コツコツ貯金しても、低金利でなかなか増えない時代。働く女性がお金をうまく生かしていくには、どうしたらいいのでしょうか。本記事では、元経済キャスターでファイナンシャルプランナーの資格を持ち、現在IG証券でマーケティングを担当しているあざみ陽子さんにインタビュー。忙しい人も自分のペースでできる、いまどきの投資方法について聞きます。

今どきの投資は口座開設も取引も楽々

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あざみ陽子（あざみ・ようこ）。IG証券マーケティング・エグゼクティブ。青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、福島放送を経て、日経CNBCのキャスターとして経済番組に出演。ファイナンシャルプランナーとしてセミナー講師の実績も豊富。2児の母としてお金の知識と経済キャスターの経験を生かしながら活躍中。

――お金のリテラシーが身に付き、うまくいけば臨時収入が手に入る……前回、そんな投資のメリットについてうかがいました（http://woman.president.jp/articles/-/698）。加えて、世界中の通貨や有名企業に、数万～数十万円程度から無理なく投資できるという身近さを知り、興味を持った読者も少なくないと思います。ただ、実際に投資をするとなると、なかなか時間がない、という人も多いでしょうね。

【あざみ】そうですね。ワーキングウーマンにとって、「時間」はとても貴重なもの。投資のために、日中、銀行や証券会社に行って口座を開いたり、パソコンの前でじっくり相場をチェックしたりするのは大変……と考えるのもよく分かります。ただ、いまどきの投資は、時間や場所を選ばないのが魅力です。取引はもちろん、証券会社などの口座もオンラインで簡単に開設できます。口座開設の手続きは、フォームに必要事項を記入して、本人確認の書類のスキャンデータを送信すればOK。そういう会社も少なくありません。

――時間のあるときに、オンラインで口座の開設手続きが行えるんですね。ただ、株や為替の取引は、取引所が開いている昼間にしかできないと聞いたことがあります。

【あざみ】投資をしたことのない人からは、そうした声もよく聞かれますね。でも、そんなことはありません。例えば、通常日本株の売買は、取引所が開いている午前9時から午後3時までに限られますが、欧米の銘柄の取引が活発になるのは、むしろ現地で市場が開く日本時間の夕方からです。また、外国為替市場は24時間動いている。ですから外国為替や海外企業の株式など、グローバルな銘柄を扱っているオンライン証券会社なら、1日を通してさまざまな投資チャンスがあるんです。

ツールを賢く使いながら、マイペースで投資を

――仕事が終わったオフの時間に、落ち着いて投資ができるのはいいですね。とはいうものの、夜間も取引が行われているとなると、「寝ている間に価格が大きく下がってしまうかも……」という不安も出てくると思います。

【あざみ】そうした場合、価格がある一定レベルまで不利な方向に動いたら自動的に決済を行う機能などもあります。また、売買のタイミングは自分で決めたいという人に便利なのが、証券会社などが提供する「アラート機能」。例えば株価があらかじめ設定しておいた値になると、スマホに自動的に通知してくれます。これなら、常に取引画面をにらんでいなくても安心です。

ワーキングウーマンと母親という二役をこなすあざみさん。仕事での外出と、荷物の多くなる子どもと一緒の外出とではバッグの持ち替えは必須。携帯、財布、鍵といった重要アイテムはバッグインバッグにまとめ、入れ替えの手間を省き、忘れ物を防いでいる。

――ツールを上手く活用することで、世界のさまざまな銘柄に、自分のペースで投資ができるということですね。

【あざみ】仕事もプライベートも頑張るワーキングウーマンは、「やるべきこと」も「やりたいこと」もたくさん抱えているはずです。やるべきことに追われて毎日があっという間に過ぎていく……。そんな日々が続けば心の余裕もなくなり、視野も狭くなってしまう。だからこそ、ツールを賢く使って、時間を有効に活用することが大切だと思います。

私も、家では食洗機などの家電や食材宅配などのサービスを有効に活用して、子どもたちと向き合う時間を確保するようにしています。また仕事では、出勤時にスマホでメールやスケジュールを確認し、1日の段取りを済ませておいて、職場に着いたらすぐ仕事を始められるようにするといった工夫もしています。こうした考え方が役立つのは投資でも同じでしょう。

いつもの習慣に、少しアクションを加えてみる

――改めて、忙しく働く女性が時間を上手に生かしながら投資するお勧めの方法について聞かせてください。

【あざみ】今はモバイルを使って簡単にマーケットの動きをチェックしたり、取引が行える時代です。例えば通勤中にスマホなどでニュースを読む人は少なくないと思いますが、そのとき気になるニュースがあったら関連企業の株価を調べてみる。そしてピンときたら少額でも注文を出してみる。こうした投資なら、わざわざ時間を取る必要もありませんよね。証券会社などが提供するモバイル用のアプリを使えば、この一連の行動を1画面で行うこともできます。

いつもの習慣にちょっとしたアクションを加えれば、投資がライフスタイルの一部になる。すると、例えば移動の時間が、お金のリテラシーを実地で身につける時間に変わります。それで臨時収入を得たら、レジャーや趣味にもう少しお金をかけてみたり、また自分の成長のために使ってみてもいいですよね。

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――時間を賢く使って得た臨時収入を、今度は自分のために再投資していく、と。

【あざみ】多くの日本人は「将来のためにとにかく貯金を」「お金は守るもの」と四角四面に考えてしまいがち。これは裏を返せば「投資ベタ」といえるかもしれません。お金を有効に使うことで仕事にプラスになったり、新しい学びができれば、それは将来にもつながってきます。時間やお金といった資源を積極的に生かして、今も未来も輝かせる。忙しい中でも充実した毎日を過ごすためには、そんな視点を持つことが大切だと思います。