大手広告代理店の博報堂が8月から提供を開始した「トップ広報プログラム 女性エグゼクティブ編」。大企業で取締役や執行役員などの要職につく女性を対象に、広報対応などを指南するプログラムだが、その中で特に女性管理職向けならではのパートとして用意されているのが、「記者会見用スーツ等購入サポート」プログラムだ。
→記事:女性エグゼクティブにふさわしいスーツとは?~博報堂&英國屋の試み(http://woman.president.jp/articles/-/602)
このプログラムでは、女性エグゼクティブが会見に出席したり、公式な場でスピーチしたりといったシーンを想定し、それにふさわしいオーダースーツを仕立てることになっており、それを請け負うのが銀座の英國屋である。男性と違い、一般に女性はビジネスシーンでも毎日スーツを着る人は少なく、特にオーダースーツを作ったことがある人となると非常に少ないはず。そこで、初めてスーツをオーダーする女性エグゼクティブのために、博報堂がサポート、英國屋が全面的にバックアップする……というわけだ。
博報堂と英國屋が共同で開発・販売している女性エグゼクティブ向けのオーダースーツは、前回の記事(http://woman.president.jp/articles/-/602)でも紹介したとおりのダークスーツ。謝罪会見のような、派手にしてはいけない場にも着ていける“オールマイティーな1枚”となっているが、もちろん英國屋で作ることができるスーツはこれだけではない。
男性用スーツの老舗として定評のある英國屋だが、実は女性用のオーダースーツも数多く手がけており、採寸・仮縫いなどは経験豊富な女性のフィッターが対応してくれる。本記事では、英國屋のフィッターである冨田正二次長と、藤本朱里さんに取材し、女性が初めてスーツをオーダーする時に知っておきたいポイントと、オーダーの流れを聞いた。
女性管理職にオーダースーツがお勧めな理由
ビジネスシーンにおいて、女性の「ちゃんとしたスーツ姿」というのは実は意外と難しい。キャリアを積み、ある程度の年齢の女性に向けてスーツを出しているブランドがそもそも少ないためだ。ビジネス用スーツを買おうとしたら、フレッシャーズ用のスーツになってしまったり(若すぎる)、授業参観向けスーツになってしまったり(ビジネスではない)で、困った経験がある女性もいるのではないだろうか。
既製服で選択肢が少ないとなると、せっかく気に入ったスーツがあっても、サイズを無理して着ることになりがちだ。腕が長かったり、肩幅が合わなかったり、スカートをおしりに合わせたらウエストがぶかぶかだったり……という悩みは、初めから自分のサイズに合わせたオーダースーツであれば解消される。
「体に合っているスーツは、着心地が良くて長時間着ていても疲れにくい」と藤本さん。「女性のスーツ姿というのは、バストからウエストにかけてのラインがきれいに出ているとスタイルが良く見えます。あと背中の“入り”も大事で、後ろ姿が美しくなります」
また「体形が変わってしまった」という場合は、サイズの直しができる。最も多いのがウエストのサイズ変更。英國屋の場合は約7~10日、8000~1万円ほどで対応している。
形の他にもう一つ、スーツが“似合う”ために大切なのが、生地の色。例えばダークスーツの「黒」「濃紺」と一口に言っても、実際の色合いは生地によってまったく違う。英國屋では、鏡の前に立ってもらい、首にさまざまな生地を当てて、似合う色の生地を選ぶようにしている。「例えば“濃紺の無地”というだけでも何十種類もの生地があります。肌の色に合った生地を選べるというのは、オーダースーツの大きなメリットの一つです」(冨田さん)
ベースはオーソドックスなデザインでも、細かいところがカスタマイズできるのがオーダースーツの良さだ。ジャケットの襟の太さ、スカートのウエスト部分の太さ、ポケットの有無、スリットの長さ……といった細かいところまで、フィッターさんと相談しながら自分に似合うよう選べるのはオーダーならでは。
筆者が個人的に面白いと思ったのはパンツスーツのカスタマイズ。博報堂のプログラムでは、女性エグゼクティブ向けには基本的にスカートを勧めているが、パンツのほうが良い職場だったり、職場で女性らしさを出したくないといったケース、そもそもパンツのほうが好き、といった人もいるだろう。自分の好みやパンプスの高さに合わせて裾の長さを決められるのは当然として、ローライズとジャストウエストでデザインを選べたり、また男性用スーツのノウハウを生かして、後ろを少しだけ長くして脚が長く見えるようなカットが選べたり……といったカスタマイズができるのは魅力的だ。
オーダー時に最も気をつけるべきは「下着」
スーツをオーダーする時、特に女性が気を付けるべきは「下着」だという。オーダースーツができあがるまでは何回か店を訪れることになるが、その時同じ下着を着けていくことが非常に大事だと藤本さんは話す。
「代用生地での仮縫いから本縫いまで、同じ下着を着けてきてください。スーツを美しく着るには、胸回りからウエストにかけてのラインをすっきり見せるのがポイントです。そのため、自分の体に合ったブラジャーを着けることが大切です。また必要であれば、ボディスーツやガードルも検討してください。最近は、着心地がソフトでも補正力があるものも増えています」(藤本さん)
スーツをきれいに着こなすためには、サイズの合った下着でボディメイクをすることが必須。中でもブラジャーはサイズ選びをきちんとすべきアイテムだ。服以上にサイズが変わりやすいものなので、購入のたびに測るのが大切なのはもちろんのこと、デザイン性だけでなく、透けない色であることも重視したい。
バストの最適な位置関係は、首の付け根とバストトップの3点を結んだ線が正三角形のバランスになっていること。そのためには、肩ひもを調整して胸が適切な高さになるようにすること、ブラカップでしっかり胸を持ち上げ、脇から背中側にはみだしたり流れたりしている肉をしっかりブラカップに収めることが大切だ。胸の脇がもったりしていると、だらしなく見えるし美しくない。
形は一般には3/4カップが胸を自然に寄せて上げる効果が高いと言われるが、試着の上、シルエットが整うものを選ぼう。スーツを着る時に限っては、「デザインがかわいくて気分がアガる下着」ではなく「自分の体のラインをきれいに見せる下着」が肝要と心得るべし。
スーツをオーダーする流れ
英國屋では、初めてスーツをオーダーする場合、必要な期間は1カ月半くらいだとしている。実際、どんな流れでスーツを作るのか、何回来店すればいいのか聞いてみた。
スーツをオーダーする場合、以下の5ステップの流れになる。
(2)代用生地で仮縫い
(3)購入した生地で仮縫い
(4)本縫い
(5)仕上がり
一番時間がかかるのが(1)の採寸だが、時間にしたら十数分、そんなに長くはない。生地を選んだり、デザインを選んだりしてもそうそう時間がかかるものではないので、「会社帰りにでも気軽に寄ってほしい」と話す。
採寸から代用生地の仮縫いまでが約2週間、購入した生地での仮縫いが約2週間、本縫いに約3週間、合計7週間が目安だ。2回目以降は(1)(2)のステップが不要になるので仮縫い2週間+本縫い3週間、合計5週間でスーツが作れる。
「型紙は、(スーツを)作れば作るほど成熟します」と冨田さん。「2回目以降はお客さまに合わせてカスタマイズされていきますし、お好みが伝わってそれが型紙に反映されます」
博報堂のプログラムで英國屋が提供するスーツは、オーソドックスな形のテーラードスーツで約25万円(生地によって価格が異なる)。英國屋ではまずこうしたベーシックな形・色のスーツを1回目に仕立て、2回目以降はデザインや色を変えて楽しむという形を推奨しているが、まずは体験してみることがお勧め、と冨田さんは話す。
「上だけとか下だけとか、まずは体験していただくのがいいかなと。特にジャケットは、自分の体に合ったものを体験すると『こんなに着心地が軽いんだ』と驚くはず。女性だとノーカラージャケットなどは手持ちの服に合わせやすいですよね。会社帰りの数十分でいいので、まずは気軽にお店へ立ち寄っていただければと思います」(藤本さん)
女性エグゼクティブにふさわしいスーツとは?~博報堂&英國屋の試み(http://woman.president.jp/articles/-/602)
■参考URL
「銀座英國屋レディースエグゼクティブモデル by Niena Etsuko Hino」販売開始のお知らせ(http://www.eikokuya.co.jp/news/)
博報堂、トップ広報プログラム「女性エグゼクティブ編」を提供開始(http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/22603)