真っ黄色の皮を踏んでひっくり返るシーンは、映画やマンガの定番ギャグ。でも、本当にバナナの皮で滑って転ぶ人はいるのだろうか。

ディスカバリーチャンネルの人気番組「怪しい伝説」は、各種の都市伝説や映画のエピソードが現実にありうるのかを、力ずくの実験で解明するもの。そのホスト役を務めるハリウッドの特殊効果マン、アダムとジェイミーが、この「バナナの皮」伝説に目をつけた。

まずは、実際にバナナの皮を踏んでみる実験だ。頭や手足をプロテクターでカバーし、「うっかり踏みつける」条件に近づけるために目隠しをしたジェイミーが、滑る内側を下に置いたバナナの皮に向かって歩いていく。

ところが予想に反し、バナナを踏んでもジェイミーは転ばなかった。「皮を踏んだのはわかったが、どうということはなかったね」。皮を10枚に増やしても、その上を走って駆け抜けても、結果はあまり変わらなかった。

バナナの皮に摩擦を減らす効果があること自体は、科学的にも証明されている。摩擦や潤滑を研究する「日本トライボロジー学会」で発表された「バナナの皮の潤滑効果」という論文では、オフィスやショッピングセンターなどで使われている普通の床材と、革靴の底の間にバナナの皮をおくと、摩擦係数が最大で約8分の1になるという実験結果が報告されている。バナナの皮の内側は、繊維質のすき間を水分と多量の糖類が満たした構造になっており、踏みつけるなどして繊維質が潰れると、この糖類がぬるぬると流れ出して潤滑剤の役割を果たすらしい。

普通に靴底の一部でバナナの皮を踏んだだけでは人は転ばなかった。それならばと、特設リンク一面に大量のバナナの皮を敷き詰めたら……。(ディスカバリーチャンネル=写真提供)

問題は、バナナの皮が潤滑剤としてどのくらいの性能を持つかだ。アダムとジェイミーは、止まった状態の靴底に働く静止摩擦、滑り動く靴底にかかる動摩擦の両方について、バナナの皮と産業用の潤滑油を用いた比較実験を行った。その結果、「バナナの皮は滑ることは滑るが、潤滑油ほどではない」ことが証明されてしまった。

バナナの皮のギャグを愛する人は、がっかりしたかもしれない。だが、心配には及ばない。床材を敷いた特設リンクを大量のバナナの皮で埋め尽くした実験では、アダムもジェイミーも派手な転倒を繰り返した。靴底の一部だけでなく全体が皮に乗ったこと、しかも両足がずるずる滑ったことが「実験成功」の理由だろう。

結論。バナナの皮で人は転ぶ。ただし、十分な量の皮があれば、だ。