認証保育所等の確保を

認可保育園の入園申込みをすませてしまうと、「入れるのか、入れないのか」気になってしかたありませんね。

「母乳が止まりそう!!」というママもいました。

せっかくの育児休業の残りを大切にして「いっとき保育園のことを忘れてしまいましょう」と言いたいところですが、そうもいかない気持ちわかります。

住んでいるところが認可の激戦地区なら、認可の結果を待たずに、認証保育所等など自治体が助成する認可外保育施設(以下、認証保育所等)に申し込んでおくことが常識になっています。

(1)自宅や駅からの所要時間
(2)
入園金・保育料・別途料金(保護者への保育料補助がある自治体も多いのでそちらもチェック)
(3)
保育時間・受入月齢、アレルギー対応の有無など必要事項
(4)
入園の決定方法(予約のしかた、先着順か、選考基準があるのか)

などを調べ、見学に行きます(「保育園の見学で絶対見るべきポイント」 http://president.jp/articles/-/10950 参照)。認可外は、実にいろいろなとろがありますので、見学は必須です。

(4)は実際に行って聞いたほうがてっとり早いし、何か非公式情報が得られる可能性もあります。

待機リストが100人超え!?

近年、認可の申請時期には、認証保育所等も軒並み「待機リスト」(予約者の名簿)が数十人から数百人になる地域もあり、ショックを受ける方も多いようです。

ただし、認証保育所等へは地域の家庭が重複して希望を出しているので、それを差し引いて考える必要があります。2月に認可の結果が出ると、認可に決まった人がゴソッと抜けますので、状況は相当に変わります。

「100人待ち」と聞いても、勇気を出して申し込んでください。

認証保育所等の中には、数は多くありませんが、2~3万円の予約金をとり、認可に決まって入園しなかった場合には返金しないというところもあります。その施設が納得できる内容の施設であれば、お金を払って安心を買うという考え方もありです。認可の可能性と天秤にかけて考えます。

最初から認可に申請しないという約束をすれば入園を即決するという施設もあります。認可に入れる可能性が相当に低い場合は、思い切ってこちらに決めて、認可の調整指数(*)をゲットするものよいと思います。

*認証保育所等で待機すると、認可保育園の入園選考のときに調整指数という加点がもらえ、有利になる。

認証保育所の場合も、認可保育園と同様、住んでいる市区町村以外の施設では後回し(優先順位が低い)になる場合もあるようですが、認可ほどシビアでない場合も多いようです。近くに入れそうな認証保育所等がない場合は、隣の駅で途中下車したり、職場近くで預けることも検討してください。

保育ママさんに預けるのも手

認証保育所等と並んでチェックしたいのが、市区町村が助成する保育ママ制度(国の制度名は家庭的保育事業、東京都では家庭福祉員という)。

研修を受けた保育ママが、自宅(もしくは専用の保育室)で、主に3歳未満の子どもを預かります(この制度がない市区町村もあります)。1人の保育ママは3人まで預かりますが、補助者が着く場合は2人で5人をみています。

申込み方法・決定方法は自治体によります。直接、自分で保育ママに問い合わせて交渉するところもあれば、市区町村が認可保育園と同様の選考を行うところ、認可保育園が「不承諾」(入園できない)になった人に市区町村が紹介し保育ママが面接して決定するところなど。まずは市区町村の窓口で聞いてみてください。

個人の保育なので、会って話してみて、相性が合うか、信頼できそうか確かめる必要がありますが、家庭的な雰囲気の保育なので、経験したママからは0~1歳児にはむしろいい環境なのでは、という感想も多く聞かれます。

なお、保育ママは、人によって保育時間が短い場合があること、保育ママの体調で預かれないというアクシデントもまれにあることに要注意です。1~2歳で卒業しなければならないのですが、認証保育所等と同様、保育ママのもとで待機している子どもには認可の入園選考で調整指数がつくようになっています。

ベビーホテルは大丈夫?

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認可保育園に入れなかったら……

自治体の助成を受けない純粋な認可外保育施設もあります。高額な保育料をとる高級ベビーホテルもあれば、安かろう悪かろうのところもあり、よく選ぶ必要があります。見学して、特に施設長がしっかりしているかどうかチェックする必要があります。公的な助成をいっさい受けてない保育施設の中にも、いい保育をしているところはあります。

同居や近居の場合、おじいちゃん・おばあちゃんに預かってもらうことも可能です。ただ、毎日のことになると想像以上に負担が大きく、「おばあちゃんが見ると言ったのに、途中でギブアップしてしまった」という話も何度か聞きました。もしも祖父母に預けるのであれば、ファミリーサポートセンターやベビーシッターも利用するなどして、負担の軽減が必要でしょう。

なお、祖父母が面倒を見られるということになると、認可保育園の入園選考で不利になることが心配されます。そのあたりの選考事情も調べておきましょう。

2月に保育園入園のあれこれがわかるイベント(http://www.eqg.org/oyanokai/event.html)が開催されます。こうした場を情報収集の場として活用するのも手です。

保育園を考える親の会代表 普光院亜紀
1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経てフリーランスライターに。93年より「保育園を考える親の会」代表(http://www.eqg.org/oyanokai/)。出版社勤務当時は自身も2人の子どもを保育園などに預けて働く。現在は、国や自治体の保育関係の委員、大学講師も務める。著書に『共働き子育て入門』(集英社新書)、『働くママ&パパの子育て110の知恵』(保育園を考える親の会編、医学通信社)ほか多数。