■編集部より指令

 家庭でも職場でも女性が強くなってきて、「男性がひいてしまう」場面が増えているんじゃないでしょうか。実は、自分(30代女・既婚)の家庭においてもそんなことが起きているんじゃないかと薄々感じています。

大宮冬洋さま、女性のどんな行動、言葉に男性たちはひいてしまうのでしょうか。

男性が敬遠したくなるキャリア女性の言動とは? 具体的に教えてください。

一方でそうした“強い女性”からは「こんな男じゃ頼りなさ過ぎる」という声も聞こえてきます。私も言いたくなるときがあります。女性は男性のどういう行動に気持ちが冷めてしまうのでしょうか。

佐藤留美さま、がつんと言ってやってください。

■佐藤留美さんの回答

女がドン引きする「弱すぎる男」の言動 -結婚と態度・女の言い分
http://president.jp/articles/-/10928

■大宮冬洋さんの回答

男性は力が欲しい

「ドン引きする」の対義語は、おそらく「がぜん盛り上がる」ですよね。ドン引き言動集をつくると気分が落ち込んでしまいますので、男性が女性に対してがぜん盛り上がる要素や場面を考えることで、逆の場合(ドン引きケース)にも思いを巡らすことにしましょう。

前提から申し上げます。男性は新しいことにチャレンジするときに、何らかの意味で「オレは強い。できる男なのだ!」と自信を持つことが必要です。自信がなければ、現実の女性に盛り上がってアプローチして勢いで結婚するなんていう壮挙に出ることはあり得ません。

ここで言う「強い」とは、体力や経済力、権力とは限りません。「ユーモアにあふれた人間力」でもいいし、「哀愁にまみれた中年力」でもかまいません。何でもいいから力がほしいのです。男性は女性に比べると生命力が足りないので、表面的でもわかりやすい強さを欲しているのかもしれません。

女は男より面白い話をしてはいけない

現在、社会的な評価が高まっているのは、「気を遣える」「空気を読める」などのコミュニケーション能力ですよね。その象徴的な存在がお笑い芸人であり、最近ではアイドルや役者、有識者、政治家までも愛嬌やユーモアセンスを要求されています。笑いを提供できる人=強い立場の人気者という感覚が浸透しているのです。

ただし、恋愛の可能性をはらんだ男女が集う場所では、笑いを提供するコミュニケーションは男性に求められる能力であり、女性は的確に受け止める能力のほうが問われます。特に合コンなど短時間での会話の場では、「面白いことを言う女性」よりも「面白そうに笑う女性」のほうがモテるのは常識。男性メンバーを凌駕するような面白い女性(決して少なくありませんよね)が現れると、男性は笑いながらも「完全に負けた。さっさと帰って風呂入って寝よう」というモードに入りがちです。

逆に、あまり口数は多くなくても自分の話を受け止めて好意的に微笑んでくれる女性が傍にいると男性は盛り上がります。自分の強さを認めてもらえたと感じるからです。

とにかく褒められたい!

ここまでは「普通に盛り上がる」レベルの話です。男性が女性に対して「がぜん」盛り上がるのはどんなときでしょうか。それは、普段は評価されにくく、自分でもよくわかっていない魅力に光を当ててくれる人に出会ったときです。

合コンの席で、若き商社マンの田中くんが「厳格な課長の下で億単位の仕事に忙殺されている」という話をしていたとしましょう。

「その課長がうちの会社では珍しい真面目くんでさ、デリヘルの意味も知らないんだよ。だからこないだの国内出張で『デリバリーを頼みましょうか』と提案してみたら……」

田中くんは酔っぱらって下ネタモードです。ここで適当に笑ってあげれば田中くんは普通に盛り上がるでしょう。下ネタは受け流して億単位のビジネスについて聞いてあげるのも悪くはありません。しかし、よく観察してください。田中くんはおそらくその真面目課長を敬愛しています。その表現方法がちょっと間違っているだけです。

「田中さんはその課長が大好きなんだね。上司を尊敬できるのって素敵だな。課長もきっとわかっていると思うよ。デリヘルのことはわからないだろうけど」

という趣旨を笑顔でさりげなく伝えましょう。真面目に働いて成果を出している人を慕って自分も真剣に働くことの素晴らしさと力強さ。若い田中くんはあなたのおかげで自己発見をし、がぜん盛り上がるはずです。

では、男性をドンびきさせる女性の言動とは何か。もうおわかりですよね。その男性の長所や美点を目の当たりにしているのに、無視・否定・軽蔑することです。やりすぎるとドンびきどころか激しく憎悪されるので気をつけてください。

大宮冬洋
1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職。退職後、編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターに。ビジネス誌や料理誌などで幅広く活躍。著書に『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)、共著に『30代未婚男』(生活人新書)などがある。
実験くんの食生活ブログ http://syokulife.exblog.jp/