【質問に答えていただく3人】
Aさん/経営コンサルティング会社勤務。39歳。独身。
Bさん/外資系保険会社勤務。38歳。既婚。妻は大学教員。子ども2人。
Cさん/大手メーカー勤務。33歳。既婚。妻はIT企業の総合職。子どもなし。

バリキャリはお好き?

【B】僕は昔から強い女性が好き。職場にバリバリがんばっている女性が増えるのはうれしいです。通勤途中でも、スーツを着て熱心に日経新聞を読んでいる女性を見かけるとすてきだなと思います。やっぱり、「プレジデント ウーマン」より「プレジデント」、「アソシエ」より「日経ビジネス」を読んでいてほしいね。

【A】私も白いブラウスにタイトなスカートの女性を眺めるのは大好きですよ(笑)。

【B】僕は服装のディテールはどうでもいいな。きちんとした服を着て、緊張感を高めて仕事場に向かう女性を応援したい。カミソリのように仕事ができる人が好きだけど、男みたいなのはちょっと。季節に合わせたネイルをしている人とか、いいですよね。

うちは外資系なので、学歴も実績も僕より高い人たちが高給で引き抜かれて中途入社してきます。男性に対してはライバル心を燃やすこともありますが、女性には不思議と何も感じません。社内のことは長く働いている僕のほうが詳しいので、いろいろレクチャーしてあげます。出世しそうな女性に取り入ろうという下心があるのではなく、「女性が成功することは世の中にも自分にもいいことだ」と思えるからです。

【C】僕は不器用だと自覚しているので、愚直にがんばっている女性には親近感を覚えます。優秀な後輩女性には積極的に仕事を教えていますよ。「男の自分はもっとがんばらなくちゃいけない」と成長の糧にもなりますから。

【A】一般的に、男性よりも女性のほうが社内外のネットワーキングが上手だと思います。ある案件で部下たちに事前リサーチをお願いすると、社内のその分野に明るい人間を草の根分けても探してくるのはたいてい女性です。プロジェクトの進行に大いに役立ってくれるので助かります。

【B】女性の上司は、プライベートを含めた人間として僕を見てくれる傾向が強いですね。家庭の状況にも配慮してくれる人がいます。男性上司たちにありがちな「仕事は仕事。私生活は関係ない」という態度とは対照的です。

こんな人は苦手

【A】女性が増えると管理する立場としては大変なこともあります。コンサルの現場では平均睡眠3時間ぐらいで1カ月以上も働き続けなければならない時期もあるからです。

Aさん「優秀なんだけど、自信があるだけに詰め寄るとすねちゃう人も多くて残念」

この業界に入ってくる女性は覚悟しているとは思うのですが、男性と同じ働き方を要求するのは無理。会社からも「男女は同権だけれど同質ではないことを前提にマネジメントせよ」と求められています。

【B】僕は空気を読みすぎる女性は嫌です。「あの人はこういうふうにお願いすると喜ぶ」といったことにやたら詳しい女性がときどきいますよね。人に気に入られることばかりにたけているんです。それが見えちゃうと、ちょっとね。こびているというか、ぶりっ子というか。打算が見えると嫌です。髪を振り乱してがんばっている女性を支えたい僕の存在理由がなくなるじゃないですか(笑)。

それと、成果を上げることに必死で、自分のことばかり考えているような人は苦手です。進んでフォローすることはありません。

【A】失敗したときの言い訳が上手なのも女性ですね。でも、仕事を任せている私が欲しいのは「どうやって失敗をカバーするか。次に失敗しないためにどうするか」という改善プランです。バリキャリの女性ならばそれぐらいはわかっていてほしいです。

それから部下にはすごく優秀で頼りにしている女性がいますが、ときどき感情のコントロールができなくなるので困っています。報告書を上げてもらったとき、クライアントとの電話会議までに時間がなかったのでメールで問題点を列挙しました。彼女にとっては自信作だったようで機嫌を損ねてしまい、電話会議でもクライアントに対してつっけんどんな返事をしていました。

「客の前で失礼な態度はやめろ」と叱責せざるをえませんでした。

女同士の確執

【B】女性は女性に対して感情的になりやすいですね。特に、40代、50代の女性管理職は次世代のバリキャリ女性をつぶそうとすることがあります。今まで紅一点でマイノリティーとしての心地よさを享受していたのに、若い女性が入ってきたら自分が注目されなくなる。それが不愉快なのでしょう。

Bさん「高1のころからバリキャリ好き。駅構内で髪振り乱して手帳片手に電話してる人、応援したくなるね」

【A】同世代でもそれはよくありますよ。私の部下がクライアントの女性担当者からことあるごとに突っかかられているんです。「私のどこが悪いのでしょうか」と相談されたので、「あの人とキャラがかぶっているのが唯一の問題。気にしないでいいから」と答えておきました。

親しい同期の女性と出世争いをしたくないという女性部下もいます。パフォーマンスがわずかに劣っているので、争って負けたくないだけなのかもしれませんが、評価をしなければいけない上司としてはやりにくいですよ。仕事は仕事だと割り切れない人は女性のほうに多い気がします。

【C】でも男性の上司のほうが女性に優しいですよね。配慮が足りないことがあっても対応や評価はちょっと甘い。今後、女性の管理職が増えていくと、バリキャリ女性が働きやすくなるとは限らないと私は思います。

ヨメにはどうあってほしい?

【A】これまでに1000回以上合コンをしてきましたが、職業のことを聞いたことがありません。専業主婦でもいいし、バリキャリでもいいな。

【C】自分のヨメのことは心配です。深夜まで働いているので、安易に「がんばって」とは言えませんね。

Cさん「女性管理職が増えることって、女性部下にとって幸せとは限らない」

【B】うちも共働きで、妻のほうが朝出るのは早いし、出張も多いですよ。でも、好きでやっている仕事だと思うから働き方をセーブしてもらおうとは思いません。家事の半分以上は僕がやっています。

子どもが2人いますが、ワーキングマザーは大変です。育児と仕事の2つの業務をこなしています。就業時間中にハンパない集中力を発揮している女性の管理職が近くにいると積極的に応援したくなりますね。