女性の平均年収は、男性のおよそ半分。同じ女性でも業界によって、あるいは同じ業界内でも企業によって給与は大きく異なる。気になるあの業界、あの会社の給与明細を公開する。
商社
大卒総合職の基本給は大手企業(従業員1000人以上)の30歳平均の約28万円をはるかに上回り、賞与も平均の135万円を超える。伊藤忠は職種と基本給から推定すると一般職の可能性も。
突出しているのは時間外手当。伊藤忠、住友商事ともに10万円。月間労働時間160時間、時間外割増率25%を前提に試算すると、住友商事30時間超、伊藤忠40時間超の残業をしていることに。グローバルウェイの各務正人社長は「商社は男女関係なく労働時間が長い。夕食に誘っても夜9時以降か、早いとその後仕事に戻る人もいます」と語る。伊藤忠は今年から午後8時以降の残業を原則禁止し、朝型残業に切り替えたから、以前よりは減っているかも。
銀行
メガバンクご三家だけに、基本給は突出している。しかも三菱東京UFJは出世コースの法人営業のため、破格。「リテール部門は一般的に年収が低いですが、法人営業では年収1000万円も珍しくありません。三菱東京UFJでは、同じ年齢でそれ以上もらっている人もいます」(各務社長)。同世代のみずほの35万円も低くはないが、他の2行が引き離している。
銀行は労働時間が長いことで有名。10万円以上の時間外手当がそれを物語っている。最近ではワークライフバランスの観点から残業規制をしているところも増えたが、それでも単純に試算すると、3行とも月35時間超になる。労働時間の満足度が低いのも共通。
製薬
世界第2位を誇る安定した日本の医薬品市場。平均年収は他の業界よりも高いが、なかでもMR(医薬情報担当者)が最も高い。世界一のファイザーと日本一の武田薬品の基本給は同じ50万円。賞与も含めて年収もほぼ同水準だ。
それにしても、30歳で年収1000万円というのはうらやましい限り。ただ、「医師という特殊な顧客を相手に、何十もの病院を車で1人で回るきつい仕事。一番嫌なのは、お医者さんとの力関係という人が多い」(各務社長)という。“夜討ち朝駆け”、接待営業は、今は業界の倫理規定で禁止されているが、それでもストレスのたまる仕事。
「転勤も多く、職場結婚すると辞めるMRもいて、定着させるのに大変」(製薬・人事)という声も。
※年間1700万人が利用する企業口コミサイト「キャリコネ」の協力で、各社の給与明細を掲載。