仕事において男性と対等な信頼関係を育み、成功するためにはどんな心積もりが必要なのでしょうか。「上司に“自分の手柄”として喜んでもらえるような仕事をすべし」と語る商業コンサルタント・島村美由紀さんの経験から学びます。

オジサンが思い込みの意見を披露

ビジネスの世界では、「女性だから仕方がない」という甘えは認められません。男性と対等に信頼関係を育みたいなら、男性に“自分の手柄”として喜んでもらえるような仕事をすることです。

仕事にケチを付ける人は、性別年齢問わず存在します。だからこそ、成果を挙げることで、相手に認められたいものですが……。

数年前、高速道路のパーキングエリアを総合プロデュースする仕事を請け負いました。どんなお店を入れて、どんな品物を売るかまで決めていく仕事です。クライアントは全員男性でした。

私はショップの一角に、手袋やハンカチ、スカーフ、お財布など、ちょっとした雑貨を売るコーナーを設けるプランを提案しました。最初は皆、「ふ~ん」という感じで聞いていましたが、オープンまで2、3カ月に迫った頃になって、突然、幹部が会議に出てきて異議を唱えました。

「そんなもの売れるわけがないよ。今からどこかに遊びに行こうとしたり、早く家に帰ろうとしたりしている人たちが、スカーフやバッグなんて買うわけない。そういうものは、街中で買うものだよ!」

さらに、どこそこのパーキングエリアでハンカチを売ったらまったく売れなかったなどの失敗談を言い出しました。私が提案したことには、それなりの分析があってのこと。またその提案は何度も検討を重ね、数カ月前に承認されてすでに準備が進んでいました。「今さらどうしてそんなことを……」と思った私は、「分かりました。もし売れなかったら、私が個人的に商品をすべて買い取ります!」とたんかを切ってしまいました。その場はシーンと静まり返り、気まずい雰囲気になりましたが、結局、私の提案通りショップは開業準備を続けました。

手柄を上司に与えられるような仕事を目指す

結果はどうなったのかというと、その雑貨売り場は、売り場の中でも売れる棚ベスト3に入る成果を挙げ、パーキングエリアの売り上げも上々。会議で反論した幹部も、後日、家族を連れてパーキングエリアを訪れ、誇らしげな顔で案内をしていました。

この話のように「これは俺がやった!」と男性が手柄として人に語る仕事は、成功プロジェクトの証なのです。

ほかにも、首都圏の商業施設の総合プロデュースを請け負ったことがありましたが、そこは場所のイメージが悪く、担当者自身が担当であることを隠すほど不人気のプロジェクトで、私たちは数年間、耐え忍びながら仕事をしてきました。ところが、オープンすると予想以上に人気のある商業施設となり、全国でもトップクラスの売り上げを上げる大成功プロジェクトとなりました。今では、「あれは俺がやった」という人は、2000人ぐらいいるのではないでしょうか(笑)。

男性が自分の手柄として横取りしたくなる仕事をすること。それこそが、自分の仕事の成功の証、と言えるのです。

※本連載は書籍『30歳から自分を変える小さな習慣』(島村美由紀著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

島村美由紀(しまむら・みゆき)

商業コンサルタント。1956年、神奈川県川崎生まれ。雑誌・書籍の編集業務、シンクタンク研究員を経て、商業コンサルタントとして独立。株式会社ラスアソシエイツ設立、代表取締役就任。都市計画、商業施設計画、店舗業態開発などのコンセプトワークやトータルプロデュースを手掛け、大規模開発を成功させる。ラゾーナ川崎プラザ、羽田空港第1旅客ターミナルビル「スタースイーツ」など、実績は多岐にわたる。著書に『30歳から自分を変える小さな習慣 運を引き寄せる女性の6つの法則』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1713)がある。