酷暑でも清潔感を保てる人は何が違うのか。プレゼンス・コンサルタントの丸山ゆ利絵さんは「清潔な状態と清潔感は違う。他者に清潔感を感じてもらうためには、体や身に付けるものを清潔に保つ以上の工夫が必要だ」という――。
しわくちゃのシャツ
写真=iStock.com/Vladdeep
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印象はわずか3秒で決まる

身だしなみとは、人の「印象」を作り出し、良好な人間関係を築く最初の入り口になるものです。多くの人は「印象」を漠然とした見た目のようなものと捉えがちですが、実は常に人間の「思考」や「評価」に影響を与え、重要な反応を引き起こしています。

「印象」は、五感を通じて脳に送られた情報を元に人の脳に形成されますが、これは大雑把に言えば脳の中でも本能的な部位で無意識に感知されるため、感情や生理的な感覚が強く反応します。その反応の速さは3秒以内(※1)とも言われています。

「印象」が決まるとき、相手はあなたの見た目だけでなく、音や匂い、触れた皮膚の温度など、すべての情報を感知しています。脳の中では「いいね」とか「イヤだ」といった言葉よりも先に「好感・信頼感」あるいは「忌避感・嫌悪感」といった感情が瞬時に生まれ、その感情が思考や理性的な判断へと影響するわけです。これは初対面時だけではなく、すでに見知った相手との間にも起こる反応です。

(※1)
Willis, J., & Todorov, A. (2006). First Impressions: Making Up Your Mind After a 100-Ms Exposure to a Face. Psychological Science, 17 (7), 592–598.
Ambady, N., & Rosenthal, R. (1992).Thin slices of expressive behavior as predictors of interpersonal consequences: A meta-analysis.Psychological Bulletin, 111(2), 256–274.

清潔感がないと本能で警戒される

この「印象」を大きく左右するのが身だしなみですが、ポイントはまず「清潔感があるかどうか」。人の脳がこれを気にするのは、自分を守るための本能です。不潔であることは不健康であることを連想させ、自分の身体にも悪影響を及ぼすのではないかという危惧につながるからです。これはあくまで無意識の反応なので「そんなことないよ、私は安全だよ」などと言っても通じません。

【Close-up:夏でも清潔感のある人、不快にさせる人】はこちら
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「清潔感」があるということは、「この人は健康で安全で、自分に身体的な悪影響を与えない」と他者の脳に伝わるということですから、これは「あったほうがいい」という悠長な話ではありません。清潔感がないと良好な関係を築くどころか、その入り口にも立てなくなります。

さて、ここでよくある誤解を解いておきたいと思います。「清潔な状態」と「清潔感」を同じように捉えているのであれば、それは大きな間違いです。もちろん清潔な状態であることは必須ですが、他者に「清潔感」を印象づけるには、もう一歩工夫が必要です。以下のようなちょっとしたことが、周囲に不快感を与えてしまう恐れがあります。あなたは大丈夫でしょうか?

「不潔感」を呼ぶ夏のNG行動ワースト6

6位 自分から「暑苦しい存在」になってしまう

酷暑の中では、扇子やハンディファンなどで自分に風を送ることに必死になり、「暑い、暑い」とつい顔をしかめたくなります。しかし、このような振る舞いはおすすめしません。

暑さに表情を歪め、汗だくで「暑い」と繰り返すことは、あなた自身を「周囲に暑さを振り撒く存在」にさせてしまうからです。

5位 小物に注意を払っていない

夏だけのことではありませんが、靴やビジネスバッグなどに汚れや傷み、または過度の使用感がないかにも気を付けてください。それらに「不潔感」を想起しても、「清潔感」「涼感」を抱く人はいないでしょう。

汚れた革靴を履いた人の足元
写真=iStock.com/rawintanpin
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「そんなところまで見る人いる?」と言いそうになりますよね。しかし、私たちが「印象」を抱くとき、本能は理性が認識する範囲の外からも情報を集めて感知しています。とくに暑い時期には、人は気温のせいでそもそも不快な状態になっているので、小さなことが重要になってくるのです。

4位 ヘアスタイルが無防備

これも夏場に限ったことではありませんが、暑い時期にはより一層気を付けたいポイントです。ビジネスタイムに合わせた服装と、カジュアルすぎるヘアスタイルは相性もよくありません。セットされていない無防備な毛先からは汗がつたって落ちることもあり、やはり清潔感とは正反対の印象を与えます。

夏のNG行動、ワースト1位は…

3位 服は洗うが、シワやくたびれ感に無頓着

着たものをこまめに洗濯し、清潔にしておくのはすばらしいことです。しかしもう一歩気にしてほしいのは、その服のシワやくたびれ感。クールビズも広まり、夏はオフィスファッションもカジュアルになる傾向がありますが、カジュアル服にありがちな「洗いざらし感」「くたびれ感」には要注意。少なくとも、ビジネスシーンでは清潔感を遠ざけます。

2位 顔は洗うが手入れが甘い

毎日の洗顔は大事ですが、洗いっぱなしだと乾燥から肌が荒れて毛穴が開き、かえって脂ぎった顔になってしまうことがあります。顔は一番視覚に入りやすいところなので、見た目からは清潔感を感じにくくなります。さらに顔は、相手の鼻孔にも近いところ。「皮脂のニオイ」が強くなれば相手の嗅覚を刺激し、不快感を与えてしまいます。

1位 汗のニオイを隠そうとして香りを重ねてしまう

汗のニオイが気になるからと、コロンなどのフレグランス、制汗剤、香りつき柔軟剤など、いろいろな香り製品を一度に重ねて身にまとっていないでしょうか。とくに制汗剤や柔軟剤は比較的安価な合成香料が使われていることが多いので、あまり重ねて使ってしまうと、汗のニオイもまじって、不快な香り方になってしまうことがあります。

人間の五感の中でも「嗅覚」は脳にダイレクトに働きかけ、感情や記憶に強い影響を及ぼすことが知られています。夏は気温が高く湿度が高いため、「ニオイ」が際立ちやすくなる季節。一番注意してほしいポイントです。

首元に香水のスプレーを吹きかける男性
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
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悪気や怠慢のせいでなくとも、ここまで挙げたような行動を気づかずにしていると、好感度が下がったり信頼感を得にくかったりと損をする恐れがあります。この夏はぜひ、以下のことに気を付けてみてください。

「夏の清潔感」を上げるおすすめケア

1.匂いは重ねずに「引く」

制汗剤は無香料か微香タイプがおすすめです。柔軟剤も香りを重ねるものではなく、防臭機能に注目して選んでみてください。また、フレグランスを使う場合は強い香りや甘すぎる香りは避けて、柑橘系やオゾン系など爽やかな香りを選びましょう。

外出が多い人は、汗拭きシートを持ち歩きましょう。シャワーを浴びられないときも、人と会う前にはシートで汗を拭き、さらに制汗剤を使っておくと安心です。

2.洗顔後の「手入れ」をプラス

近年はメイクをする男性も増え、メンズコスメも充実してきています。ファンデーションなどのベースメイクまでする必要はありませんが、肌に優しい洗顔料で毛穴汚れを落とし、乾燥を防ぐためにローションや乳液で保湿することをおすすめします。

顔を洗う男性
写真=iStock.com/K-Angle
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3.手間なくきれいに着られる服を選ぶ

こなれた感のあるカジュアル服はプライベートで楽しんで、ビジネスカジュアルは「手間をかけなくてもきれいに着られる服」を選ぶといいでしょう。最近では、シワがつきにくく、ノーアイロンできれいに着られる生地のシャツなども多く販売されています。

4.ヘアはすっきりとタイトに

短い髪はサイドなどをすっきりとセットし、長い髪はきっちり束ねてきりっとしたスタイルにすると、夏場はとくに印象がアップします。また、カットに行く頻度も少し上げて、こまめなメンテナンスで涼やかな印象を維持しましょう。

客観的視点を持てば自分も心地よくなる

5.小物の見た目のケアに注意

靴のつま先やカカトに目立つ傷や汚れがないか、バッグの持ち手や角がくたびれていないかなども点検してください。ビジネスカジュアルで気軽なスニーカーなどを履いている人は、オフィスでは汚れや使用感のないものに履き替えることをおすすめします。

6.クールな態度で自己暗示

「暑い」と言いたくなる気持ちはわかります。どうしても口に出てしまうときは、口角を上げてクールな表情で言ってみてください。そして、扇子などで自分に風を送る仕草にも、一片の余裕を持たせてみましょう。「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言いますが、人間のメンタルと身体の状態には相互作用があり、言葉や表情でも影響を与えられることがわかっています。

ただ暑さに飲まれてしまうのではなく、ほんの少しでも余裕があると自己暗示をかけることで、周囲からの印象はもちろん、自身の体感も変化するはずです。ぜひお試しください。

夏の身だしなみとは、汗やニオイのケアだけを指すものではありません。「清潔感」のために大切なのは、自分の状態に自己満足するだけでなく、他者がどう感じるかを意識した客観的な視点を持つことです。周囲に不快感でなく涼感を与えるよう、自分の振る舞いを工夫してみましょう。それはまた、自分が心地よく過ごすことにもつながります。