中央政府は地方政府の債券発行を規制したが、地方政府は抜け道として「融資平台(プラットフォーム)」という投資会社を設立し、資金調達を続けた。融資平台は全国で1万社を超える。融資平台は地方政府が返済を肩代わりする。その点では、地方政府の債務と同じである。最終的には、中央政府の財政出動で救済できる。

習近平政権は、財政赤字を拡大させても、この問題を解決せざるを得ないだろう。

今の習近平路線のままでは、中国経済の破綻は免れない

中国では、経済が順調であれば、共産党は独裁を維持できる。そのためには、習近平政権は、あらゆる手段を講じる。経済不振を解消するには、2、3年必要だろうし、かなりの荒療治も行わねばならない。

しかし、日本と違って、独裁国家だからこそ、それは可能である。以上の考察から、治療には時間がかかるにしろ、中国経済が今すぐ崩壊することはないと判断する。

舛添要一『現代史を知れば世界がわかる』(SB新書)
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中国社会には、高度経済成長時代のような躍動感が見られない。人々は諦めにも似た感情を抱いており、「ゴロゴロ寝て、何もしない」のが流行のようになっている。

習近平政権は、国民に夢と希望を与えることができるのであろうか。

習近平の問題は、父親を不当に遇した鄧小平への怨念もあって、毛沢東路線に回帰していることである。これが、民間が活躍する自由な経済活動を阻害している。それがいつまで続くのか。一時的に危機は回避できても、最終的には今の習近平路線のままでは、中国経済の破綻は免れないであろう。習近平が倒れるか、中国が崩壊するかの分水嶺が数年後にやって来る。

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