消費税がアップしなくても、試算の結果、どんな家庭も確実に手取りが減ることがわかった。最も損をするのはどの年収か?

2003年には厚生年金保険料に総報酬制が導入、04年には保険料率のアップと配偶者特別控除の廃止、06年には定率減税の税率変更、翌年廃止と、給与から天引きされる額は年々増加してきました。さらに11年から実施されたのが、扶養控除の減額。それまで15歳までの子で38万円あった控除が廃止、16~23歳まで63万円の控除が減額となっています。その影響で11年から子をもつ世帯の所得税が、12年からは住民税が増税となっています。

扶養控除の廃止は児童手当(旧子ども手当)の財源確保のためですが、11年4月に1人1万3000円で始まり、2倍になるはずだった支給額が、同年9月からは3歳未満が1万5000円、3歳~小学校卒業までの第1、2子と中学生が1万円、3歳~小学校卒業までの第3子以降が1万5000円となっています。

さらに13年から25年間、復興増税として所得税が2.1%、14年からは住民税が1000円上乗せされることが決まっているほか、厚生年金保険料は17年度まで段階的にアップするなど、すでに手取り額の減少が約束されています。加入する健康保険によっては、保険料が年々引き上げられているケースもありますし、消費税率のアップが決まれば、家計へのダメージはさらに膨らむでしょう。

今回はすでに決まっているものだけを反映して試算しているほか、個別性の高い生命保険料控除などは考慮していませんが、かなり手取りが減っていること、今後も減っていくことを感覚的につかんでおくことが重要です。

高収入の人にとっては、手取りの減少は実感が薄いかもしれませんが、その分、いつの間にか家計に余裕がなくなったということになりがちです。もともと家計に余裕がない世帯では、なおさら危機感を持たなければなりません。