もうすぐクリスマス。ひと昔前は、家族で外食したり、あるいは自宅にツリーを飾って手作り料理を並べたりする女性が多かった。だが今年は、女性活躍推進法が成立するなど、輝く女性の実行元年。忙しい女性が増えるなか、クリスマス商戦にも新たな風が吹く予感、である。

半数以上の女性はクリスマスにホームパーティーを開く

キーワードは「アウトソーシング」だ。

昨今ブームなのが、出張料理サービス(自宅のキッチンなどにプロのシェフを呼んで料理してもらうサービス)だ。温かい出来たてメニューや、目の前での調理などパフォーマンスが売り。クリスマスも外食よりホームパーティー派が圧倒的に多いため、利用は確実に増えそうだ。

たとえば、2013年9月に本格的にサービスを開始した、「マイシェフ」(東京都港区)。インターネットを通じて注文すると、シェフが指定の場所に来て、その場で調理。レパートリーはフレンチ、イタリアンからエスニック、日本料理まで幅広く、好みのシェフを指名できる。

メインターゲットは、都内の働く女性。半年前、友人5人の女子会で利用したA子さん(34)もその一人だ。

それまで高額で手が出ないと思っていたが、利用してみると予想よりずっと安かった。完成したのは、季節のマリネやトマトクリームパスタなど全4品。食材費から調理代、交通費まで込みで、参加者1人あたり、約4000円で済んだ。

「なによりうれしかったのは、後片付けまで全部やってくれたこと」。場も華やぐアウトソーシング調理の魅力を知り、クリスマスにもぜひ利用したいという。

一方、「クリスマス時期は忙しくて、自宅にツリーを飾る気力もない」と嘆くのは、旅行代理店で働くB子さん(38)。

5年前、アメリカ人の夫と離婚。別れた直後のクリスマスは、おしゃれなツリーやオーナメントで部屋じゅうを飾りつけた。だが3年前、多忙な部署に異動。年末が近い12月は、掃除さえ面倒に。

イラスト=Yooco Tanimoto

そこで初めて利用したのが、当時、クリスマス前後におひとりさま向け宿泊プランを展開していた、東京・赤坂見附のホテルニューオータニだ。

一歩足を踏み入れると、そこは別世界。眺めているだけでうっとりする豪華なツリーやイルミネーションに、「お困りごとは?」などとお姫さま扱いしてくれるスタッフ。クリスマスの「居場所」をアウトソーシングする喜びに、胸が震えた。

近年、ホテルには外国人観光客が急増、クリスマスにおひとりさまプランを展開するホテルは減った。ただ、あるホテルの企画担当者によると、「クリスマス前後は、働く女性が“自分にご褒美”をあげたい時期」とのこと。冬のボーナスが出た直後でもあり、30~40代で働くおひとりさま女性は、注目の客層だという。

そして、4歳の娘をもつキャリアウーマンのC子さん(41)。今年、サンタクロースのアウトソーシングを計画中だ。プレゼントとチャリティー金を渡せば、ボランティアがサンタに扮ふんして訪問してくれる、NPO法人「チャリティーサンタ」(東京都三鷹市)の利用を考えている。

2014年のクリスマス、サンタ役をお願いした夫は、夜中に酔っ払って帰宅し、プランは台無し。共働きでふだん寂しい思いをさせている娘の笑顔も見られなかった。多少の費用負担でアウトソースできるなら計画も安心、期待も高まる。

皆さんも今年、利用してみては?

牛窪 恵

世代・トレンド評論家。マーケティングライター。インフィニティ代表取締役。財務省財政制度等審議会専門委員。最新刊は『恋愛しない若者たち』。