2013年4月26日(金)

「オレが何を言ったか、自分で言ってみな」-落合博満

コーチの名言+PLUS—闘う者を磨く「ことば」の力【第31回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
松瀬 学 まつせ・まなぶ
ノンフィクションライター

1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書は『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)など多数。

執筆記事一覧

松瀬 学=文 共同通信社=写真提供
1
nextpage

落合博満(プロ野球・元中日ドラゴンズ監督)

おちあい・ひろみつ 
1953年、秋田県南秋田郡若美町(現・男鹿市)出身。79年、ドラフト3位でロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)入団。81~83年、3年連続首位打者。82年は史上最年少の28歳で三冠王。85~86年、2年連続の三冠王を獲得。中日、讀賣、日ハムと移籍し、98年に現役引退(生涯打率.311)。2004年、中日ドラゴンズ監督に就任、その年にリーグ優勝を果たし、07年には日本一。2011年には球団史上初の2年連続リーグ優勝を果たす。

元中日ドラゴンズ監督の落合博満さんは、「オレ流」をひたひたと貫き、独自の哲学をつかんだ。コトバはやわらかく、明快である。

落合さんが日本スポーツ学会大賞を受賞した。先日、その記念講演会が、早稲田大学のキャンパスであった。59歳。やはりコトバは迫力に満ち、含蓄に富んでいた。

このところ、企業の経営者相手の講演会も多い。「新人をどうやって使えばいいのですか」と聞かれることがある。まず、こう言う。「野球界と会社を一緒にしないでくださいよ。(プロ野球は)ダメなやつのユニフォームを脱がすことができる。(企業は)一回会社に入ってしまえば、辞めさせるのは難しい。(プロ野球は)能力があれば生き残れる、なければ淘汰されていくのが契約社会だよ」と。

その上で、落合さんは、人が人を教えることは難しいと言う。

「おれが簡単だと思っている事が、彼らにとってはものすごく難しい。果たして彼らにコトバが届いているかどうかという壁にぶちあたる」

ここで人間だもの、感情的になる。立場の強い人は、ついできなかった人が悪いんだと考えてしまう。

「コトバというのは、教わった側がちゃんと聞いて、理解して、納得して、実行して、結果を残して、初めてカタチとなるのだろう」

オレの言ったことが分かったかどうかを確認する。「おまえ聞いたよな、オレのコトバ。いま、オレが何を言ったか、自分で言ってみな」と聞く。「話を聞いていないととんでもないことになるから、人の話を一所懸命、聞かざるをえなくなる」

話し手と聞き手の話にギャップがあれば、議論になる。議論になって初めて、納得してもらえる。そうじゃないと、彼らは動きようがない。

PickUp