短時間勤務は不利か

育児休業法によって、3歳未満の子どもを育てる社員は短時間勤務(1日6時間)ができることになっています。ところが、それで労働時間を計算すると、入園選考での基準点指数が下がってしまうため、短時間勤務制度の利用をためらう人も多いようです。

でも、早とちりは禁物。短時間勤務を利用しても、通常の勤務時間(定時)で基準指数をつける市町村は多いはずです。問い合わせてみてください。法定の3歳を超えて短時間勤務をする場合には、基準指数を下げるとしている自治体もあるので、取得期間も要注意です。

勤務開始時期、勤務時間などについては、勤務先の証明を提出することになっていますので、勤務先に入園選考の事情を伝えて間違いのないように書いてもらう必要があります。

ペーパー離婚は本当にあるか? 議員の紹介は?

「ひとり親家庭は加点がある」と聞いて、ペーパー離婚をした人がいるという話は噂で聞いたことがあります。しかし、入園後も保育園にウソをつき続けるのは苦しいと思います。そんなギクシャクが家庭生活にも悪影響を及ぼす恐れもありますので、変な無理はしないほうがよいでしょう。

「議員に頼んだら入れた」という話もかつてはたまに聞きました。ただ、待機児童が多い地域では、選考作業はどんどん精密化し、情報開示も進んできています。つまり、議員から言われても無理、という場合が多いはずなのです。100%誓うことはできませんが、激戦地区では通じない手法だと思います。

あまり裏の手を考えても、「策士、策に溺れる」ことにも。万一「不承諾」になっても、認可外などで待機(空き待ち)して調整指数をもらうなど、まっとうな道を考えたほうがよいと思います。

なお、認可の希望園として、遠すぎる園、勤務時間と合わない園、好きになれない園を書いてしまって内定してから断ったりすると、そのあとの選考が不利になる場合があるので、申請書の希望園の欄には必ず通える園を書きましょう。

認可外保育施設の場合

認証保育所などの認可外保育施設は、施設と利用者の直接契約ですので、基本的に入園者の決定は施設がします。待機児童の多い地域では、予約申込み順に受け付ける形が一般的です。認可保育園の結果次第という家庭も多いので、その発表を待って意向を確認して正式な申込みを受け付けるという施設が多いようです。認可保育園は申し込まない約束で、即契約するという施設もあります。また、認可保育園と同じように勤務時間の長い家庭を優先する施設、保育料の支払い能力などを見て選考する施設もありました。

「100人以上予約をいただいています」と言われてもひるまないこと。それぞれの家庭が重複して申し込んでいるので数は膨らみますが、認可保育園の結果が出ると状況は相当に変化します。見学してよいと思った認可外があれば、とにかく予約申込みをしておくことをお勧めします。

保育園を考える親の会代表 普光院亜紀
1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経てフリーランスライターに。93年より「保育園を考える親の会」代表(http://www.eqg.org/oyanokai/)。出版社勤務当時は自身も2人の子どもを保育園などに預けて働く。現在は、国や自治体の保育関係の委員、大学講師も務める。著書に『共働き子育て入門』(集英社新書)、『働くママ&パパの子育て110の知恵』(保育園を考える親の会編、医学通信社)ほか多数。