オフィスでよくあるシーン別に、3人の先生方が断り方のお手本を披露。はっきりと断ってOKの初級編、状況を考えたい中級編、実は断ってはNGな上級編、と3ステップの実例で断りテクを身につけよう。

教えてくれる人:左から順に、アップウェブ代表取締役・藤田尚弓さん、東京中央カウンセリング代表心理カウンセラー・塚越友子さん、アンギルド代表取締役社長・内藤誼人さん

こんなシーンではどう断る? シーン別言い回し例:中級編

個々それぞれの状況と本人の性格によって断ってもOKだが、できれば断らないほうがいいというグレーゾーン。なるべく断らないことを前提に、先生方の言い方を参考にしながら、自分なりの方法を探っていこう。

●取引先との接待、嫌な予感がするけど私でなくちゃだめ?

イラスト=雨月 衣

「○○さんのお話、すごく勉強になるから部下も連れて行っていいですか」と交渉に持ち込むとよいのではないでしょうか。(内藤さん)

「○○さんも連れて行っていいですか?」と男性も巻き込みましょう。こういった場合、絶対に1人では行かないこと。(塚越さん)

指名のお礼と「酒席のマナーと接待のスキルは勉強中で、私では逆にご迷惑をおかけしてしまうので」と力不足のデメリットを強調。(藤田さん)

●2次会には行きたくない。もう帰りたいけれど

イラスト=雨月 衣

これも事前通告法で「今日は2次会に出られません」「9時に失礼したいんですが、よろしいですか?」とあらかじめ言っておくこと。(内藤さん)

「ちょっと酔ってしまって気分が悪いので、すみません」と言いながら、じりじりとあとずさりしていけば大丈夫。(塚越さん)

「盛り上がっているところ後ろ髪を引かれる思いですが」と行きたい意思に加えて、行けない理由のようなもの+おわびを伝えて。(藤田さん)

●ランチは手短に済ませたい。でも先輩たちからお誘いが……

イラスト=雨月 衣

顔だけ出して「仕事の段取りが悪いせいか終わらないんですよ」と逃げればOK。相手がいやだからと感じさせない配慮が必要です。(内藤さん)

基本的には行ったほうがいいけれど毎回なら3回に1回は「仕事が終わらないんで」と明確な理由で断る。別の日にこちらから誘って。(塚越さん)

お誘いのお礼+行きたい意思+行けない理由のようなもの+「いつかはご一緒させてください」とつけ加えること。(藤田さん)

ケースバイケースだがなるべく断らないほうが○

取引先との接待は女性ならでは。内藤さんと塚越さんは1人で行かないほうがいいという意見。藤田さんは文例以外に「不調法なものですから、先輩方を差し置いて……」とさりげなくお酒のたしなみがないことを伝える言い方を教えてくれた。

2次会は体調を理由にするとOK。「ただし、あまり体調を理由にして、ビジネスパーソンとしてどうかなと不安に思われても仕方ないので『今後は体調管理に気をつけます』と一言添えれば、マイナスにならなくていいかなと思います」(藤田さん)

女同士のつき合いがからむ先輩たちからのお誘いは、なるべく断らずに参加したほうがよいと3人とも口をそろえる。

「行けないときは仕事が追いつかないとか、お金がないからとか正直に理由を言うのがいちばん。そうしないと私も経験がありますが、見下しているとかつき合いが悪いとか嫉妬されることがあります」(藤田さん)

●補足:断る前に、断りたい理由を理解しておくこと

「なぜ断りたいのか内省し、断った場合のメリットとデメリットまで考えれば、たとえ引き受けても、それほどストレスはたまりません。人は自己決定か相手決定かでストレスのたまり具合は全く違いますから」(塚越さん)

藤田尚弓
コミュニケーションデザイン研究を行うアップウェブ代表取締役。交渉の仕方は著書『NOと言えないあなたの気くばり交渉術』に。
塚越友子
東京中央カウンセリング代表心理カウンセラー。専門はコミュニケーション論。『辞める前に読む!』のほか、著書多数。
内藤誼人
アンギルド代表取締役社長。立正大学客員教授。実践ビジネス心理学を中心に企業へのコンサルティングも行う。著書は200冊以上。