転職とは、よりよい職場、やりがいを求め、キャリアを築いていくために、未来の可能性をつかむことにほかならない。しかし、チャレンジには常にリスクが伴うもの。転職のリスクと成功要因は外からはなかなか見えない。だからこそ、転職を成功させるための法則を押さえておきたい。転職のプロだけが知っている7つの法則とは?(アドバイスしてくれる人:株式会社キープレイヤーズ・代表取締役 高野秀敏さん)

【法則5:決断力】転職活動は3カ月の短期決戦で挑む

本気で転職を考えているなら、思い立ったが吉日、すぐ転職サイトにエントリーしたり、転職エージェントを訪ねるなどのアクションを起こしてください。「どのタイミングで動けばいいかわからない」「良い案件が出る時期に……」などと悩むのは無用。最近では、通年採用が一般的で季節的な変動が少ないからです。

そして、転職活動は3カ月をメドに行いましょう。期間内にピンとくる案件に出合えなければ、まだ転職の時期ではなかったということ。3カ月の間にいくつか面接を受けて、一つも内定が取れなかった方もしかり。転職を見送るのが得策だと思われます。ダラダラと活動し続けるほど、さまざまな案件を目にする機会も多くなり、その結果、理想が高くなって、ますます転職先が決まらないジレンマに陥ります。また、転職活動に疲れ、「転職できればどこでもいいや」と、転職すること自体が目的になってしまうことも。転職はあくまでも次のステージ探し。妥協してはいけません。

3カ月間活動して、転職がかなわなかったとしても、その時間は無駄な時間ではありません。自分が希望する企業や業界ではどんな実績やスキルが求められているのか知ることができるのですから、現職でそのスキルを磨いてから、再び転職活動をスタートすればいいのです。あるいは、転職活動を行う中で、現職の会社の良さをあらためて感じるかもしれません。もしくは、自分の市場価値を痛感させられ、自信を失うかもしれません。どんな結果に終わろうと、3カ月間の活動は、あなたを成長させる糧となるはずです。

【法則6:チャレンジ精神】会社の知名度や目先の収入で転職先を選ばない

転職先を選ぶ際、知名度やブランドにこだわる方は依然多くいます。しかし、そんな気持ちで転職活動を行えば、必ず失敗します。そもそも、有名企業の案件自体が少なく、新卒採用と違って、その人物がどういう面で会社に貢献できる人間なのかがシビアに問われるため、ハードルはかなり高め。転職先の希望リストから「大手」と「安定」という項目を外し、無名のベンチャーを自分が有名企業にするのだという気概を持って挑んでほしいものです。企業もそのような人材を求めています。

転職で年収が上がると思っている方も多いのですが、それはまず無理。採用する企業にとって、中途入社する人は、スキルや経験があったとしても新参者にほかならず、そんな相手に対し、現職より高い年収を出すことはまずありません。競合他社への転職なら年収はスライドされるかダウンするものの、ポジションアップが狙えることも。

しかし、異業種への転職はまず年収ダウンありきだと覚悟してください。自分の能力を最大限に発揮できる企業なら、年収はいくらでも上げていけます。転職時に収入面が気になるようなら、年収アップはともかく、ダウンしない企業を探すしかありません。しかし、そのように目先の数字ばかりを追っていると、よい転職先を得ることはできないでしょう。年収アップの早期達成が見込める企業を探すことを一番の手立てと考えるべきです。

【法則7:成果第一主義】転職先では仕事の「結果」が最優先と理解する

理想の転職がかなったとしても、ゴールではありません。そこからが一番の勝負どころ。ここでのアクションを間違うと、せっかくよい転職ができたのにキャリアを築けないことも。会社を移ったら、まずは結果を出すことを第一に考えてください。歓迎会や社内コミュニケーションを優先させていては、結果を出すことはできません。

中途採用の場合、何度もいうように、会社は即戦力を期待してますから、まずはその期待に応えましょう。仕事で残念な結果しか出せなかったら、採用側は「なぜ、こんな人を採用したのか」と後悔し、周りからは“仕事のできない奴”という目で見られることに。そのマイナスの印象はずっと続き、普通以上の大きな結果を挙げない限り、覆ることはないでしょう。転職先では、まず最低でも現状維持、できれば期待以上の結果を挙げるように心がけてください。キャリア採用されたのならなおのこと。入社前からあなたの情報が社内に流れており、周りはお手並み拝見とあなたの様子をうかがっているのですから。

また、前向きな姿勢をアピールすることも大切。パフォーマンスではなく、人より早く出社して業務をこなす。ただでさえ、新しい職場環境では今まで通りにいかないことも多く、引き継ぎ業務など雑務に時間が掛かるもの。早めに出社して仕事をスタートさせれば、他の社員の足を引っ張ることなく、仕事を円滑に進めることができ、結果、あなたの印象度もアップ。飲み会やおしゃべりで社内コミュニケーションを図るより、このような方法で周りの人間と付き合っていくほうが効果的です。

スピード感も大切ですから、転職したら最初から猛ダッシュするつもりでがんばってください。営業なら、ノルマを追うのではなく、ノルマ以上の結果を求め、結果の見えにくい管理部門などは、指示を待つのではなく、自分で考えてどんどん仕事を探しにいきましょう。

高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ 代表取締役。総合人材サービスのインテリジェンスに入社。転職サポート実績No.1を記録し、独立。3000人以上の経営者には人事や経営について、8000人以上の個人にはキャリアアドバイスを行ってきた。