日本が誇る文化でもある漫画。この漫画のストーリーの力やキャラクターの魅力を生かし、新たな企業タイアップ広告に活用する動きがある。その有効性はどこにあるのだろうか。

漫画がおもしろくなっている。これまではコミック誌連載から単行本、アニメ、テレビドラマ、映画化といった方向で作品世界が拡大したが、最近は漫画という表現の使い道自体が、広がりを見せているという。

そこで、漫画がもつ表現手段としての可能性やコンテンツとしての有効性などについて専門家に話をうかがった。答えていただくのは、漫画プロデューサーにして原案や編集も手がける甲斐昭彦氏だ。

大人の鑑賞に堪える
漫画の進化は止まらない

そもそも漫画は、どのように変遷してきたのだろうか。

「もともとエンターテイメント中心ですが、昨今では芸術をテーマにしたり、歴史の謎を解いていくストーリーが展開されたりと、大人の鑑賞に堪える漫画が多数出てきています。スポーツ漫画でも、主人公がオーバーヘッドキックを決める選手ではなく、監督という設定のサッカー漫画があります。この漫画のおもしろいところは、主人公であるJリーグの監督がどういう意図で選手を起用し、戦術を展開していくかにある。この作品が人気を集めたことは画期的だと思います」

かつて少年少女だった読者が、成人しても漫画に親しんできた歴史を思えば、大人が容易に感情移入できて、リアルな楽しみを覚える漫画が次々に登場することには、なんの不思議もない。同時に、漫画を愛する世代が拡大するにつれ、その内容もさまざまな世代の要求を満たすものへと広がってきたわけだ。