なお、しばしば「自分は寝なくても平気だ」と主張する人がいる。ナポレオンやエジソンは4時間の睡眠で十分だった。そんな話を耳にしたことのある人も多いだろう。

「短時間しか寝なくても平気な人をショートスリーパーといいます。そのような体質の人は確かに存在するのですが、実は1日6~8時間は睡眠が必要な“ノーマルスリーパー”が無理をしているだけというケースが多数を占めていると思われます」

自分にとって適度な睡眠時間とは、果たしてどれくらいだろうか。それをチェックする簡単な方法がある。

「休日の自分が、どんな状態になっているかを振り返ってみてください。平日も休日も関係なく短時間睡眠で平気なら、本当にショートスリーパーかもしれません。しかし休日になると、ずっと寝てばかりいるという人は、ノーマルスリーパーの人が無理を重ねているだけなのです」

思い当たる人は、早々に6~8時間の睡眠に改善することをお勧めする。

疲労とも深く関わる
食事と排便のポイント

一週間の過ごし方を考えたとき、睡眠に加えてポイントとなるのが、食事と排便だ。いずれも人間の生命活動に欠かせない行為だが、「疲労」とも大きな関わりがある。「食事面で特に注意していただきたいのは、ランチのメニューです」と森下院長は提言する。

「仕事の合間に食べるランチは消化吸収がよく、体内ですぐエネルギーになるメニューが最適です。うどんやパン、リンゴなどがよいでしょう。

注意していただきたいのは、疲れた体に栄養を補うつもりで、カツ丼や焼き肉定食などをたっぷりと食べてしまうことです。消化吸収されるまでに4時間近くもかかりますから、脳の活動に使うべき血流が胃に回り、眠たくなってしまう。当然、午後の仕事に影響を及ぼすことになります。ただでさえ疲れている週の後半ともなれば、胃腸に過度な負担をかけ、さらなる疲れや疾患を引き起こすことになりかねません」

胃腸の機能が衰えれば、おのずとよい排便を維持するのも難しくなる。身体的な違和感はもちろん、精神的な安定も阻害し、やはり疲労を招く要因となる。

睡眠、食事、排便。日々当たり前のこととして素通りしてしまっているが、「ぜひ、ちょっと立ち止まって振り返ってみてください。自分は無理をしているんじゃないだろうか。そう疑ってみることが、異変に気づくための第一歩です」と森下院長は言う。

健康状態を過信せずに、うまく体を休める方法を探ること。それが、万全のコンディションでビジネスシーンを戦うための秘訣だ。