限られた時間の中で成果を上げる人には、何か秘密があるはずです。1日の時間の使い方はもちろん、1週間の流れの中でも、仕事と生活の緩急のリズムを上手につくっているに違いありません。8人の時間管理の名人たちにその秘訣を聞きに行くと……
部下8人を抱える森明子さん(38歳)。彼女は、勤務時間の9割以上を部下の対応に充てている。自分1人の作業に没頭できる時間は、全体の1割以下。そうなると必然的に、それぞれの作業を早く的確に遂行せざるをえなくなる。
「時間に制約があるから、能力をアップすることができる。たとえば書類を読む速度は、訓練次第で上げられる」
森さんはそう前向きにとらえている。部下とのやりとりは、「フェース・トゥ・フェース」が基本。「そのほうが書面やメールよりも早いし、彼らの人と話す技術も磨かれる」というのが森さんの持論だ。判断を迫られたら、難しい案件でない限り後回しにせず即断即決する。処理すべき案件は、たとえ期日まで時間があっても、早めに済ませる。このように「グレーゾーンをつくらない」という姿勢こそ、膨大な業務を確実にこなすことにつながるのだ。
アフターファイブの交流も大切に
時短には環境の力も大きく左右する。神谷町支店では、就業時間が曜日ごとに決められている。終業時刻の30分前から音楽が流れる。「集中すれば30分でできる仕事に、1時間かけてしまうことを防ぐのがねらい」という。
特筆すべきは、時短で生み出した時間を、有意義に活用している点だ。「アフターファイブの交流も、仕事人としての成長につながる」とは森さんの弁。心豊かな“時間の使い手”である。
■森さんの1週間
【平日】
08:00 出社、朝礼
・その後のスケジュールは、PDCA会議、外訪2~5社など、日によって流動的
・ルーティン業務は、個別案件相談、稟議回付
・退社時間は曜日ごとに30分刻みで決まっている(18:00~20:00)
アフターファイブ
・社内の他部署の先輩や後輩、他業種の方たちとの情報交換(飲み会)
・同僚と野球観戦や「虎ノ門散策ツアー」などのイベントも開催
【土曜日・日曜日】
ゴルフ、異業種との交流会、小旅行、ショッピング、映画・演劇鑑賞、実家で親孝行、家事など
■時間管理の鉄則3カ条
1. たとえ期日が先の業務でも、早めに片付けておく
2. 自分1人で完結する作業よりも「相手がある作業」を優先
3. 仕事の終わり時間から逆算して動く
みずほ銀行王子支店、銀座支店、神田支店、労働組合専従などを経て、営業店業務部へ異動。現在は神谷町支店にて法人営業に従事。将来の夢は「頼られる支店長」。ホームパーティーを開いたり、知人の結婚披露宴で司会をこなしたり「根っからの人好き」。