部内初めての女性マネジャーとして常に公平に

BMW Motorrad(モトラッド)においてマーケティングの全てを統括するマネジャー職に就いた女性は、会社の長い歴史の中で私が初めてになります。

BMW Motorradドイツ本社 マーケティング部長 サンドラ・エイムさん

私自身としては、男女の違いを職場で意識することはありませんし、両者がイーブンである職場が理想的だともちろん考えています。

イーブンであるというのは、たとえ男女の比率で圧倒的に男性が多い職場でも、またはその逆でも、「お互いがきちんと混ざり合っている」という実感を得られる環境であるということ。そうすればストレスは感じないものです。また、男性と女性の両者が、お互いに欠けているものを補えるというメリットも生まれるでしょう。

私の経験では、女性のリーダーはチームワークを重視し、男性のリーダーが論理的であることを重視する傾向は確かにあると思います。自分自身も前者のタイプですね。

その意味で常に気を付けているのは、「自分が正しい」という主張を周囲に押し付けないことです。その上で、最終的な結果が良くなるよう常に心がける。

例えば、相手を説得しなければならないとき、男性の上司には非常にロジカルでファクトを大切にする人が多いものです。そんなときは、たとえ感覚として「正しい」と自分が確信していることでも、我慢強く語りかけ、相手が納得するために必要とするファクトをしっかり揃えて伝える。そうした姿勢が大切です。

部下を叱るとき、人前はNG

また、部下に何かミスがあったとき、周囲の目があるところで叱らないことも意識しています。どんな場合でも静かに話し、一方で何事も率直に伝える。遠回しに何かを伝えると、異なる解釈をされてしまい、よい結果が生まれないことが多いからです。

穏やかに、そして、率直に。それが私のスタイルですね。

これはどんな国でも同じだと思いますが、ドイツでも自分の母親の世代は、女性がキャリアを作ることに様々な困難が伴いました。特に子どもを持つと職場でおくれを取ってしまうことは、大きな課題として今も残っています。

ただ、当時と比べれば母親たちが直面したような困難は、私の世代にはなくなりつつあると言えるでしょう。

BMWでも女性社員の登用や雇用を推進しています。とりわけ専門家や大学の先生を招き、女性社員に対して行われるレクチャーは月に一度は開かれています。会社が雇用を促進するだけではなく、いまそこで働いている女性社員がキャリアに対して、自ら意欲的になっていくことが求められているからです。

私自身についての考えを言えば、働く上で何より大切なのは、自分に自信を持つことですね。物事をあまり深刻に捉えず、自分自身がきちんとした人間であるように心がける。そうすればどんな職場でも、男女の区別は自ずと消えていくと思っています。

●手放せない仕事道具
iPhone。すべてのスケジュールが入っているので常に携帯

●好きな言葉
Make Life a Ride(人生を乗りこなそう)

●ストレス発散法
自然の中にツーリングに行く

 
サンドラ・エイム
ドイツ生まれ。大学で経営学を専攻した後、各種ブランドのブランドマネジメントおよび、ブランド構築を専門に活躍。自動車、自転車、レジャー、スポーツ、ファッション、金融など様々な産業でマーケティングを経験後、2014年にBMW Motorradに転職し、現職に就く。