証券会社に口座を開こう
将来のためにお金を増やしたい。投資を始めたい。そうは思っても何から手をつければいいのやら……。という人はとっても多い。
たしかに、いくら貯めるか目標を立てる、利用する商品を選ぶなど、投資をするためにすべきことはいくつもあるが、ズバリ、あれこれ考える前に最初にしようと言いたいのは、「証券会社に口座を開くこと」。口座を開くことで、一気に「その気」になれるからだ。
銀行でも一部の投資商品を扱っており、なじみの薄い証券会社より銀行の方がなんとなく安心という人も少なくないが、投資をするならオススメは証券会社。銀行でも外貨預金や投資信託(多くの投資家から集まった資金が株式や債券などに投資され、得られた利益が投資家に還元される投資商品)の取引ができるが、証券会社ならさらに株式や債券など、投資商品のほとんどを扱っている。証券会社に口座を開いておけば、ひとつの口座であらゆる商品の売買ができるのだ。
ネット証券4社がオススメ
では、どの証券会社がいいのだろうか。
ズバリ、候補に挙げたいのが、「カブドットコム証券」「SBI証券」「マネックス証券」「楽天証券」の4社。いずれもリアルの店舗を展開している従来型の証券会社ではなく、インターネットや電話で取引するネット証券である。
この4社を候補に挙げるおもな理由は……
・商品の品ぞろえが抜群に多いこと
・手数料が低めであること
・投資信託の積立購入が手軽に始められること……の3つ。
品揃えの豊富さが大事なのは前述のとおりで、4社であれば、株式、ETF(日経平均など、特定の指数と同じように値動きする商品)、投資信託、外貨建てMMF(外貨投資の最もシンプルな商品)、国内外の債券などが売買できる。
手数料とは株式を売買する際の株式委託手数料や、投資信託の購入時手数料などのこと。株式委託手数料は売買1回ごとに手数料がかかる通常のプランのほか、1日の約定金額(売買金額)の合計額に対して手数料が課せられるプランを用意している例もあるが、デイトレーダーでなければ前者のプランをチェックすればいい。各社とも、約定金額ごとに料率などを定めており、50万円の場合で比較すると表のようになる。会社によって金額が異なるが、ここで挙げた4社は比較的、低い設定になっている。
また投資信託の購入時手数料は、一定の範囲内で販売会社が設定できる仕組みで、同じ商品(ファンド)でもA社では購入額の1%、B社では2%というように、金融機関によって異なる場合がある。
ネット証券4社では手数料無料の投信の本数も多いなど、手数料は低めに抑えられている。
投資信託の積立購入がしやすい会社がいい
もうひとつ大きなポイントは、「投資信託の積立購入が手軽に始められること」だ。
投資信託の積立購入とは、指定したファンドを毎月一定の額で、買える量だけ自動的に買い付けてもらうもの。多くの金融機関では毎月1万円からだが、ネット証券4社ではさらに少額で始められる。
マネックス証券では一部の投信を毎月1000円から積立購入可能、楽天証券も月1000円から、SBI証券では取扱い投信のほとんどが、月500円から積み立てられる。カブドットコム証券では毎月500円から、投信に加え、株式も積立購入できる。
このようなサービスを利用すれば、「お小遣いの一部で投資を始める」ということもできるし、株式と債券、国内と海外など、さまざまなものを同時に購入していくこともできる。
投資信託の積立購入は、少額で継続的に続ける、という性質上、老後資金づくりにも向くので、そのサービスが充実していることは、証券会社選びの重要なポイントだ。
4社の中からどこを選ぶかは、サイトの見やすさなどもチェックするといいだろう。
「特定口座(源泉徴収あり)」が便利
ネット証券の口座開設は、各社のウェブサイトから手続きできる。
証券会社によって異なる部分もあるが、おおまかにいえば、ウェブサイトの口座開設申込ページを開き、住所、氏名などの必要事項を入力→入力内容が反映された書類が届く→署名、捺印、必要書類(本人確認ができるもののコピー)を添付して返送、という流れだ。
申し込む際にひとつだけ戸惑うのが口座の種類で、「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」「特定口座(源泉徴収あり)」の3つから、いずれかを選ぶ必要がある。
表にも示したが、3つの違いは納税手続きの方法。もっとも手間がかからないのは、売却益などにかかる税金が源泉徴収され、納税の手続きも自動的に行われる(証券会社が代行)「特定口座(源泉徴収あり)」で、納税に手間をかけたくなければこの口座を選ぶといい。
また、口座開設と同時にNISA口座の手続きができる場合もある。
何を買うにも口座が必要だし、口座を開くことで、「よしっ」「投資するぞ」という気持ちになるはず。口座開設には費用はかからないので、お金を上手に増やすための1歩を踏み出そう。
1989年よりライターとして活動。資産形成、投資信託、住宅ローン、保険、経済学などが主な執筆テーマ。