冬の朝は寒く、少しでも長く布団にくるまっていたいもの。その結果、朝食に十分な時間をかけられない、という人は多いのではないでしょうか。調査によると、朝食に費やす時間が15分未満という人は7割以上に上るそうです。(出典:「朝食に関する意識調査」アサヒグループホールディングス、2014年2月調査実施)。

今回は、企業や社会で活躍中の管理栄養士・栄養士176名に行ったアンケート結果から、忙しい朝でも押さえておきたい朝食のポイントについてお届けします。

*「朝ごはん」に関するアンケート
【調査概要】調査手法:インターネットリサーチ、調査対象:管理栄養士・栄養士176名、調査期間:2015年6月18日~7月31日、調査実施機関:食プロリサーチ

 Q:朝だからこそ意識をしてとった方がよいと思う栄養素は何ですか?(複数回答可) 

第1位:炭水化物(150人)
第2位:ビタミン類(107人)
第3位:タンパク質(99人)

1日の始まりは、炭水化物でエネルギー補給

「栄養バランスのとれた豪華な朝食を!」と思っても、出社前の限られた時間に用意するのは至難の業。だからこそこれだけは外せないというポイントを、しっかり押さえておきましょう。

朝食に意識してとった方がよい栄養素・第1位の“炭水化物”に含まれる糖質は、人間の活動にとって重要なエネルギー源です。中でもブドウ糖は、脳が働くための栄養源であるため、不足すると頭がぼーっとしてしまいます。1日を活動的に過ごすためには、ご飯やパンなどの主食は必須です。ダイエット中の人も、朝食では炭水化物(糖質)を減らし過ぎないことが重要です。

第2位の“ビタミン類”にはさまざまな種類がありますが、特に重要なのは、汗などで排出されるため毎食きちんととる必要のある水溶性ビタミンです。その代表格であるビタミンCには、免疫力を上げるだけでなく、女性に不足しがちな鉄分の吸収率を上げる働きがあります。また、コラーゲンの合成にも重要な役割を担っており、美容にはかかせない栄養素。イチゴや柿、キウイなどの果物や、ブロッコリーや赤ピーマンなどの野菜に多く含まれています。

第3位の“タンパク質”は、血液や筋肉、骨などをつくる重要な栄養素。不足すると疲れやすくなったり、免疫力が下がったりしがちです。また、高タンパクな朝食をとることで1日の食欲を抑えられる、という研究結果もあり、ダイエットのためにも朝食にタンパク質をしっかりとることが大切。忙しい朝でも、牛乳やチーズ、豆腐や納豆などを選ぶと、手軽にタンパク質をとれますよ。

 Q:主食以外で、朝食時に必ず食べるように心掛けているものは何ですか?(複数回答可) 

第1位:ヨーグルト(63人)
第2位:野菜(56人)
第3位:果物(51人)

タンパク質とカルシウムを補給できる優れものとは……

管理栄養士・栄養士が朝食時に必ず食べるものNo.1は“ヨーグルト”。タンパク質をはじめとして、ヨーグルトに含まれる栄養は多岐に渡りますが、その中でも朝食からしっかりとっておきたいのはカルシウム。日本人はカルシウムが不足しがち、と言われており、特に女性のカルシウム不足は骨粗しょう症に繋がりやすいため、意識してとる必要があります。低脂肪のヨーグルトに果物やドライフルーツを混ぜると彩りも良く、栄養面から見てもバランスがとれます。

第2位は“野菜”でした。野菜にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、1日の摂取必要量をとるためには、朝食からしっかりと組み込んでいく必要があります。味噌汁やスープに入れると食べやすく、体を温める効果も期待できます。どうしても時間がないときには野菜ジュースを使う手も。その際は、糖分が多くなりがちな果物とのミックスではなく、野菜100%のものを選ぶのがおすすめです。メーカーによって若干表現が異なる場合がありますが、表示欄の品名(または名称)が「野菜ミックスジュース」、「野菜・果実ミックスジュース」、「果実・野菜ミックスジュース」の順に、含まれている野菜の量が少なくなります。買う時の参考にしてみてください。

第3位の“果物”に含まれる果糖は、消化吸収が早く、即効性のあるエネルギー源と言えます。そのため、エネルギーを必要としない夜よりも、すぐ動き出す朝にとるのがおすすめ。中性脂肪に変わりやすいという特徴があるため、とり過ぎには気をつけてください。忙しい朝には、イチゴやバナナなど、包丁を使わなくても食べられるものが手軽でよいですね。

●時間がない朝におすすめのメニュー

【和食派】
 ■ご飯(炭水化物)
※おにぎりを冷凍して常備しておくと便利です。具に鮭や鰹節(おかか)を選ぶとタンパク質を補えます。
 ■納豆または卵(タンパク質)
 ■インスタント味噌汁+冷凍野菜(ビタミン類)
※味噌汁にほうれん草などの冷凍野菜を加えると、ビタミンを補えます。

【洋食派】
 ■ハムトーストまたはチーズトースト(炭水化物+タンパク質)
※ビタミンB群が豊富な全粒粉のパンがおすすめです。
 ■ヨーグルト+果物(タンパク質+ビタミン類)

1日の活力の源である朝食。美容のためにも、朝食の“質”を高めていきましょう。次回は、「お菓子」をテーマにお届けします。

【文・監修】食プロリサーチ(http://www.shoku-pro.com/
食・健康業界で活躍する管理栄養士・栄養士会員4000人に対する調査結果を用いて、食品メーカーなどのマーケティングを支援。アンケート調査、商品モニター、商品体験会などを通して、消費者の課題・ニーズ収集、会員による商品評価、管理栄養士・栄養士に対する認知度アップ支援を行う。