アサヒフードアンドヘルスケアで、19年間マーケティングに携わってきた鈴木章子さん。自分自身のあり方を考えるきっかけをくれ、マーケティングに大切なことを教えてくれた2冊とは?

悩んだときは本が支えに

入社20年目になりますが、そのうち19年間はマーケティングに携わってきました。『夢をかなえるゾウ』を手に取ったのは、入社から10年くらいたち、何でもわかっているような、それでいてジャンプアップして変わっていきたいとも感じつつ、どうしてよいかわからないそんな時期。口先だけで「変わりたい」と言っているサラリーマンに成功習慣を授けていく設定のこの本が、当時の自分の状況とリンクするように思えました。具体的に自分自身を変えていくことが重要だということを教えてくれた本です。

【上】『夢をかなえるゾウ』【下】『置かれた場所で咲きなさい』

マーケティングの仕事はまず企画を社内で通し、それから実際に広告施策を行っていくわけですが、すべてが成功するわけではありません。特に新商品は難しいですね。正解があってないような仕事なので悩むことも多く、そんなとき、本は支えになります。『置かれた場所で咲きなさい』もバイブルのような本が欲しくて手にした一冊。数年ほど前に別の業種の部署へ異動になった時期がありました。「置かれた場所で精いっぱいがんばる」のが社会人の使命だとは思っていましたが、それを肯定してくれるものが欲しかったのです。

「どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう」「何もできなくていい。ただ笑顔でいよう」という言葉が響きましたね。

管理職として、自分の経験を生かして働くことを求められて異動したわけですが、実際、私はチームの誰よりも経験がなく、何もできないんですよ。でも、暗い顔をするのではなく「少なくとも笑顔でいよう」と。

1年後には現在の食品マーケティング部に異動になるのですが、それまでの間、若いメンバーに助けられました。マーケティング業務のときから他部署と協力しあって進めることを心がけていたので、それが良い形で自分に返ってきたのかなと感じています。

鈴木章子さん「突然の異動。リーダーなのにチームの誰よりも経験がない自分に何ができるのか教えてくれた。」

2冊に共通するのは、「人を喜ばせる」よう心がけることを説いていることでしょうか。『夢をかなえるゾウ』では「身近にいる一番大事な人を喜ばせる」という課題が登場します。マーケティングはお客さまに商品の価値をお届けし、喜んでいただくことが仕事ですが、この本を読んで、まず身近な人を喜ばせることができなければ、それは難しいということを学びました。

現在は「クリーム玄米ブラン」「1本満足バー」などの広告制作を担当しています。長く続けてきた業務でもなれ合いにならないよう、気持ちを引き締めたいときには読み返すようにしています。

●好きな書店
代官山 蔦屋書店

●好きな読書の場所
お風呂で半身浴しながら

●好きな作家
水野敬也、三浦しをん

鈴木章子
アサヒフードアンドヘルスケア 食品マーケティング部プロデューサー。神奈川県出身。大学卒業後、国立公衆衛生院にて疫学研究を学んだ後、「東京都健康プラザ」で栄養士として勤務。1995年にアサヒビール薬品(現・アサヒフードアンドヘルスケア)へ入社。現在、バランス栄養食品や菓子などの広告宣伝・販売促進を担当。