素人であるにもかかわらず、堂々とわたり合っていた

パックン】本当にお金がかかるんだったら仕方ないと思うんですよ。でも例えば社員が、この企業のための活動にお金がかかりますよ、って言われたら、わかりました、じゃあ領収書切ってあとで全部明細を見せてくださいって、上司が言うんじゃないですか。

その、報告しなくていいことになっているのが僕は穴だと思いますし、それが本当にかかるんだったらわかった、見せてくれよ、と言う義務、責任があると思うんですよ。

責任というか、権利があると思うんです。僕、国民じゃないんですけど、納税者です。僕のお金がどこに使われているか教えてくれよと思いますよ。

高井】まあそういう見方もあると思いますが、政党、政治活動の中にはね、領収書を要求できない場合もありますよね。

パックン】でもそれ、社員だったら立て替えできないですよ。社員だったら後で返してもらえませんよ、領収書がない場合は。何で政治家と社員が違うの。

高井】社員と政治活動、事業活動と政治活動をまったく同列に論じることに僕は問題があると思いますよ。

パックン】国民がそれに納得するかどうかですよ。

淳さんの「政治資金規正法の穴」についての発言が、パックンから高井氏への「素朴な疑問」による質問を誘発した。法律の素人であるにもかかわらず、怯むことなく、堂々と法律の専門家とわたり合っていた。

これは、今回の問題を報じるメディアにとっても必要な姿勢なのではなかろうか。

大手メディアが法の欠陥を報じない事情

今回のパーティー券裏金事件を契機に、このような「大穴」を塞ぐ政治資金制度の「根幹治療」を求める声が主要メディアから上がらないのはなぜか。そこには、検察という司法権力とメディアとの関係をめぐる問題がある。

その最大の理由は、在京主要メディアは、「大穴」を指摘することによって検察捜査に水を差すことになると考えているからであろう。

今回の政治資金パーティー裏金事件については、「東京地検特捜部が、全国から数十人の応援検事を動員して、異例の大規模体制で捜査を行っており、検察は本気だ」ということが、繰り返し報じられており、それによって、国民の間に、「国会議員が相当数起訴される、逮捕者も出る」という期待が膨らんでいる。

もし、ここで、「政治資金規正法には大穴が空いており、裏金受領議員の処罰は困難」という話が出てきて、それが否定できなくなると、これまでの「検察捜査への期待」が一気にしぼむだけでなく、そのような法の欠陥があるのであれば、なぜ、検察は大規模捜査体制で捜査に臨んだりしているのか、なぜ「斬れない刀」で攻め込もうとしているのか、と検察の姿勢にも疑問が生じかねないことになる。