あなたの勤める会社では、バレンタインデーに男性社員へチョコレートをプレゼントしていますか? 他社のチョコ事情って、なかなか聞く機会もないもの。今回はベンチャー企業と伝統的な日本企業とで違いがあるのか、働く女性に聞いてみました。

もうすぐバレンタインデー。2015年のバレンタインシーズンには、社交辞令として義理ですらなく義務で渡す「義務チョコ」なんて言葉が話題になったように、バレンタインデーに愛を告白する、といった光景は過去の遺物となりつつあるようです。とくに会社では、渡す側だけでなく受け取る側も半ば義務と化しているのが現状なのかも? と思うほど。こうした「会社チョコ」事情は、ベンチャー企業でも伝統的な日本企業でも、果たして同じなのでしょうか?

両者それぞれに特徴があるのか、今回、アラサー女性たちにバレンタインデーのエピソードについて、話を聞いてみました。まずはIT系ベンチャー企業に勤める女性たちの声から見てみましょう。

Case.1:男性社員がプチケーキを作ってきた

「子会社や事業部ごとにまとまって、女性メンバーでお金を出し合い、何かしらのスイーツを買って配ることが多いです。ごく普通ですね。いつの年だったか、バレンタインデーに男性社員が自社アプリのアイコンをモチーフにしたプチケーキを作って持参したことがありました。『女子力が高い』と評判になっていましたね(笑)」(32歳/IT系ベンチャー)

前半はよく聞くエピソードですが、後半は「男性が主体となって動く」という、まるで海外のバレンタインのような事例。ここでは社名は明かしませんが、さすがは近年注目されているITベンチャーなだけあります。

Case.2:オリジナルチロルチョコは全員へ、お返し目当てで経営陣に個別に渡す

「最近まで7年ほど勤続していたIT企業では、自社Webサービスのオリジナルキャラクターをプリントしたチロルチョコを発注して、100均で買った包装紙でかわいく包装して、男性陣にプレゼントするのが、創業当初から毎年恒例になっていました。仕切りは創業時から働いていた、イベントごとが好きな女性メンバーでしたね。

近年は徐々に新卒女子社員が主体となって、男性陣にどんなチョコをあげるか決めて、発注する流れに変わってきましたね。古株の私たちはだんだん面倒くさくなっちゃって(笑)。とはいえ、社員が増えるにつれてチョコの量が増えるので、包装だけは女性陣全員で集中的にやっていました。

社長や役員、直属の上司には個別で渡していましたね。皆、ホワイトデーにかなり素敵なお返しをくれる紳士たちなので、期待していました(笑)」(34歳/IT系ベンチャー)

Case.1と同様、男性全員へ平等に“配布”される文化が根付いているようです。市販のものを詰めて渡すのではなく、オリジナルで作る姿勢は、ベンチャーっぽさを感じさせます。高給取りな男性陣に対し「お返し目当て」で渡す女性も少なくないようです。

Case.3:手作りチョコを渡して「海老で鯛を釣る」

次は伝統的な日本企業ということで、ある不動産会社に勤める女性に聞いてみました。

「本社ではなく営業所にいたときは、男性ばかりで女性は私と受付の子(派遣)くらい。バレンタインデーが近づくと『誰かにチョコあげるの?』と集中攻撃を受けたのを覚えています(笑)。普段厳しいおじさま方が2月14日を前にソワソワしているのが面白かったですね。

直属の女性部下は私だけなので、面倒だけどあげないわけにはいかないかな……と、毎年営業所内の男性全員に手作りチョコを渡していました。お返しは他の女性がいないぶん、豪華なものをたくさんもらえました(笑)。手作りだったので経費もさほどかからなくて、男性ばかりの職場も悪くないなと思いましたね」(28歳/不動産)

創業数十年に及ぶ、大手不動産会社に勤める彼女は手作り派。彼女の同期で同じような状況にある女性も、手作りしたものを配っていたそうです。ベンチャー企業に勤める女性たちに聞いた話では、Case.1や2で紹介した以外の意見の中にも手作り派はいませんでした。手作りチョコはある意味昔の文化なのかもしれませんが、古き良き企業には今もその伝統が残っているようです。

Case.4:男性陣+40代以上の女性にチョコを渡すのが恒例

「男女の割合は同程度で、様々な年代の女性がいるため、バレンタインはささやかにやっています。社内は1グループ4~8人で、私のグループは男性4人・女性4人で、女性の内訳はAさん(50代)、Bさん(40代)、私と後輩(20代)の4人。私と後輩とでお金を出し合って、男性4人+50代女性+40代女性の6人に、チョコを用意しました。40~50代女性はバレンタインの計画に巻き込まないようにしようという雰囲気があるんです。

グループ内が年上の人ばかりで、一緒にバレンタインの準備をできる後輩がいなかった年は、グループの上の単位の『課』の方全員(約40人)に、プチバレンタインギフトをあげました。執務スペースにある棚の上に、別のグループの女性たち(30代)と協力して、かわいい缶に、スーパーで買えるお菓子を詰め合わせて『皆様どうぞ!』とメッセージカードを貼って置いていました」(29歳/公務員)

ちなみに彼女は「課やグループの雰囲気を察して渡せるときは渡しますが、そういう雰囲気ではない場合は、何もしませんでした」と語っていました。どちらかというと「堅い職場」であるだけに、気を遣う面も大きいようです。また、40代以上の女性陣にも渡す、といった形で年代に応じて「ある種のライン」が引かれているのは興味深いです。

ベンチャーも伝統的な職場も「男性全員にチョコを渡す」原則はありますが、オーダーメイドでチョコを作ったり、男性がスイーツを作ってきたりと、昔にはなかった取り組みを見られるのがベンチャーの特徴。対して、伝統的な職場ではやや保守的な印象がありました。皆さんの職場では今年、どんなバレンタインデーの取り組みを行う予定ですか?

池田園子
1986年生まれ。ライター、編集者。楽天、リアルワールドを経てフリーに。IT、マーケティングなどに関する記事が多め。