ワーク・ライフ・バランスが崩れ、体を壊したことがターニングポイントに。これまでの経験、学びを生かし、ダブルワークへこぎだす。(アドバイスしてくれる人:はぴきゃり代表取締役 金澤悦子さん)

容量オーバーの仕事に、心が悲鳴を上げたことが、働き方を見直すきっかけになった。

人材教育企業 おのともこさん
大学卒業後、百貨店に入社。結婚を機に退職し、アパレル系人材教育企業に転職。接客販売のOJT指導にあたる。リフレーミングコーチ、心理カンセラーとしても活躍。http://ameblo.jp/produce1ownstage/

「限界を考えずに、なんでもやります! と頑張ってしまうタイプ。気がつけば、仕事が生活の9割を占め、家はぐちゃぐちゃ。夫とも単なる同居人のようになってしまって。仕事もていねいにできない、家事も放棄……。いい社員、いい妻にほど遠い自分を、いつも責めていました。

でも、ある日、夫から『悲愴(ひそう)感を漂わせてまでいい奥さんを目指す必要なんかない。それより、何のために働くのか、目的を考えたほうがいい』と言われてハッとしたんです」

他人からの期待に応えることに精いっぱいで、自分に心を向けてこなかったことに気づいた。

「辞める覚悟で会社に相談して、ワークダウンの希望を伝えました。柔軟に対応してくれた会社には、本当に感謝しています。

【写真上】会社での仕事、副業、学びをシールで見やすく色分け。【写真右下】街を歩きながら、コーチングのセッションに適したカフェ探しも。【写真左下】バリバリ時代は読書といえば、ビジネス書か自己啓発本のみ。いまは心理学の本や小説など、ジャンルを問わず手にとる。

それから半年くらいかけて、まずは日々の暮らしを味わうことからリハビリ。なぜ心が折れるところまで行ってしまったのかを見つめたくて、心理学を学び始めたのもこのときから。学ぶうちに、頑張りすぎて苦しんでいるアラサー女子のために、何かをしたいという思いが芽生えてきたんです」

内側からわき上がってきた「やりたいこと」。カウンセラーの資格を取得後、コーチングも学び、自身の経験や強みを生かす新たな仕事もスタートさせている。

■おのさんのWORKING DATA(BEFORE→AFTER)

雇用形態:正社員→契約社員
職種:OJT講師→講師アシスタント
年収:約500万円→約250万円
労働時間:フルタイム、シフト制→月10~15日出勤

 金澤さんから一言 

彼女の真摯(しんし)な姿勢、これまでの実績が、「どんな形であれ、いっしょに仕事をしていきたい」と、会社がワークダウンを受け入れる土台になっていると思います。必要とされる人材になることは、自由な働き方を模索するときの大切なポイントです。副業という形で始めたチャレンジ、大きく育っていきますように。

はぴきゃり代表取締役 金澤悦子
2001年、女性のためのキャリア転職誌「ワーキングウーマンタイプ(現ウーマンタイプ)」を創刊。多くの取材から、ハッピーキャリアを見つけるためのステップを体系化。現在、はぴきゃりアカデミーを運営し、「ココロとサイフが満たされる仕事発見」をサポート。