部下を評価する
1 公平性と透明性をもって評価する
2 評価の伝え方で部下のやる気と成長を促す
3 部下一人ひとりをしっかり見て評価する
リーダーが評価にどう向き合うかによって、チームの信頼と成長の方向性は大きく変わります。
評価は、部下の未来を左右するリーダーの大切な仕事です。信頼を育て、成長を促すためには、公平性・透明性・判断力を備えた“評価軸” が欠かせません。
評価の種類や重視するポイントは組織によって異なります。おもなものとして次の3種類があります。
評価の種類
①業績評価(成果評価)
売上や達成度などの結果を評価する。
②能力評価
問題解決力やリーダーシップ・専門性などのスキルや知識を評価する。
③情意評価(態度・姿勢)
責任感・協調性・勤怠・チャレンジ意欲など仕事への姿勢を評価する。
評価をする目的は、
● 業績改善
● 動機づけ
● 業績に報いる
● 仕事の査定
● 昇給の妥当性を裏づける
などです。
評価はリーダーを悩ませる仕事のひとつです。
「人を見て、差をつける行為」であるため、人間関係に影響を及ぼし、部下のやる気にも影響します。また、部下の昇進・異動・報酬・キャリア形成のすべてに直結します。
100冊のリーダー本には、評価する際に意識したい3つの視点が書かれていました。
評価は「正直に、オープンに、公平に」
(1)判断の公平性
(2)評価の伝え方
(3)評価の基本姿勢
ここからは、この3つの視点を順番に見ていきます。
1 公平性と透明性をもって評価する
スタンフォード大学の心理学者、スティーヴン・マーフィ重松さんは、次のように述べています。
評価に対する不信感は、チームのやる気と関係性を壊し、チーム全体の成果に影響する可能性があります。
不信感はチームの全体の成果に影響する
不透明・不公平な評価
↓
部下が不信感・不満を抱く
↓
やる気が下がる・空気が悪くなる
↓
チームの成果が落ちる
リーダーには、公平に、そして透明性をもって評価する覚悟が必要です。公平性や透明性を担保するポイントは次の3つです。
頑張った人には頑張ったなりの評価を
公平で透明性のある評価の3つのポイント
(1)評価の基準を明確にする
成果を出してもきちんと評価されないのであれば、メンバーはやる気を失うばかりです。評価の軸を明確にすることが大切です。
(2)「評価のしくみ」をあらかじめメンバーに知らせておく
「売上目標を達成したら、昇給」のように、評価のしくみをあらかじめメンバーに知らせておくことで、透明性を持たせます。
(3)頑張った人には頑張ったなりの評価をする
成果を「チームの成果」としてひとまとめに評価してしまうのではなく、頑張った人には頑張ったなりの評価をします。それが本当の意味での「公平」ということです。
2 評価の伝え方で部下のやる気と成長を促す
『ハーバード流ボス養成講座』(リンダ・A.ヒル、ケント・ラインバック/日経BP 日本経済新聞出版)には、「将来の成果を高めるのが業績査定の目的だということを、忘れてはいけない」と書かれています。
評価を、人を動かす力とする。評価によって部下の成長を後押しする。それが未来の成果へとつながっていくのです。
評価の伝え方には十分な配慮が必要です。
リーダー本の著者たちが実践する、部下のやる気や成長を促す伝え方の工夫をまとめました。
部下のポテンシャルを信じていることを伝える
部下やメンバーのやる気・成長を促す伝え方の工夫
(1)プロセスを見ていることも伝える
努力をしているのに、なかなか結果に結びつけられない部下もいます。その場合はプロセスを見ていることを伝えます。
結果は結果として受け止めながらも、たとえば、「情報の集め方」「手順の工夫」「優先順位のつけ方」などについての頑張りも認める姿勢が、部下のやる気を支えます。
(2)低い人事評価の理由をしつこく言わない
低い人事評価を伝えるときこそ、伝え方に注意が必要です。大切なのは、すでに低い評価を覚悟している部下に、その理由を執拗に伝えないこと。逆に勇気づけることが必要です。
感情で揺らがない
3 部下一人ひとりをしっかり見て評価する
評価は、感情で揺らがないようにします。好き嫌いで判断されたと感じた瞬間、部下の信頼が離れていきます。
評価する際は、しっかりと部下を見ることが大切です。
100冊のリーダー本の著者たちがメンバーをしっかり見るために実践しているコツをまとめました。
一人ひとりの部下と向き合うコツ
● 好き嫌いの感情を入れずに実力で判断する。
● アピールが上手なメンバーに惑わされないようにする。
● 若いメンバーは「頑張り」を見てあげる。
● 長い時間働いているからいいわけではない。努力の質や内容を見る。
● 個人的な利害ではなく、会社を成長させるかどうかを見る。
● 個人のレベルに合わせた評価をする。
青山学院大学陸上競技部の原晋監督は、チームのトップと比べたタイムのみで評価をしてしまうと、「組織のピラミッドは下部から腐り始める」とし、次のように記しています。
