春――新しいことに挑戦する絶好のタイミング。そんな季節にオススメするのが、本の目利き、書店員の評価も高い『自分を変える習慣力』。本の世界に長く身を置いてきた、相原透さんからの推薦書です。

先日、仕事で京都、滋賀まで行き、何軒も書店を歩いてみたが、どこに行ってもこの本は、一番良い場所に積んである。あぁ、正真正銘のベストセラーなのだなと納得した。

ほとんどの書店でポップ(本に対する書店員の推薦カード)が書かれ、それらを読んでみると、これは実際に書店員が読んで「本当に面白い!」「ためになる!」と実感したのだな、という臨場感が伝わってくる。

それが今回紹介する三浦将著の『自分を変える習慣力』。書店や出版の世界に長く身を置いた者なら、ポップの文面で、書いた書店員の志、お店のレベルやランク(販売力、拡販力、一冊の本を売ろうとする姿勢)まで明確に分かるだろう。本書が、平積みや棚での面陳列といういい場所に置かれているのは、単にベストセラーだからというわけではなく、書店員の“読んで欲しい”という思いの表れだ、と感じた。

『自分を変える習慣力』(三浦将著/クロスメディア・パブリッシング刊)

4月に入り、「新年度だ! 何か変わりたい、できれば良く変わりたい!」そう願う人は少なくない。そのような読者に、多くの自己啓発書がその“手法”を語る中、本書は“潜在意識を味方にする”という、言わば“思考性”に重点を置いている。内容はまるで著者・三浦将氏の分かりやすい講演を聴講しているようだ。

「○○でなければならない」という意識、一般的に生真面目な人ほど、精神を病んでしまう傾向にあると言われるが、三浦氏が説くのは、これら思い込みの突破なくして “良く変わることができない”こと、さらにその変化を習慣化することの重要性だ。

――だから、頑張らない、無理しない、それでいて日々粛々とやることはやる、これが大事なのです(第3章「成功する条件とは」より抜粋)

早朝マラソンを始めれば「10キロ走らなければ!」、ダイエットを始めたら「食べることは罪悪だ!」、勢いをつけて本を購入し「月10冊必ず読む!」、こういったカタチ(思い込み)が、習慣づけることを負担にしてしまう。

誰もがそのような経験あるのではないだろうか?

早朝マラソンをするのであれば「毎日続けること、そのこと自体を目標にする」、ダイエットならば「食べない! のではなくおいしくゆっくり食べることを目標にする」、読書も「読んだ冊数ではなく、面白い本を繰り返し読んでもいい、本の面白さを味わう」。そのような思考で「やり続けていくこと」で変化する。

本書の中盤、著者の三浦氏は「あなたの本当にしたいことは何ですか」と読者に(あなたに)質問します。明確な答えはなくてもいい、考えてください、と。そしてイメージしてください、と続く。

――
・これを達成したとき、どこにいるのか?
・誰といるのか?
・どんなことをしているのか?
・その場で見えているものは何か?
・どんな音が聞こえているのか?
・それをしているとき、どんな気持ちか?
・そのときの体の感覚は?
(5章「本当の目的と最高の目標」より抜粋)

仕事をし、家庭も有り、子育ても、親の心配も……と忙しい日々の中で、1つ1つの問いをゆっくり考え、答えを見つけた後に、行動があるのではないだろうか?

またラスト近く、著者はこうも書いている。    

――あなたには、あなたの想定を遥かに越える可能性があるのです!

この一冊を読み切った意志があれば、あなたはあなた自身の可能性を生き、なりたい自分に限りなく近づけるのだ、と背中を押し終わる。本書は読んで何かを知るのではなく、読後に「変化」が始まるのだ。

あなたも何か1つ習慣化すると、今年の終わりには明確な変化となって、あなた自身が驚くことになるかもしれません。