読書の秋。芸術の秋。そして、何といっても食欲の秋! 新米も旬の素材も一緒に炊き込めば、それぞれの新しい魅力を発見できます。おいしい秋、み~つけた。

米に肉や野菜。いろんな味がまじり合ってほっこり優しい味わいに

新米の季節がやってきた。旬の味を思いきり楽しむために、今回は、具だくさんの炊き込みご飯の提案。普段から和服をさらりと着こなす、和食が得意な料理家の濱田美里さんに習った。

「炊き込みご飯にすると、お米が具材のうまみをぜんぶ吸ってくれます。複雑なおいしさが生まれるし、素材の栄養も無駄なく取れるんです」

具をたっぷり入れれば、おかず要らず。ご飯茶碗1杯で満足できるのもうれしい。

魚や肉に野菜やきのこを組み合わせた炊き込みご飯は、

「だしは使いません。素材から出るうまみだけで十分」

その代わりに、ちょっと意外なひと味を加えるのが濱田さん流だ。

今回は、濱田さんが学生時代から米を炊くのに使っているという土鍋でつくってもらった。

「お米がふっくら炊けて、甘みも引き出されます。食卓にそのまま出せて、見栄えするのもいいところです」

多めにつくって冷凍しておけば忙しい日にも重宝する。炊き込みご飯で、食欲の秋を満喫してみては?

サンマと塩レモンの炊き込みご飯

●レモンがご飯に合うなんて! 米の甘みが引き立つさっぱり味

サンマが主役の炊き込みご飯には、大根を相棒に。そこへ、近ごろ流行りの塩レモンで爽やかな香りをプラスする。

材料(3~4人分)
米……2合/サンマ……2尾/塩……小さじ1/大根……120g/塩レモン……20g/水……360ml/酒……大さじ2/青じそ……5~10枚
レモンはよく洗い、ヘタを落とし、皮ごとくし形に切る。煮沸消毒したビンに、レモン、塩(レモンの重量の10%)を交互に入れ、蓋をしてひと晩置く。その後、1日1回ビンをふり、10日ほどして塩が完全にとけたら完成。

●作り方
(1)米はといで20分ほど浸水し、ザルにあげて水気をきる。
(2)大根は1cm角に、塩レモンは粗みじんに切る。
(3)サンマは内臓を取って洗い、水気をキッチンペーパーでふく。皮目に切り込みを5mm間隔で入れ、半分に切り、塩をふって15分置く。
(4)サンマから出た水気をキッチンペーパーでふき、フッ素樹脂加工のフライパンか魚焼きグリルで両面をこんがりと焼く。キッチンペーパーの上に取り出し脂を吸わせる。
(5)1、水、酒、2、4を順に土鍋に入れて(a)蓋をする。強めの中火で7分炊いたら(b)、弱めの中火でさらに7分炊く。
(6)火を止めて5分ほど余熱を通したら、最後に30秒ほど強火で水分を飛ばす。火を止め、15~20分蒸らす。
(7)青じそをちぎって散らし、サンマの身をほぐして全体を混ぜる。
※炊飯専用の土鍋を使う場合は、その炊き方に合わせる。
濱田美里
1977年、広島県生まれ。世界を旅しながら蓄積した各地の食文化をベースにレシピを提案する料理家。日本の郷土料理にも詳しい。国際中医薬膳師、国際中医師A級の資格を持ち、薬膳料理も手がける。『ザ・土鍋力』(主婦と生活社)など著書多数。