2012年の社長就任から3年。スウォッチ グループ、カルバン・クライン ウォッチ&ジュエリーを牽引してきたラウラ・ブルデゼ。タフでスマート、そしてポジティブなビジネススタイルの原動力とは? インタビューを通して、そのパワーを保つ秘訣に迫ります。

カルバン・クライン ウォッチ&ジュエリーの社長、ラウラ・ブルデゼの住まいは、イタリア・ミラノとスイス・ビールにある。その2カ国を基点に世界を駆け回る毎日だ。多忙を極める中で、どのようにモチベーションを保っているのだろう。

カルバン・クライン ウォッチ&ジュエリーのラウラ・ブルデゼ代表。3カ国語を操る才媛で、2児の母という横顔も持つ。

「私はとにかく仕事が好き。そして、仕事に関わる人たちすべてが好きなので、それがモチベーションにつながっている。20時間フライトした後に業務に就かなければならないようなときでも、仕事をしていると自然に笑顔になれるんですよ」

もちろん、ビジネスはスマートに進むことばかりではない。大きな課題に立ち向かう時や予期せぬトラブルが起きた時には、どのように対処しているのか。

「大きな課題に対しては、一晩ぐらい時間をおいて考えます。気持ちをクールダウンさせると、新しいアイディアが生まれたり、解決の糸口が見つかるケースが多いので。歯が立ちそうにないようなビッグチャレンジは、大きな塊でなく小さな要素に分けて捉えるといい。パートごとに少しずつ前に進めば、いつしか頂上が見えてきますから。

トラブルはもうしょっちゅうで(笑)。たとえば、新商品のキャンペーンを予定しているのに肝心の生産が追いつかないとか。その時は、冷静になって、解決策をA、B、C……と挙げてみてから、その中で最良の選択をする。迅速に対応することも大切ですね」

時計ジュエリーコンペティションで世界の若者とつながる

2014年に行なった学生のための時計ジュエリーコンペティションは、彼女にとって“ビッグチャレンジ”の1つだった。ニューヨーク、ミラノ、上海、にあるトップデザインスクールと連携し、カルバン・クラインのブランド要素を盛り込んだデザインを学生から募ったのである。

「このコンペティションには、才能溢れる学生をサポートしたいという思いがありました。さらに、若いデザイナーたちの目を通した世界観にもとても興味があったのです。

開催には非常に多くの時間と労力が必要でしたが、すばらしい作品が数多くあがって感銘を受けました。若い世代は国や地域にとらわれない、グローバルな視点でデザインをする。それは驚きであり、大きな発見でしたね」

すぐにとはいかないものの、日本を含めた他の国でも学生向けのコンペティションを行なう意向はあるそうだ。

自分を信じてベストを尽くす

アグレッシブに挑戦を続けるラウラだが、プライベートでは2人の子供を持つお母さんだ。ハードな毎日の中でも、仕事と子育てを両立させている。

「心掛けているのは、それぞれにベストを尽くすこと。仕事をしている時には仕事に全力投球をして、家では仕事は忘れてひたすら子供と向き合う。仕事がうまくいって、家に帰れば子供が笑っている、それはベストなバランスが保たれている証拠。その状態が維持できるように努力をしています」

仕事でも私生活でも、自分の心に正直に生きるのがラウラのスタイル。「自分を信じれば、必ず前に進むことができます」とは日本の働く女性に向けた彼女からのメッセージだ。(文中敬称略)


ラウラ・ブルデゼさんのお気に入り

 ■感銘を受けた本  『The Ten Doller』J. R. Moehringer著(Hachette Books)

 ■モチベーションをあげるもの  カルバン・クラインの時計(笑)
……ジュエリーはファッションの仕上げになるアイテム。つけていないと落ち着きません。

 ■癒すもの  ハーブティー
……忙しい日が多いので、カモミールやブレンドのハーブティーを夜にゆっくり飲みます。

 ■お気に入りのおやつ  チョコレート
……スイスメイドのチョコレートが最高(笑)