本人に対して、失敗したとしても「今回はうまくいかなかったけれど、○○や○○はすごくよかった」「挑戦できたことがすばらしい」とフォローし、評価することは大切ですし、ほかの人の失敗に対しても、同様にフォローしたり評価したりするようにします。そうすることで、「ほかの人も失敗することがあるんだ」「失敗しても大丈夫なんだ」と思えるようになってきます。

上司の声掛けや行動も大切です。「失敗しても、ちゃんとフォローするよ」「何かあっても、ちゃんと私が責任を取るから思い切ってやってみて」など、若手が安心して挑戦できる声掛けと行動を心掛けてください。

②「指示」ではなく「質問」をする

初めから「正解」の道筋を示すような、具体的でわかりやすすぎる指示ばかりをしてしまうと、若手は最初からそうした指示を期待するようになり、自分で考えなくなってしまいます。では、どのように指示をすればいいのでしょうか。

入社したばかりで、会社のことや業務のことがわかっていない新人に対しては、具体的でわかりやすい指示をして、仕事に慣れてもらうことが必要でしょう。しかし慣れてきたら徐々に、質問を増やしていくようにします。

たとえば、指示を出した後に「この仕事は何のためにすると思う?」「この作業が終わったら、次に何をすればいい?」「そのためには、どんな準備が必要?」といったものです。

そしてさらに、作業の指示はやめて、質問を投げかけるだけにしていきます。最終的には「指示」を出すのではなく、「質問」することで本人が自分のやるべきことを見つけられるようにしていくのです。

具体的な事例でご説明しましょう。

入社したばかりの新人社員への「作業の指示」

上司「最近、○○町の取引先から、『商品の到着が遅延することが多くて困る』というクレームが増えている。配送業者AとBが怪しいから、□□営業所の△△さんにメールして、直近3カ月の配送記録を取り寄せて。エクセルでこんな感じの表にまとめてくれる? それをもとに、配送業者ごとに、こういうグラフを作って、木曜日までに私に送ってください」

ここまで丁寧な指示だと、具体的でわかりやすいですし、すぐに作業に取り掛かれます。しかし、こうした伝え方が続くと、若手は考える習慣がつきません。