炎症はすべての病気の原因

これまでお伝えしてきたように、すべての病気は炎症を起こし、逆に、炎症が起こると病気になります。がんも炎症を起こしますので、炎症が起きると出てくる物質、炎症性サイトカインの血中濃度が上がります。

みなさんが忌み嫌う、シミとシワのでき方で、炎症というものをわかりやすく説明していきましょう。

図5は最も一般的な炎症反応を示しています。出演しているのはサイトカインだけです。皮膚の紫外線による炎症は、紫外線が皮膚の表皮や真皮に照射されると活性酸素が発生することで起こります。活性酸素が発生すると、皮膚の細胞はTNFαなどの炎症性サイトカインを放出します。

これが皮膚の炎症で、結果として、皮膚は赤く腫れます。一部の細胞は死んだり、メラノサイトという細胞からメラニン(黒色色素)が放出されます。やがて、炎症が起こった皮膚には、シミやシワができるのです。

ところが、大腸の酪酸菌を増やし炎症を抑えれば、皮膚のシミやシワはできないようになります。また、皮膚は赤く腫れることなく、ゆっくり黒く日焼けしていきます。大腸の酪酸菌を増やして全身の炎症を抑えれば、日焼け止めクリームを塗る必要はありません。

また、大腸の酪酸菌が増えると肌がつるつるになり、水を撥くようになります。血流もよくなり手足の冷え症も改善されます。そうなれば、高いお金を使っている、洗顔料、化粧水、美容液、乳液、クリームなどの基礎化粧品を使う必要がなくなります。美しく見せるためのメイクアップ化粧品を買えばよいだけになります。

炎症が起きるメカニズムとは

ここで、免疫系について説明しましょう。免疫に関わる細胞は膨大な種類があります。ここでは、その機能が比較的よくわかっているものだけについて説明します。

図表6で示されているように、免疫系の細胞はすべて骨髄で造血幹細胞から作られます。図表にある赤血球と血小板は免疫系の細胞ではありませんが、起源は同じです。骨髄では単球、顆粒かりゅう球、リンパ球が作られ、単球は脾臓ひぞうに蓄積され、マクロファージや樹状細胞などになります。

リンパ球は胸腺に入ったものは、Tリンパ球となり、Bリンパ球とともに脾臓に蓄えられ、リンパ組織に移動します。分化したTリンパ球とBリンパ球はリンパ管、血流、組織を巡回します。この間、さまざまなサイトカインに曝されるとTh1、Th2、形質細胞、メモリーB細胞などに分化します。

Tリンパ球もBリンパ球も外敵やがんなどの異常細胞の作る抗原につくタンパク質を作ります。この抗原につくタンパク質は、一つ一つのリンパ球で異なるように無数の種類のリンパ球が作られます。抗原である外敵や毒性物質は多種多様ですので、これにつくタンパク質も多様でなければ外敵や毒性物質の抗原を抑え込むことができません。

免疫を理解すれば炎症は抑えられる

抗原につくタンパク質はTリンパ球では抗原認識受容体と呼ばれ、Bリンパ球では抗体と呼ばれています。Tリンパ球は免疫系全体の司令塔となるもので、何を攻撃するかを決める細胞です。ですから、Tリンパ球は決して自分の細胞を攻撃しないように、胸腺の中で厳しい審査を受けるのです。自分の細胞を攻撃するTリンパ球は破壊されます。リンパ管、血流、組織を巡回するリンパ球は、やがて、さらに分化して外敵や異常細胞を見つけて攻撃します。