2013年5月14日(火)

東大卒独身男が20年続ける「豊かな無職生活」

PRESIDENT 2012年5月14日号

著者
山崎 寿人 やまざき・ひさと

山崎 寿人大阪府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、大手酒類メーカーに入社し広報マンとして活躍するが、30歳で退職。その後、定職に就くことなく20年たつ。神奈川県在住、独身。

山崎寿人 構成=山川 徹、撮影=永井 浩
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山崎寿人さん

「東大を出たのに何をやっているんだ」「せっかく一流企業に入ったのにこんなことで本当にいいのか」……。

20数年前。会社をやめてプータロー生活をはじめたぼくに対して、友人たちは口々に説教した。企業戦士としてバリバリ仕事をしている連中だったから、働き盛りの30代、40代を仕事をせずに過ごす生き方を受け入れられなかったのだろう。

ぼくの年収は、約100万円。日本新党の立ち上げに関わった一時期を除けば、会社をやめてから、親が遺してくれた古マンションの賃貸料でやりくりしてきた。

国民年金保険料や国民健康保険料、NHK受信料、住居費などを支払うと、1カ月間で使える食費、光熱費、通信費、交通費などの生活費は、3万円。1日3食の食費は、500円。当初、月の生活費は8万円ほどだったが、それではプータロー生活の継続が難しい。そこで、5万円、3万円と徐々に落とした。

だが、ムリをして切り詰めているわけではない。ストレスが溜まるほどの節制を自らに強いるなんてもってのほか。月3万円あれば、節制や我慢とは無縁な豊かで楽しい毎日を送ることができる。いま、そう実感している。

月5万円と3万円の違いとは何か。豚肉にたとえれば、100グラム120円と80円の差にすぎない。どちらも100グラム1000円の肉にはかなわないが、手間暇をかければ、40円の差なんていくらでもカバーできる。

バランスが大切なのだ。食事でいえば、値段とそれに見合うおいしさ。安いからといって、おいしくない物を食べ続けるのは、人生の損失だ。

わが家の食生活を支えてくれているのが、ホームベーカリー。長期的な採算性を考えると、何に初期投資をするかが重要になる。高価なのでずいぶん悩んだが、いくつもの商品を比較して「捏ね機」の機能があるものを選んだ。パンだけではなく、うどん、パスタ、ソバ、餃子の皮、ピッツァ生地……。様々な料理を調理できるようになった。

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