免疫学者の熊沢義雄博士は、著書『慢性炎症を抑えなさい』(青春出版社)で「慢性炎症が老化を進める」と書いています。慢性的な炎症のある人は、すべての臓器の老化が進むということです。

ノーベル医学生理学賞を受賞したエリザベス・ブラックバーンと健康心理学者のエリッサ・エペルは『テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』(NHK出版)で「うつ病や不安はテロメアを短くする」と著書に記しています。

私たちの遺伝子は46本の染色体に収められています。染色体は糸状になっていて、環状ではありません。それぞれの染色体の末端には、テロメアという特定の遺伝子配列の繰り返しがあります。

このテロメアの遺伝子の繰り返しが短くなると、寿命が短くなると言われています。しばしば、テロメアの長さは命の切符にたとえられます。切符を使って短くなると細胞は死を迎えるのです。テロメアの長さはストレスによって短くなり、リラックスした生活を送れば長くなることがわかっています。

大腸の酪酸菌を増やせば脳の炎症が抑えられ、常にリラックスした状態になります。テロメアの長さを保つという点でも、フラクトオリゴ糖などの食物繊維をたくさん摂って酪酸菌を増やすことは重要なのです。つまり、花粉症を抑えれば長生きできるのです。

抗生物質を飲み過ぎている人は花粉症になる

大腸にはおよそ1000種類の細菌が生息しています。全細菌数はおよそ100兆と言われています。これまで、抗生物質が腸内フローラを攪乱すると書いてきましたが、具体的に何がどれくらい減って、何が増えるか、詳しいデータはほとんどありません。分析が非常に難しいのです。

マウスを用いた実験では、抗生物質2剤を与えるとおよそ80%の種類が消失すると、報告しています。これは、強烈な腸内フローラの破壊です。じつは、抗生物質が人の腸内フローラを攪乱すると、成長が促されます。身長が大きくなるのです。

飲み薬を手にする人のイメージ
写真=iStock.com/Vasil Dimitrov
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人の身長は幼児期の成長速度が速くなると、大人になった時の身長が高くなります。日本では、1950年代以降に大量に抗生物質を使用するようになりましたが、この時期から子どもの平均身長は急激に伸びました。

抗生物質が家畜の成長を速めることも、畜産業者は昔から知っています。人に使われるより、大量の抗生物質が家畜の成長促進に使われてきました。抗生物質を頻繁に摂る人は腸内細菌の種類が極度に減少しており、花粉症だけでなく、自己免疫疾患を含めたすべてのアレルギーを起こすリスクが上がっています。

フラクトオリゴ糖などの食物繊維で腸内細菌の種類はすぐには増えませんが、抗生物質を摂らない生活を10年、20年と続ければ、種類も増加して、良好な腸内フローラを得ることができます。

抗生物質は細菌感染によって高熱が出た時だけ使うようにしてください。