(PIXTA=写真)

会社が社員を切りたい本当の理由は、その口実とは別物だ。まず目をつけられる理由があって、その口実を後付けするために、会社側は少なくないコストを費やしている。

では、目をつけられる社員とは?

「調査後まではフォローしていませんが、1人に数十万円から100万円近くつぎ込むのですから、ウチに依頼された時点で最終段階とみてよいのでは」――企業に関わる各種調査の老舗・ミリオン資料サービスの田上礎司社長は、企業の依頼を受けて社員の実態調査も数多く手掛ける。

「仕事ができない人、会社の意向に沿わない人、借金などの金銭トラブル、心の病気を装う人。我々が調べてきた案件は、だいたいこの4パターンに集約されます」(田上氏)

まず、非常に多いのが成績の悪い営業マンの調査依頼。外回り中の不透明な行動を把握すべく尾行する。目撃した時間潰しのダントツはパチンコ・競馬だが、こんな例も。

「大手食品勤務のバツイチ独身の40代半ばの男を、『営業日報との整合性がない』ので調査開始。朝9時に出社して10時に会社を出、そのまま会社も知らぬアパートに。夕方にそこから再度会社に戻った」(同)

このアパートへの転居も初めて判明。片道1時間、1日2往復の電車の中で彼は何を考えていたのか。

「希望退職制度で辞めた社員の名簿をざっと見ると、一定の傾向があります」――そう語るのは、ある大手メーカーの監査担当者だ。

「課長未満の40歳以上で今後上がる見込みがない人のうちまず独身者、次に子供がいない人や共働き」(同)