAに引き継がれます。大人になれば子どもも自分の意思で投資をするはずですから、商品が多彩で、さまざまなものに投資できる金融機関の方がいいと思います。
また株式の売買手数料は証券会社によって異なりますし、同じ投信でも金融機関によって購入時手数料が異なる例があります。手数料は安いに越したことはありません。
そして投資信託の積み立て購入ができること。ネット証券の中には月500円、月1000円といった少額からはじめられるところもあります。それくらいの額なら、無理なくジュニアNISAが活用できると思いませんか? 1000円からはじめて、来年は2000円など、少しずつ金額を増やしていくのもいいと思います。投資が怖い、という人は、1000円程度ではじめて、様子をみてみる、というのもいいでしょう。
月1000円では10年積み立てても元本は12万円。それでも、子どもが成長した時に、「コツコツ積み立てるとまとまったお金になるよ」「積み立て購入だとリスクが抑えられるよ」と伝えることができれば、それも大きな意味があるでしょう。
図は、少額から投資信託の積み立て購入ができる証券会社の例です。ジュニアNISA口座での取引なら、株式の売買委託手数料も無料です。
オススメはこの商品
最後に、どんな投信を積み立てればいいか。おすすめを挙げておきましょう。
なるべく安定的な値動きがいい、という場合は、国内外の株式や債券、REITなどに分散投資するバランス型投信が選択肢になります。どの金融機関でも複数のバランス型投信を扱っていますから、より安定を望むなら、債券や国内の比率が高いもの、積極的にいくなら株式や海外の比率が高いものを選ぶのが基本です。
子どもが10歳前後で大学入学まで5年以上あれば、世界中の株式に分散投資する投信も検討してみてください。「eMAXIS全世界株式インデックス」(運用は三菱UFJ国際投信・ネット証券などで購入可能)が候補になります。
無理は禁物。だからこそ、少額でできるネット証券を利用して、ジュニアNISAで投信の積み立て購入を考えてみてください。
1989年よりライターとして活動。資産形成、投資信託、住宅ローン、保険、経済学などが主な執筆テーマ。