■編集部より指令

婚活をしばらく続けた男女の中には「婚活疲れ」の人も。

「結婚はまだ?」「いい人いないの?」という周囲の言葉がさらに追い打ちをかけます。こうした余計な結婚プレッシャーを吹き飛ばすには、どんな風に言い返したらいいでしょうか。教えてください。

■佐藤留美さんの回答

職場の“子持ち礼賛”が面白くないと思ったら -結婚プレッシャー・女の言い分
http://president.jp/articles/-/11635

■大宮冬洋さんの回答

「お見合いおじさん」はじめました

最近、僕は「お見合いおじさん」になりました。「この人は素敵だな。オレが未婚もしくは女性だったら付き合いたい」と強く感じる友人知人の結婚をサポートというか代行します。無料ですけど責任は負えないし秘密も守りません。匿名で記事にします(日経ウーマンオンラインで4月から連載予定です。他媒体の宣伝でごめんなさい)。

お見合いおじさんを志した理由は明確です。僕は昨年結婚して今のところ落ち着いているので、恋愛や結婚に至るドキドキワクワク感から離れてしまったのが寂しいのです。当事者として復帰しようとは思いませんが、卒業生ヅラをして「オレも昔、合コンではブイブイやったぜい」などと昔話をしているのがつまらなくなりました。

もっと「今感」がほしい。現役プレーヤーに寄り添い、パートナー探しを一緒に行い、喜びと悲しみを共有したいのです。元野球少年が息子の野球チームのコーチになり、誰よりも熱心に勝利を目指す――。その熱い気持ち、今の僕なら理解できます。

「子どもはまだ?」で反撃

お見合い候補の未婚者のうち、特に男性は消極的です。自分から「ぜひお願いします!」と顔写真まで送ってきてくれたのは48歳のバツイチ男性ぐらい。より競争力のある30代の未婚男性たちは「今年のクリスマスも1人きり。僕も大宮さんに紹介してもらっちゃおうかな(笑)」と斜に構える程度ならばマシなほうです。好きな女性がいるのかいないのかもわからない、優しくて穏やかな聞き上手が多い(そういう草食系男性と僕は意気投合しやすいのですけどね)。

で、僕は聞くのです。「○○くん、結婚はまだ? いい人いないの?」と。迷惑そうな顔をする人もたまにはいますが、ほとんどの人はポツリポツリと現状や希望を話してくれます。前後の文脈や表情から、僕の好意が伝わっているからでしょう。

魅力がない人をわざわざつかまえて、「結婚はまだ? だろうねえ。いい人は一生できない、だろうね」なんて嫌味を言っているわけではありません。素敵な人なので、「あなたなら、もうちょっとやる気と勇気を持てば3カ月以内に恋人ができるよ。もったいない。僕が身代わりになりたい!」と叱咤激励しているのです。

確かにお節介ですよね。すでに婚活をしていて疲れている人に追い打ちをかけている可能性もあります。そのときは素直に謝り、仕事やガンダムに話題を変えます。それでも腹立ちがおさまりませんか? 二度と婚活話を持ち出さないように僕を凹ませたい? ならば、妊活の話題を振りましょう。「大宮くん、子どもはまだ? 作らないの?」です。

僕と妻は子どもを作りたくないのではなく、なかなかできないのです。子作りのタイミングなどを多少は意識しているつもりですが、専門医に相談するつもりは今のところありません。あれ? いずれは結婚したいけれど結婚相談所などの世話になりたくない人と似ていますね。興味本位で根掘り葉掘り聞かれたくない感覚も同じ。セックスの回数など、プライベートなことばかりですからね。

互いに有益な倍返しもある

すでに子どもがいる既婚者が無神経なお節介さんの場合は、どうやりこめればいいのでしょうか。その子どもの性別や学歴を把握して、「女の子は作らないんですか? 男の子はいずれ親から離れますよ」「私立校の受験はしないんですか? あの地域の公立校はレベル低いですよ」「私立校といってもあの学校? 東大進学率はゼロに等しいですね」などの言葉が有効でしょう。親の問題を持ち出して、「同居はしないんですか? 田舎に放っておくなんて親不孝です」という反撃ワードもあります。

うーん、なんだか暗くて不毛な会話ですね。禍根しか生まない気がします。それでも「倍返し」したい方はご自由にどうぞ。

逆に、あえて相手の懐に入って実利を取る道もあります。

妊活を多少意識している僕の場合は、「子どもって意外とできないものですね。何かコツがありますか。もし妻の妊娠が判明した場合は、夫はどんな対応をしたらいいのでしょう。NGワードや行動があったら教えてください」と子育て中の相手にアドバイスを求めることですね。

婚活に疲れている人は、「条件だけで結婚相手を探すと、相手からも条件で見られてしまうものですよね。直感で構いません。私に合いそうな人がいたら紹介してもらえませんか」と頼みましょう。恋愛話に飢えている既婚者(僕のことです)はがぜん張り切ってしまうかもしれません。誰もが幸せになる有益な倍返しを目指したいものです。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/