地方局出身ながら、いまや全国的な人気を誇るアナウンサーの石井亮次さん。中学受験を通じて、生きていくうえで大切なことが身に付いたと振り返ります。熱心に勉強に取り組んだ塾通いの日々。「めちゃくちゃ頑張らなければならない時期」を支えてくれたのは、家族の存在でした。
アナウンサー 石井亮次さん
アナウンサー 石井亮次さん
1977年生まれ。大阪府出身。同志社香里中学校・高等学校を経て、同志社大学卒。2000年、CBCテレビ入社。2013年から始まった情報番組『ゴゴスマ 〜GO GO!Smile!〜』の総合司会を現在も担当中。2020年、フリーアナウンサーに転身。

阪神タイガースが21年ぶりのリーグ優勝に向けて快進撃を続けていた1985年。地元関西で少年時代を過ごした石井亮次さんは、意外なことに友達が少なくクラスでも目立たない存在だったという。

「ある日、学校でプロ野球の実況の物まねをしたら、すごく受けたんです。クラスの誰もが阪神ファンでしたから、面白い面白い、もっとやってくれって。それが人前でしゃべることが大好きになった原体験。小学3年生でした」

笑いの絶えないにぎやかな食卓

13年目に突入した情報番組『ゴゴスマ』で、放送開始から総合司会を務める。「月曜から金曜まで毎日2時間近くの生放送ですが、大変だとは思いません。しゃべる場がいただけてありがたい」と、楽しみながら仕事に取り組む日々だ。

生まれは東大阪市。3兄弟の次男として育った。「おやじがぼけて、おかんが突っ込む。明るく楽しい家庭でした」と振り返る。

「父は働き者でした。ガソリンスタンドを経営しており、月曜から土曜まで毎朝6時半に家を出て、7時に店を開けていました。その背中を見て育ったので、そうするのが当たり前だと思うようになりました。おかげで早起きして学校や職場に行くのが少しも苦痛じゃなかった。いまも僕は5時に起きています」

夕方、父が帰宅すると家族みんなで晩ご飯を食べた。笑いの絶えない、にぎやかな食卓だった。

「母は専業主婦。僕のどうでもええおしゃべりを、うんうんそうかそうかと聞いてくれました。本人もむちゃくちゃよくしゃべるんですよ。思いやりが大切やで、っていうのが口癖でね。思いやりとは、相手に対する想像力ですね。言いたいことが伝わっているだろうか? 誰かを傷つけたりしていないだろうか? いまスタジオで収録しているときも、そんなふうに考える癖がついているのは母のおかげです」

受験なんかやめたい受かるわけないから

5年生になったとき、兄の影響もあって中学受験をすると決めた。塾通いを始め、真面目に勉強に取り組んだ。勉強をすれば成績が上がっていくのを、ゲーム感覚で楽しんだ。

「とくに6年生のときはめちゃくちゃ頑張りました。いま振り返れば受験勉強に取り組んだその日々は、一生に何度かある、めちゃくちゃ頑張らなければならない時期の一つだったように思います」

食べ盛りの受験生を、母は食事でサポートしてくれた。好物は、ほうれん草の入ったカレー。入試当日まで「受験だからといって変わったことをしては駄目」と、栄養バランスが取れた普段通りの料理をテーブルに並べてくれた。

アナウンサー 石井亮次さん
「ゼリータイプは塾通いする子どものバッグに入れておいてあげるといいですね。冷やしてもおいしいので、リキッドタイプと一緒に冷蔵庫に常備しておき、暑い夏を乗り切ってほしいです」

「塾で帰りが遅くなる日は、お腹が減ったら何か買って食べなさいと小遣いをもらえたんですね。それがうれしかった。カロリーメイトをよく食べたから、いまでも口にするとあの頑張った日々を思い出すんですよ」

そして迎えた本番。願書を提出したのは3校。まずは、かなりハードルの高いチャレンジ校を受けるも、残念ながら不合格。次は「すべり止め」と考えていた安全校だったが、想定外の不合格。残るは本命の志望校のみとなった。

「二つ目の不合格は大ショックでしたね。いまでもよく覚えています。三つ目も落ちたらどうしようって。恥ずかしくて、学校の友達に合わせる顔がない。不安になった僕は、大泣きしたんです。もう受験なんかやめたい、受かるわけないからって。そしたら、これまで受験勉強で怒ったことのないおかんがはじめて怒ったんですね。ここまで頑張ってきたのに、くじけてどうするんや。いちばん苦しいときにこそ人の真価が問われるんやで、と」

本命校の受験日まで1週間。その日から母は、付きっきりで勉強を教えてくれた。受験当日は、「やるだけのことはやった」とすがすがしい気持ちで迎えたという。結果は見事、合格だった。

「受験生は最後の最後まで伸びるといいますが、母のおかげでそれを実感できましたね。最後まで諦めず、頑張り続けることの大切さを僕は中学受験で学びました」

大切なのは家族の健康わが家の食事のルール

その後、大学に進学しアナウンサーを目指すも、就職活動では全敗。しかし諦めることなく、留年して再挑戦することを決意する。「頑張っているうちは負けじゃないから」と背中を押してくれたのは兄だった。

「就活も、めちゃくちゃ頑張らなければならない時期の一つなんですよね。いまこうしてアナウンサーとしてやれているのも、中学受験を経験したおかげだと思っています」

そんな石井さんも、いまは高3と中2の父親だ。家族の健康をいつも気に掛けているという。

「やっぱり大切なのは毎日の食事ですね。朝ご飯は必ず食べよう。栄養のバランスを考えて食べよう。寝る2時間前には晩ご飯を食べ終えよう。これがわが家のルール。僕も実践しているし、子どもたちにもいつも伝えているんです」

現在の石井家もまた、にぎやかな食卓だという。

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